がんの症状に対して健康食品は効果があるのか?【ガイドライン解説】

今回は、がんの補完代替療法クリニカル・エビデンス(2016年版)より、がんの症状に対する健康食品の効果について記載している内容を紹介します。

今まで、鎮痛薬などを中心に、がんの痛みなどの症状に対する治療内容をいくつか紹介してきました。

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がんの症状に対しても、基本的にはまず薬物療法を考えることがいいと思いますが、世の中には「これが身体にいい」という治療法が溢れていますよね。

 

私も患者さんに、「○○は身体にいいんですか?」などと聞かれることが多いですが、医療者にとっては詳しくないことが多いので、あまりお勧めはしない(というか、あまり詳しくないのでわからない)ことが多いです。

 

しかし、緩和医療学会では、そのような科学的なエビデンスを示すことが難しい治療法に対して「がんの補完代替療法クリニカル・エビデンス(2016年版)」を発行して紹介してくれています。

 

患者さんが効果があるのか気になっている治療法も記載されていると思いますので、これからしばらくは、補完代替療法の効果について紹介していきたいと思います。

今回は、がんの症状に対して健康食品の効果について記載している内容を紹介します。

記載内容は、がんの補完代替療法クリニカル・エビデンス 2016年版. 特定非営利活動法人 日本緩和医療学会 緩和医療ガイドライン委員会 (編). 金原出版、から引用させていただいております。

まとめ
・がんの補完代替療法クリニカル・エビデンス(2016年版)より、がんの症状に対する健康食品の効果について記載している内容を紹介。

・健康食品が身体症状や精神症状を改善させるとは結論付けられない。

・ω‒3 脂肪酸は,がん患者の体重減少や悪液質に効果があるとする論文もあるが、有用であるとは結論付けられない。

・栄養指導などの介入は,がん患者の全般的なQOL を改善する可能性がある。

・抗酸化サプリメントなどは,治療の有害事象の軽減や生存率改善に効果がある可能性もあるが、過剰摂取には注意が必要である。

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健康食品とは何か?

がんの補完代替療法クリニカル・エビデンス 2016年版. 特定非営利活動法人 日本緩和医療学会 緩和医療ガイドライン委員会 (編). 金原出版

健康食品とは,法律上の定義はなく,「広く健康の保持増進に資する食品として販売・ 利用されているもの全般」を指しています。

その中でも,国が定めている「保健機能食品」として① 特定保健用食品、② 栄養機能食品、③機能性表示食品があります。

よくCMなんかで見る「特保」なんかが、これにあたるわけですね。

 

このように国が定めた健康食品は、もちろん健康にとっていいのでしょうけど、

一方で、内閣府食品安全委員会は以下のような注意喚起を発表しています。

 

  • 健康被害のリスクはあらゆる食品にあります。
  • 「 天然」「ナチュラル」「自然」のものが,安全であるとは限りません。
  • 多量に摂ると健康を害するリスクが高まります。
  • ビタミン・ミネラルをサプリメントで摂ると過剰摂取のリスクがあります。
  • 病気を治すものではないので,自己判断で医薬品から換えることは危険です。
  • 誰かにとって良い「健康食品」があなたにとっても良いとは限りません。

 

やはり、健康食品を過剰に摂取すれば、必ずしも病気が改善したり健康になるとは限らないといったことには注意が必要ですね。

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健康食品の身体症状に対する効果

がんの補完代替療法クリニカル・エビデンス 2016年版. 特定非営利活動法人 日本緩和医療学会 緩和医療ガイドライン委員会 (編). 金原出版

140編のシステマティックレビューをスクリーニングして、最終的に21編のレビューから検討しています。

痛み、消化器症状、呼吸器症状、泌尿器症状、倦怠感、睡眠障害に対しては、2016年度のガイドラインの時点では根拠を示すシステマティックレビューの報告はないため、その効果はわからないようです。

 

体重減少に対しては,栄養指導などの介入による12 件 の無作為化比較試験のメタアナリシスでは体重増加を認めましたが異質性が高いので,7 件に絞って再解析すると,統計学的有意差はなくなったという報告があります。

また、ω—3 脂肪酸を用いた7 件の無作為化比較試験のうち3 件において体重増加を認めたが,4 件においてはプラセボと比較して 統計学的有意差を認めなかったという報告もあり,栄養学的介入およびω—3 脂肪酸が,がん患者における体重減少の改善に有用であるとは結論づけられないとされています。

 

悪液質に対しては、ω‒3 脂肪酸は,小規模の無作為化比較試験では有効性が示唆されたものの,大規模の無作為化比較試験では有効性が確認で きなかったとされています。

他には、1.5 g/日超のω‒3 脂肪酸〔エイコサペンタエン酸 (EPA),ドコサヘキサエン酸(DHA)〕投与は悪液質の病態,症状の改善に寄与する可能性があることを示唆しているという報告もあります。

しかしながら,いずれのシステマティックレビューもメタアナリシスは行われていないため,ω‒3 脂肪酸が,がん患者の悪液質を改善するとは結論づけられないとされています。

 

体重減少や悪液質に対しては、「アナモレリン」というお薬が体重増加することが期待されていますので、そちらの使用も検討してもいいかもしれません。

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ω‒3 脂肪酸に関しては、有害事象としてげっぷや悪心、下痢などもあるようですが、重篤なものはないとのことですので、効果を期待して使用してみるのもいいかもしれません。

