乳がん患者のオンラインでの心理的介入はリンパ浮腫の苦痛を軽減する 

今回は、乳がん患者さんに対してオンラインでの心理的介入を行って、リンパ浮腫などの身体イメージ関連の苦痛に対して効果があるのかを検証した論文を紹介します。

 

前回はリンパ浮腫患者さんに対するオンライン治療の症例報告を紹介しました。

リンパ浮腫患者に対してもオンライン治療が効果がある 

2022年6月22日

オンラインでのセルフケア獲得は可能でしたが、患者さんがオンラインの指示に厳密に従っていないと増悪が認められることもあるという報告でしたね。

 

以前は乳がん患者さんにもオンラインでの運動が効果があることも紹介しましたし、遠隔でのリハビリの需要が高くなっているようですね。

乳がんサバイバーの運動はオンラインでも効果あり!!

2022年4月29日

 

それでは、がん患者さんに対するオンライン治療は、セルフケアや運動以外にも他にもどのような種類があるのでしょうか?

そこで今回は、乳がん患者さんに対してオンラインでの心理的介入を行って、リンパ浮腫などの身体イメージ関連の苦痛に対して効果があるのかを検証した論文を紹介します。

まとめ
・乳がん患者さんに対しオンラインでの心理的介入を行って、リンパ浮腫などの身体イメージ関連の苦痛に対して効果があるのかを検証した論文を紹介。

・介入群には自己慈愛に基づく文章のサポートを中心としたオンラインでの心理的介入を実施した。

・乳がんに関連したリンパ浮腫を持つ女性や、特徴的に外見を重視する女性において、改善が認められた。

・乳がん患者さんは手術やリンパ浮腫が原因で、身体イメージの苦痛を抱えている方が多いので、これらの苦痛がオンラインで改善できるのであれば非常に有用であると思われる。

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今回紹介する研究の概要

今回紹介する論文は、がん患者さんに対してオンラインでの心理的介入を行って、リンパ浮腫などの身体イメージ関連の苦痛に対して効果があるのかを検証した内容になっています。

「Sherman KA, Przezdziecki A, Alcorso J, et al. Reducing Body Image-Related Distress in Women With Breast Cancer Using a Structured Online Writing Exercise: Results From the My Changed Body Randomized Controlled Trial. J Clin Oncol. 2018 Jul 1;36(19):1930-1940.」 2018年に発行された論文になります。

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対象

Adult female BCSs were eligible if they were previously diagnosed with stage I to III breast cancer and/or ductal carcinoma in situ and were disease free; had completed active breast cancer treatment; had experienced at least one negative event related to bodily changes after breast cancer that made the woman feel bad about herself (ie, something involving a feeling of failure, humiliation, or rejection); and could undertake an online writing activity in English. Approximately 500 women meeting eligibility criteria were invited to participate. Of these, 304 women consented (60.8% uptake rate) and completed baseline assessment.

Sherman KA, Przezdziecki A, Alcorso J, et al. Reducing Body Image-Related Distress in Women With Breast Cancer Using a Structured Online Writing Exercise: Results From the My Changed Body Randomized Controlled Trial. J Clin Oncol. 2018 Jul 1;36(19):1930-1940.

全国規模の乳がん消費者団体、大学・教育病院、シドニーのリンパ浮腫クリニック2施設で対象を選定しています。

成人女性で、過去にI期からIII期の乳がんおよび/または非浸潤性乳管がんと診断され無病であること、積極的な乳がん治療を終えたこと、乳がん後の身体の変化に関連して、女性が自分自身について嫌な気持ちになるようなネガティブな出来事(すなわち、失敗、屈辱、拒絶の感覚に関わるもの)を少なくとも1つ経験し、英語でオンラインライティング活動ができる304名が対象となっています。

206人の女性(68%)は乳がんだけの診断で、98人(32%)はリンパ浮腫を伴う乳がんの診断でした。

同意を得た304人の参加者のうち、283人(93.1%)が1週間評価を完了し、272人(89.5%)が1ヵ月評価を完了し、279人が3ヵ月評価を完了した。

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方法

We conducted an RCT to evaluate the efficacy of MyCB to reduce BID and enhance body appreciation among BCSs. A two-group, randomized controlled design with intervention (MyCB + UC) and active control (EW + UC) conditions was used.Study assessments were undertaken online at baseline and 1 week, 1 month, and 3 months after baseline .

Sherman KA, Przezdziecki A, Alcorso J, et al. Reducing Body Image-Related Distress in Women With Breast Cancer Using a Structured Online Writing Exercise: Results From the My Changed Body Randomized Controlled Trial. J Clin Oncol. 2018 Jul 1;36(19):1930-1940.

