今回は、2022年に改訂されたがんサバイバーの栄養と運動に関するガイドラインについて紹介します。
前回は高齢がん患者さんの運動の実態や意欲について調査した論文を紹介しました。
推奨されている運動強度を行えているのは少ないという結果でしたね。
がんサバイバーに対する推奨事項はいくつかのガイドラインから発表されています。
このブログでも、2010年にアメリカスポーツ医学会(American College of Sports Medicine: ASCM)が発表した「がんサバイバーのための運動ガイドライン」を紹介しましたが、もう10年以上のガイドラインになりますね。
そこで今回は、2022年に改訂されたがんサバイバーの栄養と運動に関するガイドラインについて紹介します。
・運動は精神面や身体面に対する効果やがんの治療の耐用性や効果をアップさせる可能性があるので推奨されている。具体的には有酸素運動とレジスタンストレーニングの併用が推奨される。
・がんサバイバーは十分な栄養摂取を維持する必要があり、栄養摂取にマイナスの影響を与える症状(栄養影響症状としても知られる)を同定し管理する必要がある。
・適切な運動と食事のために、早めに評価やカウンセリングを受けることが推奨されている。
・1週間あたり150~300分の中強度の身体活動(または75~150分の強度の身体活動)を行い、上限である300分を満たすか超えるように努力することが理想的である。
今回紹介する研究の概要
今回紹介する論文は、2022年に改訂されたがんサバイバーの栄養と運動に関するガイドラインとなっています。
「Rock CL, Thomson CA, Sullivan KR, et al. American Cancer Society nutrition and physical activity guideline for cancer survivors. CA Cancer J Clin. 2022 Mar 16.」、2022年に発行された新しいガイドラインです。
なりたい体になる為のプロテイン【FIXIT DAILY BASIC ホエイプロテイン】身体活動
As previously reviewed,13, 14 there is sufficient evidence that exercise during cancer treatment is beneficial in managing several aspects of quality of life during cancer treatment. Although the evidence is sufficient for exercise prescriptions in the management of several cancer diagnoses or treatment-related side effects, such as anxiety, depression, physical function, and lymphedema, additional evidence for the management of other symptoms and side effects is still needed.13 Specific recommendations for physical activity include aerobic exercise, resistance training, or a combination of both for expected patient benefits. Moreover, preliminary evidence suggests that exercise during cancer treatment may improve treatment tolerance15 and response,16 although current evidence is insufficient to make any recommendations.
Most studies support that exercise is generally safe for individuals undergoing cancer treatment. However, because most of these studies are randomized controlled trials that may include healthier participants than the general population of patients with cancer, it is important for patients who have cancer to seek medical evaluation to inform their individual exercise program during treatment.13, 14 This type of guidance is valuable in creating a safe and effective fitness plan for patients who have cancer with appropriate and tailored modifications related to specific cancer diagnosis or treatment-related issues, such as breast cancer-related lymphedema. Individuals undergoing cancer treatment are encouraged to be active members of their nutrition and physical activity care planning team. Interventions during and immediately after treatment should be individualized and realistic and should have scientific support.13, 14
Rock CL, Thomson CA, Sullivan KR, et al. American Cancer Society nutrition and physical activity guideline for cancer survivors. CA Cancer J Clin. 2022 Mar 16.
がん治療中の運動は、がん治療中のQOLのいくつかの側面の管理に有益であるという十分な証拠があります。
不安、うつ、身体機能、リンパ浮腫など、いくつかのがんの診断や治療に関連した副作用の管理における運動処方については十分な証拠があるが、その他の症状や副作用の管理についてはさらなる証拠が必要となっています。
身体活動に関する具体的な推奨には、有酸素運動、レジスタンストレーニング、またはその併用です。
さらに、がん治療中の運動は治療への耐容性と反応性 を改善する可能性があることを示唆していますが、十分な証拠はないようです。
ほとんどの研究が、がん治療中の患者にとって運動は一般的に安全であることを支持している。
しかし、これらの研究のほとんどはランダム化比較試験であり、がん患者の一般集団よりも健康な参加者が含まれる可能性があるため、がん患者は治療中の個々の運動プログラムを知らせるために医学的評価を受けることが重要です。
つまり、運動は精神面や身体面に対する効果やがんの治療の耐用性や効果をアップさせる可能性があるので推奨されています。有酸素運動とレジスタンストレーニングの併用が推奨されるようです。
なりたい体になる為のプロテイン【FIXIT DAILY BASIC ホエイプロテイン】栄養
Although advances in cancer diagnosis and treatment have improved clinical outcomes, the inability to maintain adequate nutritional status because of cancer symptoms and treatment-related side effects is common and can negatively impact overall clinical outcomes.
