がん患者の予後にも関係するフレイルのチェック方法5項目 

今回は、がん患者さんの予後にも関係するフレイルのチェック方法5項目について紹介します。

 

以前からがん患者さんも、「加齢により心身が老い衰えた状態」であるフレイルに注意しなければならないことを紹介しています。

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そこで今回は、最もフレイルの評価で有名な5項目のチェック方法について紹介します。

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まとめ
・がん患者さんの予後にも関係するフレイルのチェック方法5項目について紹介。

・体重減少、倦怠感、活動性、握力、歩行速度の5項目がチェック項目として挙げられる。

・5項目のうち、3つ以上に該当するとフレイルと判定する。

・比較的簡単なチェック項目ですので、気になる方は確認してみましょう。

フレイルとは?

フレイルとは、簡単に言うと「加齢により心身が老い衰えた状態」のことになります。

イメージとしては介護状態の一歩手前のような状態です。

厚生労働省の報告書では、「加齢とともに心身の活力(運動機能や認知機能等)が低下し、複数の慢性疾患の併存などの影響もあり、生活機能が障害され、心身の脆弱性が出現した状態であるが、一方で適切な介入・支援により、生活機能の維持向上が可能な状態像」と記載されています。

つまり、放っておけば状態は悪くなるけれども、きちんと介入すればよくなる可能性もあるよっというわけです

厚生労働省 パンフレット 「食べて元気にフレイル予防」
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フレイルの診断:J-CHSスコア

フレイルの診断方法と最も有名なのが、FriedらのCardiovascular Health Study基準(CHS基準)というものです。

それを、日本で改訂した日本版CHS基準、すなわちJ-CHS基準が使用されています。

 

体重減少

まずチェックするのは体重減少についてです。

「6か月間で2~3㎏以上の(意図しない)体重減少がありましたか?」に「はい」と回答した場合が該当します。

ダイエットなどで意図的に痩せようとしている場合には該当しないというわけです。

1日の中でも体重は変動しますので、毎日同じ時間帯に体重測定して、変化していないかを確認する習慣をつけましょう。

 

倦怠感

次にチェックするのは倦怠感についてです。

「(ここ2週間)わけもなく疲れたような感じがする」に「はい」と回答した場合が該当します。

「数日間だけ疲れた」といった短期間の場合は該当しません。

また、運動や仕事などが忙しくて疲れたように、疲れる理由が思い当たる場合にも該当しません。

特に何をしたわけでもないけど、2週間以上疲れやすく感じる場合が該当するということです。

疲れやすくなったと感じた場合には、その原因や時期を少し考えてみましょう。

 

活動量

次にチェックするのは活動量についてです。

「軽い運動・体操(農作業も含む)を1週間に何日くらいしてますか?」及び「定期的な運動・スポーツ(農作業を含む)を1週間に何日くらいしてますか?」の2つの問いのいずれにも「運動・体操はしていない」と回答した場合が該当します。

週に1回でもいいので、軽い運動や作業なんかを行っている場合には該当しません。

散歩や体操くらいでもいいので週に何回かは動くように意識したほうがいいでしょう。

 

握力

運動機能でチェックするのは握力についてです。

利き手の測定で男性26㎏未満、女性18㎏未満の場合が該当します。

握力は全身の筋力の指標と言われています。

施設や病院などで握力計が使用できる場合には、ぜひ測ってみましょう。

どうしても握力計が準備できない場合には、ペットボトルのふたを開けるのに約15kg必要と言われていますので、ペットボトルのふたが開けにくく感じたら、握力を測定したほうがいいかもしれません。

 

歩行速度

最後に運動機能でチェックするのは歩行速度についてです。

(測定区間の前後に1mの助走路を設け、測定区間5mの時を計測する)1m/秒未満の場合が該当します。

5mなら5秒間、10mなら10秒間までに歩けるのが一つの目安です。

日常生活の中では、横断歩道を渡るのに1m/秒のスピードが必要と言われていますので、横断歩道が渡りにくくなってきた場合には注意しましょう。

ただし、最近は地域によっては青信号の時間が延長されている場合もあるようですので、絶対ではありません。

 

計算方法

以上の5項目でいくつ該当する項目があったかを計算します。

5つの項目のうち、3つ以上該当する場合は「フレイル」、1~2つ該当する場合は「プレフレイル」、いずれにも該当しない場合はロバスト(健常)となります。

「プレフレイル」というのは「フレイル」の前段階という意味です。フレイルにならないように注意しましょうという状態です。

健常者を「ロバスト」と表現しますので覚えておきましょう。

 

今回は、フレイルを評価する5項目について紹介しました。

比較的簡単にできるチェック項目ですので、気になる方はチェックしてみましょう!

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まとめ
・がん患者さんの予後にも関係するフレイルのチェック方法5項目について紹介。

・体重減少、倦怠感、活動性、握力、歩行速度の5項目がチェック項目として挙げられる。

・5項目のうち、3つ以上に該当するとフレイルと判定する。

・比較的簡単なチェック項目ですので、気になる方は確認してみましょう。

注意
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。

しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。

記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。

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