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健康食品の精神症状に対する効果

残念ながら不安や抑うつといった精神症状に対して、2016年度のガイドラインの時点では根拠を示すシステマティックレビューの報告はないため、その効果はわからないようです。

精神症状の改善を目的に、健康食品を摂取しようとする人は少ないかもしれませんが、やはり効果はよくわからないようですね。

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健康食品のQOLに対する効果

QOLに対しては、栄養指導などの介入によるメタアナリシスで,European Organization for Research and Treatment of Cancer global quality of life scale を用いたQOL 評価で改善が認められています。

よって,栄養指導などの介入は,がん患者の全般的なQOL を改善する可能性があるとされています。

 

健康食品の摂取ではなく、「栄養指導」と記載されているので、栄養士さんなどが介入して正しい食生活を送った効果という解釈ですかね。

特定の健康食品を摂取するよりは、カロリーやたんぱく質を意識した食生活を行うことが、身体にとっていいのではないかと思います。

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健康食品の有害事象

有害事象に関しては,健康食品と医薬品との相互作用 について検討した5 件の論文から,がん患者806 例のうち433 例(53.7%)が健康食品 と医薬品を併用しており,その相互作用のリスクについては可能性のあるものを含め60 例(13.9%)において167 件であることが明らかとされています。

健康食品としては,ニンニ ク,緑茶,ヤドリギ,中国ハーブ,鉄,セント・ジョーンズ・ワート,ショウガ,朝鮮 人参などが医薬品との相互作用に注意すべき素材として挙げられています。

よって,日常診療において患者の健康食品の使用状況を積極的に聴取するととも に,医薬品との相互作用にも留意することが求められるとされています。

 

薬同士の飲み合わせなどもありますが、健康食品と薬の飲み合わせも考えないといけないようですね。

特に、ニンニク、緑茶、鉄、ショウガなどは、健康のために摂取している方も多い気がしますので、薬との相互作用がないか確認しておきましょう。

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健康食品の検査・治療等に伴う有害事象に対する効果

放射線治療や化学療法に伴う下痢症状に対して、プロバイオティクス,食事成分の調整,脂肪調整,食物繊維調整の効果が認められる論文が存在します。

その中でも、プロバイオティクスの効果を示す論文が多く、プロバイオティクスは,がん患者の放射線治療に伴う下痢を軽減する可能性があるとされています

 

末梢神経障害に対して、ビタミンE ,グルタチオン,メラトニンの効果が認められる論文が存在します。

しかし、メタアナリシスが行われていないなどの理由により、健康食品が,がん患者の化学療法で誘発される末梢神経障害を軽減するとは結論づけられないとされています。

 

体重減少に対して、栄養指導,エンシュア®摂取,抗酸化サプリメント投与(グルタチオン,メラトニン)の効果が認められる論文が存在します。

しかし、メタアナリシスが行われていないなどの理由により、健康食品が,がん患者の放射線治療あるいは化学療法中における体重減少の改善に有用であるとは結論づけられないとされています。

 

術後合併症に対しては、経腸栄養の効果は認められるものの、いわゆる健康食品を用いた臨床試験は対象となっていないため,健康食品が,がん患者の術後合併症を軽減するとは結論づけられないとされています。

 

QOLに対しては、栄養学的介入の効果は認められるものの、いわゆる健康食品を用いた臨床試験は対象となっていないため,健康食品が,治療中におけるがん患者のQOL 改善に有用であるとは結論づけられないとされています。

 

口腔粘膜障害に対しては、ビタミンE,グルタミン,グルタチオン,メラトニンの効果は認められるものの、メタアナリシスを行っていないため,健康食品が,がん患者の化学療法による口腔粘膜障害の予防あるいは軽減に有用であるとは結論づけられないとされています。

 

血球減少に対しては、グルタ チオン,メラトニン,エラグ酸,,セレンの効果は認められるものの、メタアナリシスを行っていないため,健康食品が,がん患者の化学療法による血球減少の予防あるいは軽減に有用であるとは結論づけられないとされています。

 

 

しっかりとメタアナリシスで解析まで行えていない論文が多いため、有用性が結論付けられない項目が多いようですね。

個々の論文では、抗酸化サプリメントの効果が認められているものが散見されますので、経済的に負担のない程度に試してみるのはいいかもしれませんね。

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健康食品の検査・治療等に伴う有害事象に対する効果

生存率や奏効率に対して、ビタミンC,ビタミンD,抗酸化サプリメントなどの効果が認められる論文が存在します。

よって、健康食品の一部(特にビタミンC)が,がん患者の生存率や奏効率の改善に寄与する可能性が示唆されるが、今後さらなる研究が求められるとされています。

 

やはり、場合によってはサプリメントの摂取は行ってもいいのかもしれませんね。

しかし、最初にも記載したように、サプリメントは栄養の過剰摂取になることもあるので注意するようにしましょう。

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まとめ
・がんの補完代替療法クリニカル・エビデンス(2016年版)より、がんの症状に対する健康食品の効果について記載している内容を紹介。

・健康食品が身体症状や精神症状を改善させるとは結論付けられない。

・ω‒3 脂肪酸は,がん患者の体重減少や悪液質に効果があるとする論文もあるが、有用であるとは結論付けられない。

・栄養指導などの介入は,がん患者の全般的なQOL を改善する可能性がある。

・抗酸化サプリメントなどは,治療の有害事象の軽減や生存率改善に効果がある可能性もあるが、過剰摂取には注意が必要である。

注意
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。

しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。

記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。

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