前々回は、上肢のリンパ浮腫に対してウェイトリフティングがは安全で効果があるという論文を紹介しました。
だけど、ウェイトリフティングっていえば、ジムでやるような運動なのでなかなか自宅ではできないですよね。
自宅にトレーニングルームなんかがある方は別ですが・・・。
自宅でお手軽にできる筋トレといえば、やっぱりダンベルでしょう。
そこで今回は、乳がんリンパ浮腫患者がダンベル運動を行うことの効果について調査した論文を紹介します。
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今回紹介する論文の概要
今回紹介する論文は、がんリンパ浮腫患者がダンベル運動を行うことの効果について調査したという内容になっています。
「Kim DS, Sim YJ, Jeong HJ, et al. Effect of active resistive exercise on breast cancer-related lymphedema: a randomized controlled trial. Arch Phys Med Rehabil. 2010 Dec;91(12):1844-8」
2010年に発行された論文です。
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対象
2009年1月から2009年12月まで、韓国のKosin University GospelHospitalのリハビリテーション医学部の外来診療所で乳がん治療後のリンパ浮腫と診断された40名です。
診断の基準は、(1)治療側と反対側の上肢の周囲の差が2 cmを超える患者、(2)リンパシンチグラフィーによってリンパ浮腫と診断された患者でした。
除外基準は、(1)70歳以上の患者(2)この研究に参加してから6か月以内にがんが再発した患者(3)両腕にリンパ浮腫があった患者(4)血管疾患を患った患者(5)運動能力の低下、感覚の変化、深部腱反射の低下などの神経学的兆候が見られた患者(6)コミュニケーションが取れなかった患者です。
40人の患者はランダムに「active resistance exercise group」 と 「nonactive resistance exercise group」という2つのグループに分けられています。
「active resistance exercise group」は積極的に筋トレするグループ、と 「nonactive resistance exercise group」は通常の運動をするグループのような感じですね。
グループ名が長いので、ここでは筋トレ群と通常運動群と記載しておきます。
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介入内容
Kim DS, Sim YJ, Jeong HJ, et al. Effect of active resistive exercise on breast cancer-related lymphedema: a randomized controlled trial. Arch Phys Med Rehabil. 2010 Dec;91(12):1844-8
リンパドレナージ、圧迫療法、運動は、理学療法士が1日1回、週5回、両方のグループで2週間指導しています。
運動の内容は、(1)ウォームアップ:大きな関節の動き、適度なペースで20〜30回の繰り返し(2)肩甲帯の動き:肩の筋肉の収縮と弛緩(3)うっ血除去運動:筋鎖の運動、15〜30回の繰り返し、座位または立位(4)ストレッチ:胸筋と僧帽筋の一部をストレッチ、となっています。
両方のグループが理学療法士監視のもと、2週間上記の複合的理学療法を実施し、さらに6週間は自分で複合的理学療法を継続しています。
そして、筋トレ群はさらに、圧迫ストッキングスリーブや多層包帯を着用しながらダンベルを使用した筋トレを15分間行っています。
筋トレの内容は、(1)シーテッドロウ(広背筋)、(2)ベンチプレス(胸筋)、(3)プルダウン(僧帽筋)、(4)ベントオーバーローイング(広背筋)、(5)トライセプスエクステンション(上腕三頭筋)、(6)バイセプスカール(上腕二頭筋)をダンベルを使って行っています。
最初の2週間は0.5kgのダンベルを使用し、次の6週間は1kgのダンベルを使用しています。
回数は全ての運動で10回を2セット行っています。
具体的な筋トレ内容や負荷量、回数が記載されているのは参考になりますね。
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結果
Kim DS, Sim YJ, Jeong HJ, et al. Effect of active resistive exercise on breast cancer-related lymphedema: a randomized controlled trial. Arch Phys Med Rehabil. 2010 Dec;91(12):1844-8
こちらの表は、運動後の上肢の体積の変化を示しています。
8週間後、筋トレ群は通常運動群と比較して、上肢の近位側の体積が大幅に減少していました。
しかし、遠位側上肢と上肢全体の体積減少に有意差はありませんでした
Kim DS, Sim YJ, Jeong HJ, et al. Effect of active resistive exercise on breast cancer-related lymphedema: a randomized controlled trial. Arch Phys Med Rehabil. 2010 Dec;91(12):1844-8
こちらの表はQOLの変化を示しています。
8週間後、筋トレ群で身体機能、身体的役割、身体的痛み、全身の健康、精神的健康に有意な改善が見られました。
通常運動群は、身体機能、身体的役割、身体の痛み、および精神的健康が改善していました。
2つのグループを比較すると、筋トレ群は通常群と比較して、身体的および一般的な健康の役割に有意な改善を示しました。
筋トレで生活の質が改善することも認められていますね!
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結論
上肢の筋トレは乳がん治療後のリンパ浮腫の量を減らし、QOLの改善に役立ったことを示しました。
複合的理学療法にはストレッチのような運動だけでなく、しっかりと筋トレを加えた方がいいようです。
特に筋肉量が多い上腕の方が前腕よりも効果が期待できるようですね。
0.5kgや1.0kgのダンベルでできる運動なので、皆さんも自宅でやってみましょう。
ダンベルがなくてもペットボトルなんかで代用できますよ。
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・リンパドレナージと圧迫療法、上肢の筋トレで、上腕のリンパ浮腫の改善とQOLの改善を認めた。
・筋トレは0.5kgや1.0kgのダンベルでできる内容だったので、皆さんもがんばってみましょう。
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。
しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。
記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。
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