Survivors need to maintain adequate nutritional intake, and symptoms related to the tumor and/or to the treatment that negatively impact nutritional intake, also known as nutrition impact symptoms, should be identified and managed.
If oral intake does not support adequate nutrient intake to meet energy expenditure, the Recommended Dietary Allowance for vitamins and minerals, and >1 g of protein per kilogram of body weight per day, then the use of an oral nutritional supplement should be implemented.
If intake remains insufficient, consideration should be given to additional nutrition support strategies, such as an enteral nutrition tube feeding regimen; and, if enteral nutrition support is contraindicated, parenteral nutrition support could be considered to meet nutritional needs.
The National Comprehensive Cancer Network (NCCN) and the American Society for Clinical Oncology (ASCO) recently published guidelines for cancer survivors and their clinicians outlining diet, nutrition, and physical activity recommendations. Highlights include:
Recommendations to eat a healthy diet pattern, with adequate macronutrient and micronutrient content from both animal-based and plant-based food options but with a preference to plant-based diet patterns;
Caution regarding the overuse and misuse of dietary supplements during and after treatment; Adherence to food safety procedures to avoid foodborne illnesses; and Being as physically active as possible.
Rock CL, Thomson CA, Sullivan KR, et al. American Cancer Society nutrition and physical activity guideline for cancer survivors. CA Cancer J Clin. 2022 Mar 16.
がんの診断と治療における進歩により臨床転帰は改善しているが、がんの症状および治療関連の副作用により十分な栄養状態を維持できないことはよくあり、臨床転帰全体に負の影響を及ぼすことがあります。
サバイバーは十分な栄養摂取を維持する必要があり、栄養摂取にマイナスの影響を与える腫瘍および/または治療に関連する症状(栄養影響症状としても知られる)を同定し管理する必要があります。
経口摂取により、十分な栄養摂取量が得られない場合は、経口栄養補助食品の使用を実施する必要があります。
摂取量が依然として不十分な場合は、経腸栄養チューブ栄養法などの追加的な栄養サポート戦略を検討する必要があります。
全米総合がんネットワーク(NCCN)と米国臨床腫瘍学会(ASCO)が発表したガイドラインでは、
動物性食品と植物性食品の両方から十分な多量栄養素と微量栄養素を摂取し、植物性食品を優先した健康的な食事パターンを推奨しています。
さらに、治療中および治療後の栄養補助食品の過剰使用や誤用に関する注意、食中毒を避けるための食品安全手順の遵守、できるだけ体を動かすことが推奨されています。
やはり、経口摂取とたんぱく質の必要性が記載されているようですね。
なりたい体になる為のプロテイン【FIXIT DAILY BASIC ホエイプロテイン】がん種別の記載
身体活動は、乳がん、結腸がん、前立腺がんなど、患者数の多いがんの患者生存率を高めるように働くと記載されている。
一方、肥満は、乳がん、子宮内膜がん、膀胱がんの患者転帰の悪化と関連している。
また、肉類、高脂肪乳製品、精製穀物、フライドポテト、菓子、デザートを多く含む“西洋型”と呼ばれる食事スタイルは、結腸がん、乳がん、前立腺がんの生存者の転帰を悪化させる。
アルコールについては、肝臓、喉頭、咽頭、頭頸部のがんについては、診断後のアルコール摂取量が多いと、全死亡(がん死に限らず、あらゆる原因による死亡)のリスクが高くなると記載されている。
運動や栄養、肥満に関しては、研究が少なく強く言えないがん種が多いというだけで、どのがん種でも注意すべきポイントだと思います。
なりたい体になる為のプロテイン【FIXIT DAILY BASIC ホエイプロテイン】がんサバイバーに対する一般的な推奨事項
Rock CL, Thomson CA, Sullivan KR, et al. American Cancer Society nutrition and physical activity guideline for cancer survivors. CA Cancer J Clin. 2022 Mar 16.
