スポーツクラブではグループ運動の方が継続しやすい

今回は,民間スポーツクラブを利用する地域在住高齢者を対象としてグループでの運動の実践と運動の継続との関連について調査した研究を紹介します.

 

このブログでは高齢者でもがん患者さんでもフレイルの予防が重要なことを紹介してきました。

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2022年6月24日

 

最近では、通いの場以外でも、ジムやスポーツクラブで運動習慣を持っている高齢者も増えてきています。

高齢者もいろいろな施設をうまく活用できるようになったらいいですね。

  

そこで、今回は,民間スポーツクラブを利用する地域在住高齢者を対象としてグループでの運動の実践と運動の継続との関連について調査した研究を紹介します.

まとめ
・今回は,民間スポーツクラブを利用する地域在住高齢者を対象としてグループでの運動の実践と運動の継続との関連について調査した研究を紹介。

・グループプログラム参加群は,女性,低学歴 者,人とのつながりの増加を感じた者 が多く,運動プログラム参加期間が長いという特徴がみられた。

・グループでの運動プログラムは参加者同士の社会的交流やつながりを増やし運動継続を促す可能性がある。

・地域活動の参加が苦手な方は、スポーツクラブのグループ運動に参加するのも、フレイル予防にいいと思われる。

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今回紹介する研究の概要

今回紹介する論文は、通民間スポーツクラブを利用する地域在住高齢者を対象としてグループでの運動の実践と運動の継続との関連について調査した内容になっています。

「河口 謙二郎, 横山 芽衣子, 井手 一茂, 他. スポーツクラブを利用する地域在住高齢者におけるグループ運動と運動継続との関連:リソルの森ウェルネスエイジクラブ縦断研究. 日本老年医学会雑誌/59 巻 (2022) 1 号 」 2022年に発行された最新の論文になります。

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対象

2017 年 6 月から 2019 年 3 月にかけてリソルの森の健康増進プログラム(ウェルネスエイジクラブ)に 6 カ月以上参 加した 65 歳以上の 227 人(女性 117 人,男性 110 人)を分析対象とした.

河口 謙二郎, 横山 芽衣子, 井手 一茂, 他. スポーツクラブを利用する地域在住高齢者におけるグループ運動と運動継続との関連:リソルの森ウェルネスエイジクラブ縦断研究. 日本老年医学会雑誌/59 巻 (2022) 1 号

今回紹介する研究は,「Sport & Do Resort リソルの森」(リソルの森)が提供する,60 歳以上の成人の健康寿命延伸を目的としたウェルネスエ イジクラブ(WAC )のデータを用いた縦断研究です.

2017 年 6 月から 2019 年 3 月の期間で WAC を利用し た 256 人のうち,利用期間が 6 カ月未満の利用者 1 人, 65 歳未満の 28 人を除外し,性と年齢に欠損がない 65 歳以上の 227 人(女性 117 人,男性 110 人)を最終的な 分析対象者としました.

WAC 利用開始後最初に実施した質問紙調査,体力測定,健康診断の結果をベースラインとして用いています。

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方法

24 週以上に渡る平均週 2 日 以上の運動プログラム参加を「運動プログラム継続」,平均週 1 回以上のグループプログラムへの参加を「グルー ププログラム参加」と定義し,グループプログラム参加と運動プログラム継続との関連をポアソン回帰分析によ り検証した.

河口 謙二郎, 横山 芽衣子, 井手 一茂, 他. スポーツクラブを利用する地域在住高齢者におけるグループ運動と運動継続との関連:リソルの森ウェルネスエイジクラブ縦断研究. 日本老年医学会雑誌/59 巻 (2022) 1 号

目的変数は,「運動プログラム継続」とし,,「平均週 2 日以上の運動プロ グラムへの参加を 24 週間以上継続」と定義しました.

説明変数は,「グループプログラム参加」とし,「運動プログラム参加期間の中で,平均週 1 回以上グループプログラムに参加」と定義しました。

さらに、人口統計学的・生物学的因子,心理的因子,身体的因子,社会的因子を調整変数候補として選択しています.

そして、解析としては,グループプログラム参加の有無による 2 群間 の基本特性の比較をっています.

さらに,単変量解析を用いて 運動プログラム継続と関連する要因を検討し、運動プログラム継続とグループプログラム参加 の関連を,多変量解析を用いて検証しています。

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結果

河口 謙二郎, 横山 芽衣子, 井手 一茂, 他. スポーツクラブを利用する地域在住高齢者におけるグループ運動と運動継続との関連:リソルの森ウェルネスエイジクラブ縦断研究. 日本老年医学会雑誌/59 巻 (2022) 1 号

こちらの表は対象者の基本特性になります.

グループプログラム参加群は,グループプログラム非参加群と比較して,女性(グループプログラム参加 群 66.6%,グループプログラム非参加群 33.6%),低学歴 者(46.8%,31.7%),人とのつながりの増加を感じた者 (68.3%,52.5%)が多く,運動プログラム参加期間が長い(51.5 週,42.4 週)という特徴がみられました。

河口 謙二郎, 横山 芽衣子, 井手 一茂, 他. スポーツクラブを利用する地域在住高齢者におけるグループ運動と運動継続との関連:リソルの森ウェルネスエイジクラブ縦断研究. 日本老年医学会雑誌/59 巻 (2022) 1 号

こちらの表はグループプログラム参加と運動プログラム継続との関連を示しています.

グ ループプログラム参加者で運動プログラムを継続した者 が多く,有意な正の関連が認められています.

女性(PR=8.08,95% CI:1.94~33.56,p<0.01),男 性(PR=2.84,95% CI: 1.39~5.78,p<0.01)ともに有意な正の関連が認められています.

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結論

本研究では,リソルの森の WAC を利用する地域在住 高齢者を対象にグループ運動への参加と運動プログラム 参加の継続との関連を明らかにすることを目的とした. 本研究の結果から,グループでの運動プログラムは参加 者同士の社会的交流やつながりを増やし運動継続を促し た可能性が示唆された.同じスポーツでもグループ運動 を拡充し参加者同士の交流を促す工夫をすることによ り,継続的に運動する高齢者の増加が期待できると考え られる.

河口 謙二郎, 横山 芽衣子, 井手 一茂, 他. スポーツクラブを利用する地域在住高齢者におけるグループ運動と運動継続との関連:リソルの森ウェルネスエイジクラブ縦断研究. 日本老年医学会雑誌/59 巻 (2022) 1 号

グループでの運動プログラムは参加者同士の社会的交流やつながりを増やし運動継続を促す可能性があるとのことです。

スポーツクラブでの運動に関しても、一人で黙々と行うよりも、グループで行う方が、長く継続できるようですね。

地域活動の参加が苦手な方は、スポーツクラブのグループ運動に参加するのも、フレイル予防にいいと思います。

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まとめ
・今回は,民間スポーツクラブを利用する地域在住高齢者を対象としてグループでの運動の実践と運動の継続との関連について調査した研究を紹介。

・グループプログラム参加群は,女性,低学歴 者,人とのつながりの増加を感じた者 が多く,運動プログラム参加期間が長いという特徴がみられた。

・グループでの運動プログラムは参加者同士の社会的交流やつながりを増やし運動継続を促す可能性がある。

・地域活動の参加が苦手な方は、スポーツクラブのグループ運動に参加するのも、フレイル予防にいいと思われる。

注意
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。

しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。

記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。

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