以前の記事で、化学療法を受けた乳がん患者はフレイルや認知機能低下を生じやすいことを紹介しました。
今回は肺がんの患者さんが抗がん剤治療を受けるときに、体力が低下することについて調べた論文を紹介します。
体力が低下すると、病気に弱くなったり、生活に困ったりすることがあります。
この論文は、肺がんの患者さんがどのくらい体力が低下しているか、そしてその原因や対処法は何かを調べたものです。
肺がんは、世界中で多くの人々がかかる病気です。
2020年には、約221万人の人々が肺がんと診断され、約73%の肺がんの患者さんは、一生のうちに少なくとも1回は抗がん剤治療を受けます。
しかし、抗がん剤治療には副作用もあります。
食欲不振や吐き気、腸の問題、髪の毛の脱落、口内炎などの身体的な副作用だけでなく、心理的な副作用もあります。
さらに、抗がん剤治療は体内で活性酸素を大量に発生させるため、早期老化や体力の低下を引き起こすこともあります。
今回紹介する論文では、肺がんの患者さん302人に質問や検査をして、体力の低下の程度や症状を調べま、14人の患者さんにインタビューをして、体力の低下についてどう感じているかやどう対処しているかを調査しています。
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今回紹介する論文の概要
今回紹介する論文は、肺がんの患者さん302人に質問や検査をして、体力の低下の程度や症状を調べま、14人の患者さんにインタビューをして、体力の低下についてどう感じているかやどう対処しているかを調査した内容になります。
「Duan L, et al. Symptoms and experiences of frailty in lung cancer patients with chemotherapy: A mixed-method approach. Front Oncol. 2022 Oct 6;12:1019006. doi: 10.3389/fonc.2022.1019006. 」。
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方法
Duan L, et al. Symptoms and experiences of frailty in lung cancer patients with chemotherapy: A mixed-method approach. Front Oncol. 2022 Oct 6;12:1019006. doi: 10.3389/fonc.2022.1019006.
この論文では、二つの方法を使って体力の低下を調べました。
まず、質問や検査をして数値で表す方法について説明します。
この方法では、肺がんの患者さん302人にいろいろな質問や検査をしました。
質問や検査は以下のようなものです。
- 年齢や性別、住まい、収入などの基本的な情報
- 肺がんの種類や進行度、治療法などの病気に関する情報
- 体力の低下を測るための尺度である「フレイル」スケール
- がんに関連する疲労感を測るための尺度である「がん疲労スケール」
- 不安やうつ状態を測るための尺度である「不安・うつスケール」
- 睡眠の質を測るための尺度である「ピッツバーグ睡眠質指数」
これらの質問や検査は、自分で答えたり、手で握力計を握ったり、歩く速さを測ったりするものです。
それぞれの質問や検査には点数があります。点数が高いほど、体力が低下しているということになります。
次に、インタビューをして感想や経験を聞く方法について説明します。
この方法では、「フレイル現象」スケールで3点以上だった患者さん14人にインタビューしました。
インタビューでは以下のような質問をしました。
- 抗がん剤治療後にどんな症状がありましたか(身体的な症状や心理的な症状など)
- それらの症状は生活にどんな影響がありましたか
- それらの症状の原因は何だと思いますか
- それらの症状は時間とともに変化しましたか
- それらの症状に対処するためにどうしましたか
- それらの症状に対して特別な支援が必要でしたか
- 体力の低下について他に何か思うことがありますか
これらの質問に答えてもらうことで、患者さんが体力の低下についてどう感じているかやどう対処しているかを聞いています。
インタビューは録音されて、後で文字に起こされました。
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結果
Duan L, et al. Symptoms and experiences of frailty in lung cancer patients with chemotherapy: A mixed-method approach. Front Oncol. 2022 Oct 6;12:1019006. doi: 10.3389/fonc.2022.1019006.
こちらの表は、肺がんの患者さん302人の体力の低下を測るための尺度である「フレイル」スケールの結果をまとめたものです。
「フレイル」スケールとは、体力の低下を測るための尺度で、以下の5つの項目からなります。
- 疲労感
- 弱さ
- 遅さ
- 低い身体活動量
- 突然の体重減少
5つの項目の合計点数が0点なら「非フレイル(体力が低下していない)」、1~2点なら「プレフレイル(体力が低下しつつある)」、3点以上なら「フレイル(体力が低下している)」と判断されます。
この表では、「フレイル」スケールの合計スコアと、それぞれの項目のスコアが示されています。
合計スコアは「FP total score」と表され、平均値が「1.63±1.35」となっています。
これは、肺がんの患者さん302人の平均的な体力の低下の程度を示しています。
平均的に見ると、「プレフレイル(体力が低下しつつある)」程度であることがわかります。
また、それぞれの項目についてもスコアが示されています。「Grip strength」は「弱さ」、「Body weight loss」は「突然の体重減少」、「Fatigue」は「疲労感」、「Physical activity」は「低い身体活動量」、「Walking speed」は「遅さ」を表しています。それぞれの項目について、平均値が示されています。
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Duan L, et al. Symptoms and experiences of frailty in lung cancer patients with chemotherapy: A mixed-method approach. Front Oncol. 2022 Oct 6;12:1019006. doi: 10.3389/fonc.2022.1019006.
