前回は、CIPNの予防として運動が効果的であることを紹介しました。
運動によって、神経が変化するのを防ぐ可能性があるんでしたね。
それでは運動以外の方法で、CIPNを予防することは可能なのでしょうか?
最近では、CIPNの予防方法として、冷却療法(CryTx)と圧迫療法(ComTx)が注目されています。
以前に、圧迫療法はCIPNを改善させることも紹介しましたね。
そこで今回紹介する論文では、CIPNを防ぐための新しい治療法として、冷却療法(CryTx)と圧迫療法(ComTx)が調査されています。
これらの治療法は、世界中のがん治療センターで使用されており、その認識度や推奨度、使用される技術の種類、実施の障壁、副作用などが詳しく調べられています。
このような最新の研究を紹介することで、患者さんが自分自身の治療についてより深く理解し、適切な選択ができるようになると思います。
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今回紹介する論文の概要
今回紹介する論文は、CIPNを防ぐための冷却療法(CryTx)と圧迫療法(ComTx)についての認識や推奨度、使用される技術の種類、実施の障壁、副作用などを調査した内容になります。
「Chan A, et al. A global survey on the utilization of cryotherapy and compression therapy for the prevention of chemotherapy-induced peripheral neuropathy. Support Care Cancer. 2022 Dec;30(12):10001-10007.」. 2022年の新しい論文になります。
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方法
この論文では、がん患者さんが化学療法を受ける際に起こる副作用である末梢神経障害(CIPN)を防ぐための治療法として、冷却療法(CryTx)と圧迫療法(ComTx)が調査されています。
調査方法としては、世界中のがん治療センターで活躍する医師や看護師などの医療従事者を対象に、電子アンケートが実施されました。
このアンケートでは、CryTxとComTxについての認識度や推奨度、使用される技術の種類、実施の障壁、副作用などが詳しく調べられました。
アンケートの結果は、統計学的な手法を用いて分析されました。
具体的には、回答者の特徴や意見がどのように関連しているかを調べるために、ロジスティック回帰分析などが行われました。
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結果
Chan A, et al. A global survey on the utilization of cryotherapy and compression therapy for the prevention of chemotherapy-induced peripheral neuropathy. Support Care Cancer. 2022 Dec;30(12):10001-10007
Table 1は、この論文で行われた電子アンケートに回答した医療従事者の特徴をまとめた表です。
表によると、アンケートに回答した医療従事者のうち、70.1%が医師で、73.4%が10年以上の実務経験があり、49.5%が外来診療を行っていることがわかります。
また、回答者の地域別では、33.2%がアジア、31.0%がヨーロッパ、21.2%がアメリカ合衆国に所在していました。
この表からは、アンケートに回答した医療従事者の職種や経験年数、診療形態、地域などがわかります。これらの情報は、アンケート結果を分析する際に重要な参考となります。
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Chan A, et al. A global survey on the utilization of cryotherapy and compression therapy for the prevention of chemotherapy-induced peripheral neuropathy. Support Care Cancer. 2022 Dec;30(12):10001-10007
Table 2は、この論文で行われた電子アンケートに回答した医療従事者が、冷却療法(CryTx)と圧迫療法(ComTx)についてどのような認識を持っているかをまとめた表です。
表によると、回答者の63.3%が、CryTxがタキサン系抗がん剤による末梢神経障害(CIPN)を減らす可能性があることを認識していました。
また、39.7%が、ComTxがタキサン系抗がん剤によるCIPNを減らす可能性があることを認識していました。
一方で、オキサリプラチンによるCIPNの予防については、31%がCryTxの効果を認識しており、16.3%がComTxの効果を認識していました。
この表からは、医療従事者がCryTxとComTxについてどの程度認識しているかがわかります。これらの情報は、アンケート結果を分析する際に重要な参考となります。
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Chan A, et al. A global survey on the utilization of cryotherapy and compression therapy for the prevention of chemotherapy-induced peripheral neuropathy. Support Care Cancer. 2022 Dec;30(12):10001-10007
Table 3は、この論文で行われた電子アンケートに回答した医療従事者が、冷却療法(CryTx)についてどのような認識を持っているか、その認識が回答者の特徴とどのように関連しているかをまとめた表です。
表によると、タキサン系抗がん剤による末梢神経障害(CIPN)の予防において、CryTxの効果を認識している医療従事者は、ヨーロッパ在住(OR = 2.69)、入院患者を診察していない(OR = 3.15)、医師以外の職種(OR = 2.40)であることが有意に多かったことがわかります。