乳がん患者の身体イメージ関連の苦痛低減と身体評価向上に対するオンライン介入の有効性を評価するため,RCTを実施しています.

介入(MyCB+UC)およびアクティブコントロール(EW+UC)の2群ランダム化比較試験を実施し、ベースライン時、1週間後、1ヶ月後、3ヶ月後にオンラインで評価しています。

 

【MyCB+UCグループ(介入群)】

MyCB + UCグループは、乳がん後の自分の身体に関する苦痛な出来事について考え、その出来事を紹介するために自由に文章を書くように指示されました。

次に、がん治療後の自分の身体イメージについて書き続けました。

各プロンプトでは個別のテキストボックスを使用して、参加者の文章の構成を支援しています。

この短い文章介入は、腫瘍患者を対象とした自己慈愛に基づく文章介入を促すものと同様に、ユーザーの受容性を高め、時間的負担を軽減するように設計されています。

 

【EW+UCグループ(コントロール群)】

コントロール群は、介入群と同じ30分のオンライン作文活動を行ったが、自己慈愛に焦点を当てた作文プロンプトは一切使いませんでした。

一般的な指示(「その出来事についてさらに説明してください」)で書き続けるように指示されています。

 

介入方法が専門的でちょっと理解が難しいですが、現在の苦痛と将来のイメージを書き出しているようですね。

そして、介入群には自己慈愛に基づく文章のサポートを行っているようです。

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結果

Sherman KA, Przezdziecki A, Alcorso J, et al. Reducing Body Image-Related Distress in Women With Breast Cancer Using a Structured Online Writing Exercise: Results From the My Changed Body Randomized Controlled Trial. J Clin Oncol. 2018 Jul 1;36(19):1930-1940.

こちらのグラフは介入の結果を示しています。Aが身体イメージの苦痛、Bが身体イメージの理解になります。

オレンジの介入群が苦痛が軽減し、理解が高まっている結果となっています。

Sherman KA, Przezdziecki A, Alcorso J, et al. Reducing Body Image-Related Distress in Women With Breast Cancer Using a Structured Online Writing Exercise: Results From the My Changed Body Randomized Controlled Trial. J Clin Oncol. 2018 Jul 1;36(19):1930-1940.

こちらのグラフはリンパ浮腫の有無も含めて介入の結果を示しています。Aが身体イメージの苦痛、Bが抑うつ、Cが不安、Dが自分への思いやりになります。

ベースラインでは、オレンジのリンパ浮腫患者さんの方が抑うつや不安が高く、自分への思いやりが低い傾向にあります。

しかし、オレンジの実線の、リンパ浮腫患者の介入群では、身体イメージの苦痛や抑うつ、不安が軽減し、自分への思いやりが増加しているという結果になっています。

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結論

To our knowledge, this is the first RCT to specifically address BID in BCSs with a therapeutic self-compassion focused writing approach. The analyses demonstrated both statistically and clinically meaningful reductions in BID, particularly for women with breast cancer–related lymphedema and women who characteristically place high importance on physical appearance. The Web-based, self-administered MyCB intervention is low cost and requires minimal user time commitment.

Sherman KA, Przezdziecki A, Alcorso J, et al. Reducing Body Image-Related Distress in Women With Breast Cancer Using a Structured Online Writing Exercise: Results From the My Changed Body Randomized Controlled Trial. J Clin Oncol. 2018 Jul 1;36(19):1930-1940.

これは治療的自己慈愛に焦点を当てたライティングアプローチで乳がん患者の身体イメージの苦痛に扱った最初のRCTです。

解析の結果、特に乳がんに関連したリンパ浮腫を持つ女性や、特徴的に外見を重視する女性において、改善が認められました

ウェブベースの自己管理型MyCB介入は低コストであり、ユーザーの時間的負担は最小限でした。

 

乳がん患者さんは手術やリンパ浮腫が原因で、身体イメージの苦痛を抱えている方が多いので、これらの苦痛がオンラインで改善できるのであれば非常に有用ですね。

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まとめ
・乳がん患者さんに対しオンラインでの心理的介入を行って、リンパ浮腫などの身体イメージ関連の苦痛に対して効果があるのかを検証した論文を紹介。

・介入群には自己慈愛に基づく文章のサポートを中心としたオンラインでの心理的介入を実施した。

・乳がんに関連したリンパ浮腫を持つ女性や、特徴的に外見を重視する女性において、改善が認められた。

・乳がん患者さんは手術やリンパ浮腫が原因で、身体イメージの苦痛を抱えている方が多いので、これらの苦痛がオンラインで改善できるのであれば非常に有用であると思われる。

注意
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。

しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。

記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。

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