- 栄養評価およびカウンセリングは、栄養不足の予防または解消、筋肉量の維持、および栄養状態に悪影響を及ぼす可能性のある治療の副作用の管理を目的として、診断後できるだけ早く開始すべきである。
- 身体活動の評価およびカウンセリングは、患者が治療の準備をし、治療に耐え、反応し、がんに関連した症状および治療に関連した副作用を管理できるようにすることを目的として、診断後できるだけ早く開始すべきである。
- 長期的な健康を改善し、生存の可能性を高めるために、肥満を避け、食事と身体活動によって筋肉量を維持または増加させる。
- がんの種類、患者さんの健康状態、治療法、症状や副作用を考慮した上で、定期的に身体活動を行う。
- 栄養ニーズを満たし、慢性疾患予防のための勧告に沿った健康的な食事パターンを守る。
適切な運動と食事のために、早めに評価やカウンセリングを受けることが推奨されています。
医師や理学療法士、栄養士などで相談できる人がいたら、まずは相談からがいいでしょう。
なりたい体になる為のプロテイン【FIXIT DAILY BASIC ホエイプロテイン】個人で行うがん予防のためのガイドライン
Rock CL, Thomson CA, Sullivan KR, et al. American Cancer Society nutrition and physical activity guideline for cancer survivors. CA Cancer J Clin. 2022 Mar 16.
1. 生涯を通じて健康的な体重を達成し、維持する。
体重を健康的な範囲に保ち、成人期の体重増加を避ける。
2. 身体を活発に動かす。
成人は1週間あたり150~300分の中強度の身体活動(または75~150分の強度の身体活動)を行い、上限である300分を満たすか超えるように努力することが理想的である。
子供と青年は、毎日少なくとも1時間、中強度または強度の活動を行う必要があります。
もっと動いて、もっと座りましょう。
3. 年齢に関係なく、健康的な食事パターンを心がけましょう。
健康的な食事パターンには以下が含まれる。
健康的な体重を維持するのに役立つ量の栄養素を多く含む食品。
濃い緑、赤、オレンジ色の野菜、食物繊維の豊富な豆類、その他。
果物、特に色とりどりのホールフルーツ。
全粒穀物。
健康的な食事パターンでは、以下のものを制限するか、または含まない。
赤身の肉や加工肉
砂糖で甘くした飲料
高度に加工された食品と精製された穀物製品。
アルコールは飲まないのが一番です。
お酒を飲む人は、女性で1日1杯、男性で1日2杯を限度にしましょう。
運動量については10年前より、推奨の量がアップしている印象ですね。
もともと、週150分の中等度の運動が推奨されていましたが、150~300分と最大で週300分という具体的な時間が記載されています。
さらに、上限である300分を満たすか超えるように努力することが理想的であるということですので、毎日運動しても1日40分以上の運動を行うことが推奨されているようです。
私も、運動を気がけて行っていますが、なかなかこの推奨事項まで行うのは難しいですね・・・。
私も含めて、できるだけ推奨内容に達するようにぼちぼち頑張りましょう!!
・運動は精神面や身体面に対する効果やがんの治療の耐用性や効果をアップさせる可能性があるので推奨されている。具体的には有酸素運動とレジスタンストレーニングの併用が推奨される。
・がんサバイバーは十分な栄養摂取を維持する必要があり、栄養摂取にマイナスの影響を与える症状(栄養影響症状としても知られる)を同定し管理する必要がある。
・適切な運動と食事のために、早めに評価やカウンセリングを受けることが推奨されている。
・1週間あたり150~300分の中強度の身体活動(または75~150分の強度の身体活動)を行い、上限である300分を満たすか超えるように努力することが理想的である。
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。
しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。
記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。
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