この表からは、医療従事者がCryTxについてどの程度認識しており、その認識が回答者の特徴とどのように関連しているかがわかります。これらの情報は、アンケート結果を分析する際に重要な参考となります。
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Chan A, et al. A global survey on the utilization of cryotherapy and compression therapy for the prevention of chemotherapy-induced peripheral neuropathy. Support Care Cancer. 2022 Dec;30(12):10001-10007
Table 4は、この論文で行われた電子アンケートに回答した医療従事者が、冷却療法(CryTx)と圧迫療法(ComTx)を実際に使用する際に、どのような技術や方法が用いられているかをまとめた表です。
表によると、CryTxにおいては、商用の冷却グローブや靴下が31.5%で最も多く使用されており、氷の袋が16.3%で次に多く使用されていました。
一方、ComTxにおいては、圧迫グローブや靴下が16.8%で最も多く使用されており、手術用の手袋が3.3%で次に多く使用されていました。
この表からは、医療従事者がCryTxとComTxを実際に使用する際に、どのような技術や方法が用いられているかがわかります。これらの情報は、アンケート結果を分析する際に重要な参考となります。
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Chan A, et al. A global survey on the utilization of cryotherapy and compression therapy for the prevention of chemotherapy-induced peripheral neuropathy. Support Care Cancer. 2022 Dec;30(12):10001-10007
Fig. 1は、この論文で行われた電子アンケートに回答した医療従事者が、冷却療法(CryTx)と圧迫療法(ComTx)を実際に使用する際に、どのような障壁があるかをまとめた図です。
図によると、CryTxとComTxの使用において、最も大きな障壁は「効果に対する証拠が不十分であること」であり、53.5%の回答者がこれを挙げていました。
次に多かったのは「物流上の問題」であり、34.8%の回答者がこれを挙げていました。
その他にも、「患者さんが不快に感じること」(23.4%)、「合併症が心配であること」(11.4%)、「氷が溶けて滑りやすくなるなどの危険性があること」(7.6%)、「治療効果が低下する可能性があること」(3.8%)、「知識が不足していること」(3.3%)などが挙げられていました。
この図からは、医療従事者がCryTxとComTxを実際に使用する際に、どのような障壁があるかがわかります。これらの情報は、アンケート結果を分析する際に重要な参考となります。
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Chan A, et al. A global survey on the utilization of cryotherapy and compression therapy for the prevention of chemotherapy-induced peripheral neuropathy. Support Care Cancer. 2022 Dec;30(12):10001-10007
Fig. 2は、この論文で行われた電子アンケートに回答した医療従事者が、冷却療法(CryTx)と圧迫療法(ComTx)を使用する際に、どのような副作用があると認識しているかをまとめた図です。
図によると、CryTxとComTxの使用において、最も多く認識されている副作用は「皮膚の赤みや刺激」であり、27.7%の回答者がこれを挙げていました。
次に多かったのは「しびれや痺れ」であり、24.5%の回答者がこれを挙げていました。
その他にも、「凍傷」(10.9%)、「水ぶくれ」(4.9%)などが挙げられていました。
この図からは、医療従事者がCryTxとComTxを使用する際に、どのような副作用があると認識しているかがわかります。これらの情報は、アンケート結果を分析する際に重要な参考となります。
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考察
今回の研究の結果、CryTxについては比較的高い認識度と推奨度があることがわかりました。
一方で、ComTxについては認識度と推奨度が低かったことがわかりました。
また、CryTxとComTxを実際に使用する際には、さまざまな技術や方法が用いられており、それらの効果や安全性についても詳しく調べられています。
ただし、現在のところ、CryTxとComTxの効果については十分な証拠が得られておらず、その使用には慎重な判断が求められます。
今後、患者さん自身がこの論文の結果を役立てるためには、自分自身の治療についてより深く理解し、医師や看護師などの医療従事者と相談しながら適切な選択をすることが大切です。
効果と安全性を保障する研究が進んで、予防方法として普及したらいいですね!!
正しい姿勢をつくる
CIPNの発症,症状,評価についてはコチラにまとめてますので、参考にしてみてください。
CIPNの予防・治療についてはコチラにまとめてますので、参考にしてみてください。
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。
しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。
記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。
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