こちらのグラフは「フレイル」スケールの質問に該当した割合を示しています。
肺がんの患者さん302人の中で、「弱さ」という項目が最も多く当てはまっており、「遅さ」と「低い身体活動量」という項目はあまり当てはまっていません。
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Duan L, et al. Symptoms and experiences of frailty in lung cancer patients with chemotherapy: A mixed-method approach. Front Oncol. 2022 Oct 6;12:1019006. doi: 10.3389/fonc.2022.1019006.
基本情報としては、年齢、性別、月収、TNMステージング、化学療法の回数がフレイルと関連していることがわかりました。
年齢が高いほどフレイル状態になりやすく、女性よりも男性の方がフレイル状態になりやすいことが見られます。
また、月収が低いほどフレイル状態になりやすく、TNMステージングが進行するほどフレイル状態になりやすいこともわかります。
化学療法の回数もフレイル状態と正の相関があり、化学療法を受けるほどフレイル状態になりやすいことがわかりました。
表4は、肺がん患者のフレイル状態と疲労との相関を示しています。
疲労は、CFSという尺度で測定されており、物理的、情緒的、認知的な3つのサブスケールに分けられています。
表から、フレイル状態はすべての疲労のサブスケールと正の相関があることがわかります。
つまり、フレイル状態になるほど疲労感が高まることを示しています。
特に、情緒的な疲労とフレイル状態の相関係数が最も高く(0.565)、物理的な疲労とフレイル状態の相関係数が次に高い(0.543)ことが見られます。
これは、フレイル状態になると心理的なストレスが増えることや、身体的な活動が制限されることが原因かもしれません。
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Duan L, et al. Symptoms and experiences of frailty in lung cancer patients with chemotherapy: A mixed-method approach. Front Oncol. 2022 Oct 6;12:1019006. doi: 10.3389/fonc.2022.1019006.
表8は、肺がん患者のフレイル状態と不安とうつとの相関を示しています。
不安とうつは、HADSという尺度で測定されており、それぞれのスコアが高いほど不安やうつの症状が重いことを示しています。
表から、フレイル状態は不安とうつの両方と正の相関があることがわかります。
つまり、フレイル状態になるほど不安やうつのリスクが高まることを示しています。
特に、うつとフレイル状態の相関係数が最も高く(0.508)、不安とフレイル状態の相関係数が次に高い(0.410)ことが見られます。
これは、フレイル状態になると生活の質が低下したり、将来に対する希望が失われたりすることで、うつ的な気分になりやすいことや、不安感を抱きやすいことが原因かもしれません。
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この論文では、フレイルスケールで3点以上だった患者さん14人にインタビューを行い、体力の低下についてどう感じているかやどう対処しているかを聞きました。
インタビューの結果、患者さんたちは抗がん剤治療後に様々な症状が現れることがわかりました。
例えば、手足の力が弱くなったり、体重が減ったり、疲れやすくなったりすることが多かったです。
また、患者さんたちはこれらの症状が生活に影響を与えることも報告しました。
例えば、家事や買い物ができなくなったり、外出が困難になったりすることがありました。
患者さんたちはこれらの症状の原因として、抗がん剤治療を挙げることが多かったです。
抗がん剤治療は肺がんを治すために必要ですが、同時に体に負担をかけてしまいます。
抗がん剤治療を受ける回数が多いほど、体力の低下もひどくなりました。
患者さんたちはこれらの症状に対して、様々な対処法を試みました。
例えば、適度な運動や栄養補給などがあります。
しかし、患者さんたちはあまり良い対処法を知らずに、医師や看護師から十分な情報や支援を受けていませんでした。
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考察
抗がん剤治療を受けると、体力が低下したり、疲れやすくなったりすることがあります。これを「フレイル」と呼びます。フレイルになると、生活に困ることや健康に悪いことがたくさんあります。
フレイルの症状は、体の症状と心の症状に分けられます。体の症状としては、だるさや筋力低下、体重減少や睡眠障害などがあります。心の症状としては、不安やうつ、人と会うのが嫌になるなどがあります。
フレイルの原因は、肺がんや抗がん剤治療だけではありません。年齢や栄養不足、運動不足、睡眠不足、心配事などもフレイルに影響します。
フレイルは、放っておくと悪化することもあります。医師と看護師は、インターネット、健康知識の講義、電話、継続的なケアなどのさまざまな介入を通じて、フレイル症状の管理を強化し、患者とのコミュニケーションを強化する必要があります。
正しい姿勢をつくる
がんの治療が認知機能におよぼす影響ついてはコチラにまとめてますので、参考にしてみてください。
・対象者の約8割は体力が低下していました。
・体力の低下は年齢や病気だけでなく、抗がん剤治療も大きく影響していました。抗がん剤治療を受ける回数が多いほど、体力の低下もひどくなりました。
・抗がん剤治療を受けている肺がんの患者さんは体力の低下に対してあまり良い対処法を知りませんでした。
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。
しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。
記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。
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