がん患者さんのフレイルを評価する10項目

今回は、がん患者さんに対してフレイルを10項目で評価する方法を作成して、他のフレイルの評価と比較してその妥当性を検討した論文を紹介します。

 

最近は、がん患者さんのフレイルについて紹介しています。

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予後の予測や治療の選定に、フレイルをチェックすることが大事であることはわかりましたが、フレイルの評価ってたくさんありますよね。

がん患者さんのフレイルを評価するにはどのような項目がいいのでしょうか?

そこで今回は、がん患者さんに対してフレイルを10項目で評価する方法を作成して、他のフレイルの評価と比較してその妥当性を検討した論文を紹介します。

まとめ
・がん患者さんに対してフレイルを10項目で評価する方法を作成して、他のフレイルの評価と比較してその妥当性を検討した論文を紹介。

・認知機能、うつ、コミュニケーション、歩行速度、バランス、栄養、日常生活動作(ADL)、手段的日常生活動作(IADL)、ソーシャルサポート、併存疾患の10項目がフレイルの評価として作成された。

・この10項目のFI-CGA-10という評価は、他のフレイルの評価と相関を認めた。

・医療者はもちろん、患者さんもこの10項目で問題がないかを普段から意識しておいた方がいいと思います。

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今回紹介する研究の概要

今回紹介する論文は、造・がん患者さんに対してフレイルを10項目で評価する方法を作成して、他のフレイルの評価と比較してその妥当性を検討した内容になっています。

「Nishijima TF, Shimokawa M, Esaki T, et al. A 10-Item Frailty Index Based on a Comprehensive Geriatric Assessment (FI-CGA-10) in Older Adults with Cancer: Development and Construct Validation. Oncologist. 2021 Oct;26(10):e1751-e1760」、2021年に発行された日本の先生が書いた論文です。

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対象

Nishijima TF, Shimokawa M, Esaki T, et al. A 10-Item Frailty Index Based on a Comprehensive Geriatric Assessment (FI-CGA-10) in Older Adults with Cancer: Development and Construct Validation. Oncologist. 2021 Oct;26(10):e1751-e1760

こちらが対象患者さんの特徴になります。

2018年9月から2020年10月の間に、国立病院機構九州がんセンターの患者さん540人が対象となりました。

年齢の中央値は80歳(範囲、66〜96歳)で、61%が男性でした。

ほとんどの患者のECOGパフォーマンススコアは0または1(75%)でした。比較的元気な人が多いということですね。

最も一般的なタイプのがんは消化管(37%)でした。

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10項目の評価項目(FI-CGA-10)

Nishijima TF, Shimokawa M, Esaki T, et al. A 10-Item Frailty Index Based on a Comprehensive Geriatric Assessment (FI-CGA-10) in Older Adults with Cancer: Development and Construct Validation. Oncologist. 2021 Oct;26(10):e1751-e1760
  1. 認知機能
  2. うつ
  3. コミュニケーション
  4. 歩行速度
  5. バランス
  6. 栄養
  7. 日常生活動作(ADL)
  8. 手段的日常生活動作(IADL)
  9. ソーシャルサポート
  10. 併存疾患

こちらが、がん患者さんのフレイルを評価する10個の項目になります。

認知機能は、認知症の有無を確認します。

うつに関しては、PHQ-9という9つの質問でうつを評価します。

コミュニケーションは、コミュニケーション障害で日常生活に支障があるかを確認します。

歩行速度は1.0m/s以上で歩けるか、バランスは過去6ヶ月に転倒したことがあるかを確認します。

栄養は過去3-6ヶ月の体重減少が5%以上あるかどうかを確認します。

ADLは食事や排泄などの生活するための動作、IADLとは掃除や電話なども含む、さらに複雑な動作の能力となります。

ソーシャルサポートは、病気の時に手助けしてくれる人がいるかなどを確認します。

併存疾患は、がん以外の併存する疾患の有無を確認します。

 

これらの項目を評価して、その点数と他のフレイル評価であるLee indexと the Schonberg indexとの相関や、パフォーマンスステータスとの相関を調査しています。

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結果

Nishijima TF, Shimokawa M, Esaki T, et al. A 10-Item Frailty Index Based on a Comprehensive Geriatric Assessment (FI-CGA-10) in Older Adults with Cancer: Development and Construct Validation. Oncologist. 2021 Oct;26(10):e1751-e1760

FI-CGA-10を使用して、患者の20%(n  = 109)が健康、41%(n  = 219)がプレフレイル、39%(n  = 212)がフレイルに分類されました。

フレイルを有する人は、Lee indexと he Schonberg indexのスコアが高く、死亡の可能性が高いことが示唆されました。

図を見るとわかるように、7段階のthe Clinical Frailty Scaleの点数が高くなるほどに、FI-CGA-10の点数が高くなることが示されています。

つまり、FI-CGA-10の点数は他のフレイルの評価と同様の結果を示すということですね。

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結論

We developed the FI‐CGA‐10 by simplifying the original FI‐CGA while maintaining its content validity. We demonstrated the construct validity of our index in a cohort of older adults with various cancer types. The advantage of the FI‐CGA‐10 is that a score can be calculated more readily and interpreted in a more clinically sensible manner than the original FI‐CGA and other FIs. In addition to grading the level of frailty, this tool can improve a patient’s health status by pointing to the need for tailored interventions to address the identified vulnerabilities. If the predictive validity and external validity are demonstrated, the FI‐CGA‐10 will be a useful CGA‐based frailty measure in the geriatric oncology setting.

Nishijima TF, Shimokawa M, Esaki T, et al. A 10-Item Frailty Index Based on a Comprehensive Geriatric Assessment (FI-CGA-10) in Older Adults with Cancer: Development and Construct Validation. Oncologist. 2021 Oct;26(10):e1751-e1760

FI-CGA-10は、さまざまな種類のがんを患う高齢者のコホートで、インデックスの構成の妥当性を示しました。

FI-CGA-10の利点は、元のFI-CGAや他のFIよりも、スコアをより簡単に計算し、より臨床的に適切な方法で解釈できることです。

多くのフレイルの評価がありますが、こちらの10項目はがん患者さんのフレイルの評価項目として重要視していいようですね。

医療者はもちろん、患者さんもこの10項目で問題がないかを普段から意識しておいた方がいいようです。

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まとめ
・がん患者さんに対してフレイルを10項目で評価する方法を作成して、他のフレイルの評価と比較してその妥当性を検討した論文を紹介。

・認知機能、うつ、コミュニケーション、歩行速度、バランス、栄養、日常生活動作(ADL)、手段的日常生活動作(IADL)、ソーシャルサポート、併存疾患の10項目がフレイルの評価として作成された。

・この10項目のFI-CGA-10という評価は、他のフレイルの評価と相関を認めた。

・医療者はもちろん、患者さんもこの10項目で問題がないかを普段から意識しておいた方がいいと思います。

注意
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。

しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。

記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。

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