乳がん手術後の筋トレはリンパ浮腫を予防する!

      

前回は、乳がん手術後の早期理学療法がリンパ浮腫発症を予防するという内容の論文を紹介しました。

      

乳がん手術後早期の理学療法はリンパ浮腫を予防する

2023年7月11日

     

介入方法としては、リンパドレナージやストレッチ、筋トレ、教育的介入など、複合的治療をしっかりと行っていましたね。

    

一方で、以前、リンパ浮腫が発症している患者さんに対して、上肢のウェイトリフティングを行っても、浮腫の増悪はなく運動機能が改善したという論文も紹介しました。

    

がんの腕のむくみ、リンパ浮腫に対する筋トレは安全かつ効果的!

2023年7月4日

    

同じようにウェイトリフティングなどの筋トレのみで、リンパ浮腫を予防することはできないのでしょうか?

     

複合的治療は、やはり専門性が高くて、自分だけじゃ難しいですが、筋トレならなんとか自分でできそうですよね。

     

そこで今回は、乳がん術後の患者さんに対して、ウェイトリフティングを実施することがリンパ浮腫発症を予防できるかを検証した論文を紹介します。

     

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今回紹介する論文の概要

     

今回紹介する論文は、乳がん術後の患者さんに対して、ウェイトリフティングを実施することがリンパ浮腫発症を予防できるかを検証した内容になっています。

    

「Schmitz KH, Ahmed RL, Troxel AB, et al. Weight lifting for women at risk for breast cancer-related lymphedema: a randomized trial. JAMA. 2010 Dec 22;304(24):2699-705.」

     

2010年に発行された論文です。

     

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対象

     

対象は2005年10月から2007年2月の間に募集されました。

    

本研究の1-5年前に片側乳がんの診断を受けた女性154名です。

    

対象者の条件は、BMIが50以下、がんの再発がないこと、運動参加を制限する病状でないこととなっています。

     

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介入方法

    

対象者をウェイトリフティングを行う介入群と対照群の2群に分けています。

    

最初の13週間、介入群の女性は週に2回90分間、2~6人の生存者のグループでエクササイズの安全な実施について指導を受けました。

    

具体的な内容としては、上半身の筋トレ(シーテッドロー、仰臥位ダンベルプレス、ラテラルまたはフロントレイズ、バイセップスカール、トライセップスプッシュダウン)、下半身の筋トレ(レッグプレス、バックエクステンション、レッグエクステンション、レッグカール)を行っています。

     

上半身はダンベルが中心、下半身はマシントレーニングが中心です。

各セッションで、各運動を3セット、1セットあたり10回反復して行っています。

    

13週間は監視下で実施して、その後39週は自主練習で継続しています。

    

浮腫の増悪がなく、10回×3セットを2回完了できた場合には、各運動について可能な限り小さな単位で重量を増加させています。

     

ジムでの筋トレを中心に行った介入ですね。

    

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結果

    

Schmitz KH, Ahmed RL, Troxel AB, et al. Weight lifting for women at risk for breast cancer-related lymphedema: a randomized trial. JAMA. 2010 Dec 22;304(24):2699-705.

こちらの表は、運動機能や体組成などの変化を示しています。

介入群で筋力が改善、体脂肪が減少していました。

やはり、筋トレすると運動機能は改善するようですね。

Schmitz KH, Ahmed RL, Troxel AB, et al. Weight lifting for women at risk for breast cancer-related lymphedema: a randomized trial. JAMA. 2010 Dec 22;304(24):2699-705.

   

こちらの表は12か月後のリンパ浮腫の発症率を示しています。

    

リンパ浮腫の発症は、対照群で17%(75人中13人)、介入群で11%(72人中8人)となっており、介入群の発症率が有意に低い結果でした。

    

リンパ節郭清個数5 個以上の症例では対照群で22%(49人中11人)、介入群で7%(45人中3人)となっており、さらに介入群の発症率が有意に低い結果でした。

    

リンパ節の郭清が多く、リンパ浮腫発症のリスクが高い方に対して、運動の効果が出たようですね。

     

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結論

    

結論として、本研究の結果は、ゆっくりと段階的にウェイトリフティングを行うことで乳がんサバイバーにおけるリンパ浮腫発症のリスクが高まるという懸念を取り除きました。

    

特に、5個以上のリンパ節を切除した女性に限定した場合、リンパ浮腫の発症率は、介入群の女性では運動なしと比較して70%減少していました。

    

ウェイトリフティングの多くの健康上の利点は、現在、すべての乳がん生存者が利用できるようになるべきであることが示唆されるとのことです。

    

筋トレを行うだけでも、リンパ浮腫の予防効果が期待できそうですね。

でも、週2回90分間の筋トレを1年間継続するのは、なかなか根気がいりますね。

    

今回のように、ジムに通って運動を行うのもおすすめですね。

    

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リンパ浮腫に関する運動の効果はコチラにまとめています。参考にしてみてください。

【まとめ】がんのリンパ浮腫,むくみに対する運動の効果  

2023年7月5日

     

まとめ
・乳がん術後の患者さんに対してウェイトリフティングを実施することがリンパ浮腫発症を予防できるかを検証した内容の論文を紹介。

・週2回90分間の筋トレを1年間継続すると、運動機能が改善し、リンパ浮腫の発症率が低かった。

・特に、5か所以上のリンパ節郭清術を施行された患者に対して、筋トレをすることでリンパ浮腫発症のリスクが低下した。

・今回のようにジムに通って運動を行うこともおすすめです。

注意
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。

しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。

記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。

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