地域活動に参加する高齢者の特徴は? 

今回は,地域在住高齢者の地域活動をその種類別にどのような社会的要因が関連しているのかその特徴を性別ごとに検討した研究を紹介します.

 

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社会的フレイルにならないためにも地域活動というのが大事になってくるのですが、地域活動に参加する方の特徴がわかれば、特に注意が必要なことが明確になってきそうですよね。

そこで、今回は、域在住高齢者の地域活動をその種類別にどのような社会的要因が関連しているのかその特徴を性別ごとに検討した研究を紹介します.

まとめ
・域在住高齢者の地域活動をその種類別にどのような社会的要因が関連しているのかその特徴を性別ごとに検討した研究を紹介。

・男女別では,自治会の活動の参加、趣味の会など仲間うちの活動の参加、特技や経験を他人に伝える活動の参加では男性の参加が有意に少なくなっていた。

・地域参加する方の特徴としては、「地域への貢献意識」,「結束型SC」,「地域住民との交流頻度」の関連が大きかった。

・地域に貢献しようと意識を持つこと、趣味の合う仲間や地域住民と交流する機会を増やすことが、社会的フレイル予防のために大事なようである。

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今回紹介する研究の概要

今回紹介する論文は、域在住高齢者の地域活動をその種類別にどのような社会的要因が関連しているのかその特徴を性別ごとに検討した内容になっています。

「池田 晋平, 芳賀 博, 他. 地域在住高齢者の地域活動の参加を促進する社会的要因. 作業療法/41 巻 (2022) 1 号 」 2022年に発行された最新の論文になります。

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対象

神奈川県綾瀬市の地域在住高齢者3,058名を対象に地域活動(地域行事への参加,自治会の活動,老人クラブの活動,趣味の会など仲間うちの活動,特技や経験を他人に伝える活動,ボランティア活動)の参加状況と,それに関連する社会的要因を性別ごとで検討した.

池田 晋平, 芳賀 博, 他. 地域在住高齢者の地域活動の参加を促進する社会的要因. 作業療法/41 巻 (2022) 1 号

神奈川県綾瀬市と共同で実施した「高 齢者の健康と生活に関する調査」で 対象となった同市在住の65 歳以上の高齢者が本研究 の対象となっています.

3,058名に郵送調査を実施し,1,899 名から回答を得ました.

このうち要介護認定者と一部でも無回答がある者を除外した計1,266 名が分析対象となっています。

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方法

調査内容は以下の通りです。

 

1)基本属性

年齢,性別,世帯形態,居住年数,SES,老年症候群

 

2)地域活動の参加状況

「地域行事への参加」,「自治会の活動」,「老人クラブの活動」,「趣味の会など仲間うちの活動」,「特技や経験を他人に伝える活動」,「ボランティア活動」の6種類を地域活動として、それぞれについて「この一年間にこれらの社会活動に参加しましたか」と問い,参加の有無(あり・なし)について回答を求めました。

 

3)社会的要因

(1)地域に対する意識

地域に対する意識は,①地域への愛着と,②地域への貢献意識を調査しています

(2)ソーシャルキャピタル(SC)
SCは①ネットワークの構造と,②社会凝集性を調査しています 

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結果

池田 晋平, 芳賀 博, 他. 地域在住高齢者の地域活動の参加を促進する社会的要因. 作業療法/41 巻 (2022) 1 号

こちらの表は、地域活動の参加状況と社会的要因の結果になります。

全体で参加率がもっとも高い地域活動は自治会の活動49.8%で,続いて,地域行事への参加43.7%,趣味の会など仲間うちの活動43.6%となっています.

男女別では,自治会の活動の参加、趣味の会など仲間うちの活動の参加、特技や経験を他人に伝える活動の参加では男性の参加が有意に少なくなっています.

SCでは,結束型SCの「強い」は男性54.0%で,女性74.0%、橋渡し型SCの「強い」は男性23.7%で,女性30.1%より有意に少なかくなっています.

地域住民との交流頻度の「週一回以上」は全体で59.7%であり,男女別では「週一回以上」は男性49.4%で,女性69.9%より有意に少なくなっています.

基本的に、男性は社会参加の有無やその頻度が少ないようですね。

 

さらにロジスティック回帰分析を行うと、地域行事への参加は,男性では「地域への愛着」,「地域への貢献意識」「結束型SC」「地域住民との交流頻度」が,女性では「地域への貢献意識」「地域住民との交流頻度」が関連していました.

自治会の活動は,男女とも「地域への貢献意識」,「互酬性の規範」,「地域住民との交流頻度」が関連していました.

老人クラブの活動は,男性では「地域への貢献意識」が,女性ではこれに加え「結束型SC」,「信頼(弱い)」が関連していました.

趣味の会など仲間うちの活動は,男性では「地域への貢献意識」「結束型SC」が,女性ではこれに加え「信頼」が関連していました.

特技や経験を他人に伝える活動は,男性では「地域への貢献意識」「結束型SC」,「橋渡し型SC」が,女性では「地域への貢献意識」,「橋渡し型SC」が関連していました.

ボランティア活動は,男女とも「地域への貢献意識」,「橋渡し型SC」,「地域住民との交流頻度」が関連していた.

 

地域参加する方の特徴としては、「地域への貢献意識」,「結束型SC」,「地域住民との交流頻度」の影響が大きいようですね。

地域に貢献しようと意識を持つこと、趣味の合う仲間や地域住民と交流する機会を増やすことが、社会的フレイル予防のために大事なようです。

特に男性は社会的孤立になって弱ってしまわないように、このようなことを意識したほうがいいのかもですね。

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まとめ
・域在住高齢者の地域活動をその種類別にどのような社会的要因が関連しているのかその特徴を性別ごとに検討した研究を紹介。

・男女別では,自治会の活動の参加、趣味の会など仲間うちの活動の参加、特技や経験を他人に伝える活動の参加では男性の参加が有意に少なくなっていた。

・地域参加する方の特徴としては、「地域への貢献意識」,「結束型SC」,「地域住民との交流頻度」の関連が大きかった。

・地域に貢献しようと意識を持つこと、趣味の合う仲間や地域住民と交流する機会を増やすことが、社会的フレイル予防のために大事なようである。

注意
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。

しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。

記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。

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