以前の記事で、リンパ浮腫患者さんのセルフケア指導に関してガイドラインの記載内容を説明しました。
ガイドラインで強く推奨されているわけではないですが、やっぱりセルフケア指導って大事だとは思います。
いくら指導されてもどうしても忘れてしまう人は多いですよね。
今回は、指導してもらうことで本当に効果があるのかを調査した論文を紹介します。
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今回紹介する論文の概要
今回紹介する論文は、乳がんのリンパ浮腫患者に対して、リンパ浮腫の情報を教えることに効果があるのかを調査した内容となっています。
「Fu MR, Chen CM, Haber J, et al. The effect of providing information about lymphedema on the cognitive and symptom outcomes of breast cancer survivors. Ann Surg Oncol. 2010 .17(7): 1847-53.」
2010年に発行されている論文になりますね。
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対象と方法
This was a cross-sectional study of 136 breast cancer survivors who underwent treatment for breast cancer at New York University (NYU) Cancer Center from August 2006 to May 2007. were collected using a Demographic and Medical Information interview instrument, a Lymphedema Education Status interview instrument, a Knowledge Test for cognitive outcome, and the Lymphedema and Breast Cancer Questionnaire for symptom
Fu MR, Chen CM, Haber J, et al. The effect of providing information about lymphedema on the cognitive and symptom outcomes of breast cancer survivors. Ann Surg Oncol. 2010 .17(7): 1847-53.
調査の対象は、ニューヨーク大学がんセンターで乳がんの治療を受けた患者さん136名です。
横断研究といって、ある時点での調査のみを行って、時間経過は追っていない調査になります。
リンパ浮腫指導の効果を検討するのを調査するには、リンパ浮腫患者さんを半分ずつに分けて、一方のグループにだけリンパ浮腫指導を行う方法が考えられます。
その場合は、例えば1年後に経過を追って、リンパ浮腫を指導しているグループと、指導していないグループで何か違いがあるのかを調査します。
ただし今回は、リンパ浮腫の患者さんを集めて、今までにリンパ浮腫指導をしてもらったことがあるかどうかで2群に分けて調査を行っています。
過去にリンパ浮腫指導をしてもらっていることで、現在、何か違いがあるかを調査しているというわけです。
これは、経過を追わないでいいので、短期的に簡単に行いやすい方法です。
しかし、リンパ浮腫指導をしてもらったかどうかで2群に分けているので、指導の内容や時間、指導を受けた時期などが統一しにくいことがデメリットですね。
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結果
Fu MR, Chen CM, Haber J, et al. The effect of providing information about lymphedema on the cognitive and symptom outcomes of breast cancer survivors. Ann Surg Oncol. 2010 .17(7): 1847-53.
リンパ浮腫に関する情報を受け取った患者と受け取っていない患者を比較すると、年齢や体重に違いはありませんでした。
違いがあった部分として、リンパ浮腫情報を受け取ったグループには、乳房切除術、放射線療法、化学療法を受けている患者さんが多かったという結果です。
リンパ浮腫になるリスクが高い患者さんに指導をするわけですから、当たり前っていえば当たり前の結果ですね。
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Fu MR, Chen CM, Haber J, et al. The effect of providing information about lymphedema on the cognitive and symptom outcomes of breast cancer survivors. Ann Surg Oncol. 2010 .17(7): 1847-53.
また、リンパ浮腫情報を受け取ったグループは、リンパ浮腫の知識が高くて、リンパ浮腫の症状が少ないという違いがありました。
指導された内容をちゃんと覚えているって結果は嬉しいですね。
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Fu MR, Chen CM, Haber J, et al. The effect of providing information about lymphedema on the cognitive and symptom outcomes of breast cancer survivors. Ann Surg Oncol. 2010 .17(7): 1847-53.
具体的な症状としては、腕の腫れ、腕の重さ、肩の関節可動域、血種の形成、乳房の腫れといった項目において、リンパ浮腫情報を受け取ったグループの方が結果が良かったようです。
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結論
In conclusion, providing information about BCRL to breast cancer survivors appears to increase BCRL knowledge and reduce BCRL symptoms. Our ndings underscore the importance of patient education in reducing patient risk for developing BCRL. In clinical practice, we recommend that healthcare professionals take the initiative to provide adequate and accurate data about BCRL to breast cancer survivors. Patients should be engaged in supportive dialogues so that they may learn how to reduce their risk of developing BCRL. In order to establish how patient education and symptom reduction may be related, however, future research is needed to investigate timing, method, and content of BCRL information. Specic educational methods and content should be tested to determine how best to teach breast cancer survivors to avoid BCRL risk factors. In this way, it will be possible to systematically develop
Fu MR, Chen CM, Haber J, et al. The effect of providing information about lymphedema on the cognitive and symptom outcomes of breast cancer survivors. Ann Surg Oncol. 2010 .17(7): 1847-53.
リンパ浮腫の指導を行うことは、患者のリンパ浮腫に関する知識を増やし、リンパ浮腫の症状を軽減させる可能性がある結果となりました。
しかし、今回の研究では、指導の内容やタイミングが統一されていません。
リンパ浮腫になる前の予防的な指導なのか、リンパ浮腫発症後の指導なのかも統一されていない状態です。
どのタイミングで、どのような内容を指導してもらうことが効果があるのかを調査してもらえると、より役に立つ結果となるでしょうね。
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・リンパ浮腫の指導を行うことは、患者のリンパ浮腫に関する知識を増やし、リンパ浮腫の症状を軽減させる可能性がある結果となりました。
・しかし、今回の研究では、指導の内容やタイミングが統一されていないので、どの内容をどのタイミングで指導してもらうかは、さらなる研究が期待される。
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。
しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。
記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。
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