内分泌療法によるホットフラッシュ・関節痛の対応は?【ガイドライン解説】

今回は、乳癌診療ガイドラインより、内分泌療法によるホットフラッシュ・関節痛の対応について記載している内容を紹介します。

前回は乳癌診療ガイドラインより、アロマターゼ阻害薬を使用している乳がん患者に対する骨吸収抑制薬の使用について紹介しました。

アロマターゼ阻害薬を使用している乳がん患者に骨吸収抑制薬は推奨されるか?【ガイドライン解説】

2022年10月28日

乳癌診療ガイドラインには乳癌の治療のことはもちろんですが、骨量低下のような副作用の対応についても記載されています

 

乳癌治療の副作用としてよく挙げられるのが、内分泌療法によるホットフラッシュ・関節痛ですね。

これらは、主に女性ホルモンが抑制されるために起こり、症状としてはほてり,発汗,動悸などの更年期障害様の症状が主であります。

このような副作用に困っている患者さんも多いので、何とか対応したいですよね。

  

そこで今回は、乳癌診療ガイドラインより、内分泌療法によるホットフラッシュ・関節痛の対応について記載している内容を紹介します。

まとめ
・乳癌診療ガイドラインより、内分泌療法によるホットフラッシュ・関節痛の対応について記載している内容を紹介。

・内分泌療法によるホットフラッシュに対して,ホルモン補充療法は行うべきではない。

・選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRI)などの薬物療法の有用性については,さらなる研究の蓄積が期待される。

・関節痛に対しては,非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)やアセトアミノフェン等の薬物療法を行う。薬物療法で対処困難な場合には,内分泌療法の変更を行う。

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ホットフラッシュ

ホットフラッシュ(ほてり,のぼせ)は,血中のエストロゲンが少なくなり,視床下部の体温調節中枢に関与するセロトニンやノルエピネフリンなどの神経伝達物質のレベルが変動することなどにより起こると考えられています。

 

内分泌療法を受けている乳癌患者の50%以上がホットフラッシュを経験し,その頻度はアロマターゼ阻害薬に比べてタモキシフェン投与中の患者のほうが高いです。

通常,タモキシフェンやアロマターゼ阻害薬によるホットフラッシュは,治療開始後数カ月を過ぎると次第に軽減するので,症状が軽度であれば経過観察でよいとされています。

しかし、症状が強い場合,QOL改善のためさまざまな対応がなされています。

 

ホルモン補充療法は,更年期症状の一つであるホットフラッシュを認める場合に行われることがありますが、乳癌術後の患者を対象としたランダム化比較試験の結果から,ホルモン補充療法を行うことにより乳癌再発が増加することが報告されたため,乳癌術後にはホルモン補充療法は行うべきではありません。

 

薬物療法については,選択的セロトニン再取込み阻害薬(selective serotonin reuptake inhibitor;SSRI),GABAアナログ,α2アドレナリン作動薬,ドパミン拮抗薬などがランダム化比較試験によりホットフラッシュの軽減効果があることが認められています。

ビタミンEや酸化マグネシウムに関してランダム化比較試験が報告されているものの,いずれの試験においてもプラセボと比較して臨床的に意義のある差は認めていません。

酢酸メゲステロールはホットフラッシュを抑える効果が報告されており,酢酸メドロキシプロゲステロンも同様の効果がある可能性はあるが,体重増加・血栓症などのリスクもあり,長期予後への影響も不明であるため,現時点では積極的に推奨されていません。

 

米国のNAMS(North American Menopause Society)のガイドラインでは,乳癌患者のホットフラッシュの治療にはSSRIが有効だとしています。

ただし,タモキシフェンの効果が減弱する可能性もあるため,タモキシフェン投与中の患者におけるSSRI投与に関しては慎重に判断すべきです。

また,SSRIはアロマターゼ阻害薬によるホットフラッシュに対して有用である可能性はあるが,エビデンスは十分でありません。

 

その他の対処法として,大豆イソフラボンやハーブなどのサプリメントおよび漢方薬なども試みられることがあるが,これらが実際に有用かどうかはまだわかっていません。

一方,鍼療法の効果も検討されており,確定的ではないがその効果は期待できます。

海外では催眠療法のプログラムや認知行動療法および身体運動の有用性が示唆されているが,国内では検討されていません。

 

鍼療法や運動については以前もその効果を紹介しましたね。

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関節痛

アロマターゼ阻害薬の内服中に問題となる副作用の一つに,関節のこわばりや痛みがあります。

ランダム化比較試験での報告では,アロマターゼ阻害薬を使用した治療群の15~25%程度に関節症状が出現しています。

さらに、実臨床ではもっと頻度が高いことが示唆されており,アロマターゼ阻害薬を使用した患者の47%が関節痛を訴えたとする報告もあります。

発症原因については,関節の炎症によるものではなく,エストロゲンが枯渇したために二次的に起こると考えられています。

典型的には内服開始後2~3カ月以内に起こり,閉経後早期(5年以内)例で発症しやすいとの報告があり、関節痛は,治療中に消失することはほとんどないため,さまざまな対処法が検討されています。

 

薬物療法については,対症療法として非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs),アセトアミノフェン,オピオイドなどが有効で,使用した過半数の患者で効果が得られるとする報告もあります。

薬物療法で対処困難な場合には,治療を中止するのではなく,他の内分泌療法薬(他のアロマターゼ阻害薬やタモキシフェン)へ変更するのが望ましいとされています。

アナストロゾール内服中に筋肉・骨症状のために内服中止となった患者に,レトロゾールに切り替えて治療を継続したところ,6カ月の時点で71.5%の患者で治療が継続できていたとする前向き研究結果があるります。

 

その他の対処法として,アロマターゼ阻害薬による関節痛やこわばりに対して,鍼治療の有用性を検証したランダム化比較試験が複数報告されています。

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結論

・内分泌療法によるホットフラッシュに対して,ホルモン補充療法は行うべきではない。
・選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRI)などの薬物療法の有用性については,さらなる研究の蓄積が期待される。
・関節痛に対しては,非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)やアセトアミノフェン等の薬物療法を行う。薬物療法で対処困難な場合には,内分泌療法の変更を行う。

ホットフラッシュも関節痛も、なかなか難渋する症状ですね。

薬物療法で効果が出なかったり、薬物療法自体が困難な場合もあるので、運動などの他の手段を検討してもいいかもしれないですね。

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まとめ
・乳癌診療ガイドラインより、内分泌療法によるホットフラッシュ・関節痛の対応について記載している内容を紹介。

・内分泌療法によるホットフラッシュに対して,ホルモン補充療法は行うべきではない。

・選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRI)などの薬物療法の有用性については,さらなる研究の蓄積が期待される。

・関節痛に対しては,非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)やアセトアミノフェン等の薬物療法を行う。薬物療法で対処困難な場合には,内分泌療法の変更を行う。

注意
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。

しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。

記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。

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