【まとめ】がん患者が運動するときのリスク管理

以前紹介した「がんサバイバーのための運動ガイドライン」には、「がん治療中・後の運動を実施する際には特別のリスク管理を要するが,運動の実施は安全である。」と記載されていました。

がんサバイバーに推奨される運動量は?ガイドラインを解説!

2023年2月28日

がん患者さんが運動を行うことの重要性は度々紹介していますが、運動を行っていいのかと心配になりますよね。

特別なリスク管理を要するって、具体的にはどうすればいいんでしょうか?

そこで今回は、理学療法士ががん患者さんにリハビリを実施するときに、注意しているリスク管理についてご紹介します。

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がん患者におけるリハビリテーションの中止基準

Gerber LH, Valgo M : Rehabilitation for patients with cancer diagnoses. Rehabilitation Medicine : Principles and Practice (ed by DeLisa JA, Gance BM), 3rd Ed. Lippincott-Raven Publishers, Philadelphia 1998 ; pp 1293.1317

こちらが、がん患者さんがリハビリを実施するときの一般的な中止基準になります。

1,2の血液検査所見や骨転移なんかは、かなり注意して行いますね。

3,4あたりは、病状や症状が増悪している状態ということですね。

5は何らかの理由による脳・神経系の症状の出現になります。

6は体内の電解質のバランスが崩れている状態ですね。

7,8は血圧や脈拍に異常が生じている状態です。

一応これらが目安とはなりますが、実際のリハビリ実施時には、このような状態を満たしていることは少ないので、これらを参考に注意しながらリハビリを実施することになります。

あまり具体的でない部分もありますが、医療者もがんサバイバーの皆様も、運動するときのリスク管理として参考にしてみてください。

 

簡単にまとまっているのは、上記の表になりますが、詳細についてもう少し解説していきます。

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骨髄抑制

抗がん剤や放射線治療は、骨髄という場所に悪影響を及ぼしてしまいます。

骨髄とは白血球や赤血球、血小板というものを作っている場所ですので、それらを作る能力が低下してしまうのです。

 

概ね、抗がん剤治療後2週間くらいをピークに、その前後の時期に白血球、赤血球、血小板が低下しやすいです。

 

白血球は免疫機能がありますので、低下した場合には感染予防が必要となります。

赤血球が低下すると貧血の症状に注意が必要です。

血小板は血液を凝固させる働きがありますので、血小板が低下している場合には出血に注意が必要です。

 

具体的な数値としては、白血球の成分のうち好中球が500/µl 以下の場合は非常に感染のリスクが高くなります。

病院内でいえば個室管理になるような状態ですので、マスクや手指消毒を徹底して、ジムのような人が多い場所での運動は避けた方がいいでしょう

好中球1000/µl以上、白血球3000/µl以上あれば、安心して運動していいと思います。

 

赤血球に関しては、ヘモグロビン値を確認することが多いです。

ヘモグロビン値が10 g/dl 未満の場合には,運動時の貧血症状に注意したほうがいいです。

 

貧血とは、血液中の酸素の結びつきが少なくなっている状態です。症状としては、めまい、ふらつき、疲労感、動悸、息切れなどが多いです。

ただし、もともと貧血状態が続いている方は、その状態に慣れてしまい、症状があまり出ないことも多いです。

基本的には症状に応じて運動していいとは思いますが、血液中の酸素が少ない状態になっているため、脈拍数が増加する場合がありますので、脈拍を測定しながら運動したほうがいいでしょう。

 

血小板の数値は、30,000/µl 以上あれば、運動制を限する必要はないです。

20,000/µl以下になると、筋肉の出血に注意して、あまり負荷の強い筋トレなどは行わない方がいいでしょう。

ウォーキングなどの有酸素運動くらいにしておきましょう。運動後は内出血ができていないか注意してください。

10,000/µl以下はかなり出血しやすい状態ですので、原則として運動は中止します

家事などの日常生活程度の動作は行っても大丈夫ですよ。

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血栓・塞栓症

進行したがん患者では血液を固めたり、溶かしたりする機能の異常をきたしてい る場合が多く,血管内に血の塊ができてしまう血栓・塞栓症を生じるリスクが高くなります。

血栓は下肢の深部静脈にできやすいですので、その予防としては筋肉をしっかり動かすようにウォーキングや足首の運動を定期的に行った方がいいでしょう。いわゆるエコノミークラス症候群と同じ対応ですね。

 

深部静脈血栓ができた症候は,脚のむくみ(浮腫),赤み(発赤), ふくらはぎの疼痛,熱感などがあります。

下肢の深部静脈に血栓がある場合には、運動はいったん中止して、抗凝固療法の開始が必要となります。ワーファリンのような抗凝固薬、いわゆる血液サラサラの薬が必要になる場合が多いです。運動の可否は血栓の状態次第ですので、医師に相談する必要があります。血栓があるとリンパドレナージも禁止になるので注意してください。

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骨転移

骨転移とは、がんが骨に転移した状態です。

骨転移は脊椎,骨盤や大腿骨,上腕骨に出現しやすく骨折をきたしやすいので注意が必要です。

 

骨転移の骨はもろくなっていることが多いので、その部位に負荷がかかりすぎないように注意する必要があります。

場合によっては、杖や歩行器を使って体重をかけることを制限したり、コルセットを装着して腰の動きを制限する必要がある場合もあるので、医師や理学療法士などに注意する動作を確認したほうがいいでしょう。

 

症状としては、骨転移の部分に一致した運動時の痛みが出現しやすいですので、背骨や太もも、二の腕などに1週間くらい動いた時の痛みが続いている場合には、診察したほうがいいかもしれません。

症状が増悪すると、骨折や下肢のマヒが出現してしまうこともあるので、早期発見が必要です。

 

骨転移があっても、骨転移の治療を行うことで骨の状態が改善することもあるので、骨転移の部位や状態に応じて、どのような運動を行って大丈夫なのか医師や理学療法士に相談しましょう。

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胸水・腹水

がんの進行によっては胸やおなかに水が貯留する場合があります。

水が溜まっている場合には、血中の酸素が減少して、息苦しく感じることもありますので,もしあるのであればパルスオキシメーターで動脈血酸素飽和度をチェックしたほうがいいでしょう。

運動は禁止ではないですが、息苦しさが出ない程度の軽い運動が望ましいでしょう。

 

腕や脚にむくみ(浮腫)がある患者さんで、胸水や腹水が貯留している場合には,リンパ浮腫の治療である圧迫やドレナージによって,胸水や腹水が増悪することがあり注意が必要です。

胸やおなかに水が溜まっているような場合には、原則として無理は禁物ですね。日常生活動作を行う程度にとどめておきましょう。

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今回は、がん患者さんがリハビリや運動を実施するときの、リスク管理について紹介しました。

運動時の注意点を知っていくことは非常に大事ですね。

 

運動時のリスクがよくわからずに安静にしてしまうよりも、リスクに注意して運動するように心がけるのが重要です。

骨転移なんかは非常に重要なリスク管理になりますので、また別の機会に詳細をご紹介しますね。

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まとめ
・がんリハビリテーション実施時のリスク管理について説明する。
・特に骨髄抑制、血栓、骨転移、胸水、腹水などのリスク管理が必要である。
・運動時のリスクがよくわからずに安静にしてしまうよりも、リスクに注意して運動するように心がけるのが重要です。

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