前回は、ラットを対象に、オキサリプラチンの神経障害の症状や治療法について調査した論文を紹介しました。
オキサリプラチンによる神経障害は、痛みや温冷覚の異常などの症状を引き起こしますが、様々な薬剤がその症状を改善する効果があることが示されていましたね。
神経症状は痛みだけでなく、温かさや冷たさの感じ方にも異常をきたしてしまうのですね。
このように化学療法を受けると、手足がしびれたり、痛みが出たりすることがあります。
しかし、その症状を正確に測るのは難しいんですよね。
そこで、視覚的アナログスケール(VAS)というものを使って、末梢神経障害(CIPN)を正確に評価する方法を紹介します。
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今回紹介する論文は、視覚的アナログスケール(VAS)の使用が、末梢神経障害(CIPN)を正確に評価するのかどうかを調査した内容になります。
「Takemoto S, et al. Precise evaluation of chemotherapy-induced peripheral neuropathy using the visual analogue scale: a quantitative and comparative analysis of neuropathy occurring with paclitaxel-carboplatin and docetaxel-carboplatin therapy. Int J Clin Oncol. 2012 Aug;17(4):367-72.」 2012年の少し古い論文になります。
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方法
Takemoto S, et al. Precise evaluation of chemotherapy-induced peripheral neuropathy using the visual analogue scale: a quantitative and comparative analysis of neuropathy occurring with paclitaxel-carboplatin and docetaxel-carboplatin therapy. Int J Clin Oncol. 2012 Aug;17(4):367-72.
この論文では、化学療法による末梢神経障害を正確に評価する方法について調べられています。
93人の患者さんが参加し、paclitaxelとcarboplatin治療(TC)またはpaclitaxelとdocetaxel治療(DC)を受けました。
患者さんは、化学療法の各サイクルが始まってから10日間、毎日視覚的アナログスケール(VAS)を使って、末梢神経障害についてアンケート調査に答えました。
VASスコアは、0から10までの水平線上で、筋肉や関節の痛み、手足のしびれの程度を示します。0は「痛みやしびれがない」ことを表し、10は「想像できる最悪の痛みやしびれ」を表します。
統計的な分析では、Mann-Whitney Uテストが使用され、差異が統計的に有意であるかどうかが判断されました。これは、2つのグループ間の差異を比較するために使用される非常に一般的な方法です。
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結果
Takemoto S, et al. Precise evaluation of chemotherapy-induced peripheral neuropathy using the visual analogue scale: a quantitative and comparative analysis of neuropathy occurring with paclitaxel-carboplatin and docetaxel-carboplatin therapy. Int J Clin Oncol. 2012 Aug;17(4):367-72.
Fig. 1は、TCとDCの2つの治療において、化学療法が始まってから10日間の間に、痛みとしびれのVASスコアがどのように変化するかを示しています。
この図から、TCでは、痛みのVASスコアが急激に上昇し、4日目から減少することがわかります。
一方、DCでは、VASスコアはほとんど変化しません。
しびれについても、TCではVASスコアが徐々に上昇し、6日目から減少することがわかります。
一方、DCでは、VASスコアはほとんど変化しません。
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Takemoto S, et al. Precise evaluation of chemotherapy-induced peripheral neuropathy using the visual analogue scale: a quantitative and comparative analysis of neuropathy occurring with paclitaxel-carboplatin and docetaxel-carboplatin therapy. Int J Clin Oncol. 2012 Aug;17(4):367-72.
Fig. 2は、TCとDCの2つの治療において、化学療法のサイクルごとに、痛みのVASスコアがどのように変化するかを示しています。
この図から、TCでは、7~8サイクル目でVASスコアが急激に上昇することがわかります。
一方、DCでは、VASスコアはサイクル数が増えてもほとんど変化しません。
Fig. 3は、TCとDCの2つの治療において、化学療法のサイクルごとに、しびれのVASスコアがどのように変化するかを示しています。
この図から、TCでは、1~2サイクル目から3~4サイクル目にかけてVASスコアが有意に上昇し、その後も徐々に上昇する傾向があることがわかります。
一方、DCでは、VASスコアはサイクル数が増えてもほとんど変化しません。
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この論文では、化学療法による末梢神経障害を正確に評価する方法について調べられています。
結果として、視覚的アナログスケール(VAS)を使うことで、末梢神経障害を正確に評価することができることが示されました。
特に、TC治療を受ける場合、7~8サイクル目で痛みが急激に増加し、しびれも徐々に増加する傾向があることがわかりました。
このようにVASで症状の変化を確認しながら、治療内容について医師と相談したほうがいいかもしれないですね。
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CIPNの発症,症状,評価についてはコチラにまとめてますので、参考にしてみてください。
CIPNの予防・治療についてはコチラにまとめてますので、参考にしてみてください。
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。
しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。
記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。
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