がん患者さんの骨粗鬆症を支援するための研究を開始します!

最近はリンパ浮腫に関する情報を中心に紹介してきました。

がんの腕のむくみ、リンパ浮腫に対するウォーキングの効果

2023年7月3日

乳がん患者は筋トレで浮腫が発症しやすくなる?

2023年7月9日

しかし、がん患者さんが抱える問題はリンパ浮腫だけではありません。

痛みや倦怠感、筋力低下など数えだせばキリがないほど問題が挙げられます。

がん患者さんの骨の問題といったら、以前も紹介した骨転移が挙がることが多いです。

しかし、最近では「骨転移」だけでなく、「骨粗鬆症」にも注目が集まっています。

先日開催された、第6回日本がんサポーティブケア学会学術集会で最優秀演題を受賞された演題も、ステロイド投与で骨密度低下のリスクがある消化器がん患者さんに対して、デノスマブという骨粗鬆症症治療薬を投与することで、骨密度低下を抑えられるといった内容でした。

そんながん患者さんの骨粗鬆症に関する調査研究として、私が申請した研究助成が無事採択されましたので、ご紹介したいと思います。

調理も簡単!大豆ミートブランド「ソイクル」
まとめ
・私が申請した高齢がんサバイバーの「骨の健康」を支援する多施設連携システム構築に向けた実態調査を紹介。

・がん研究振興財団の令和3年度がん研究助成(C課題)に採択されました。

・がん患者さんの骨粗鬆症に関連する要因の調査,およびがん患者さんの骨粗鬆症診療連携に向けた実態調査を行っていきます。

研究助成とは?

そもそも、私が今回申請した研究助成っていうのは、なじみが少ない方が多いでしょうから、説明いたします。

研究というのは、「こういうことがわかったら役に立つのにな~」って思うことを調査することが基本となります。

今まで紹介した研究で言えば、リンパ浮腫に対して運動が安全で効果があるってわかれば、みんな積極的に運動するだろうから、調べてみようっといった感じです。

ただし、調査というのは、何をするにもお金がかかるものです。

調査するための物品を購入する必要がありますし、数多くの調査を行う場合には人件費が必要になる場合もあります。

そのような行いたい研究の重要性を説明して、必要なお金を助成してもらうのが研究助成です。

国が助成しているものもあれば、財団が助成しているものなどさまざまあります。

今回、私が申請したのは、がん診療研究財団という、がん医療に関する研究に対して助成してくれる財団です。

「高齢がんサバイバーの「骨の健康」を支援する多施設連携システム構築に向けた実態調査」という研究課題を申請したところ、なんと、令和3年度がん研究助成(C課題)に採択されました。非常にうれしいことです!!!

そこで、今後行っていくその研究の内容についてご紹介します。

調理も簡単!大豆ミートブランド「ソイクル」

研究の背景

乳がん,前立腺がんなどに対するホルモン治療は、骨密度の低下や骨折の増加が増えることが知られています。

さらに,骨量低下の要因として活動性低下や筋力低下も挙げられます。

がん患者さんは,健常者と比べて活動性や筋力が低下していることが報告されているため,ホルモン治療の副作用だけでなく,それらの要因で骨量が低下することが考えられます。

そのように重要ながん患者さんの骨粗鬆症予防ですが,実際にがん患者さんに行っている骨粗鬆症診療の実態は明らかにされていません。

骨粗鬆症の評価や治療というのは、専門である整形外科医が担う役割が大きいのですが、がん患者さんの骨粗鬆症に対して,整形外科医と連携できているかも不明です。

そこで,私は,がん診療連携拠点病院におけるがん患者の骨粗鬆症診療の実態および整形外科医との連携の実態を明らかにすることを目的として調査を行うこととしました。

調理も簡単!大豆ミートブランド「ソイクル」

研究の目的

1つ目の目的は、がん診療連携拠点病院における骨粗鬆症診断・治療の実態を明らかにすることです。

簡単に言うと、がんを治療している病院は、骨粗鬆症のリスクがあるがん患者さんに対して、ちゃんと骨密度測定してますか?ちゃんと適切に骨粗鬆症の治療を行えていますか?ということを調査します。

 

2つ目の目的は、がん患者の骨粗鬆症診療連携に対する、がん治療医および外来整形外科医の意見を確認することです。

簡単に言うと、がんを治療している病院は、がん患者さんの骨粗鬆症の治療に困ってませんか?、どのような評価や治療をしたらいいか悩むことはないですか?

外来の整形外科は、骨粗鬆症のあるがん患者さんの治療を行うときに困ることはないですか?、

がんを治療する病院と外来の整形外科で連携して骨粗鬆症治療を行ったらいいと思いますがどう考えますか?

といった内容を調査します。

 

3つ目の目的は、がん患者の骨粗鬆症診療連携を行うにあたっての問題点を把握し、それを踏まえて連携システムを構築することです。

こんな感じで、がんを治療する病院は、がんの評価や治療、がんや治療に伴う症状の緩和をしっかりしてもらいます。

それに加えて、骨粗鬆症のリスクが高い患者さんには、骨粗鬆症の専門である整形外科外来に紹介を行います。

そして、整形外科外来では骨粗鬆症の診断や治療を行ってもらいます。

私のような理学療法士なんかは、運動や日常生活指導を行ったり、多職種で専門的に骨粗鬆症の治療や指導を行っていきます。

このように、お互いに得意分野で頑張りながら、うまく連携してがん患者さんの骨粗鬆症の診療を行えればと考えています。

 

来年度から調査を開始する予定ですので、また結果が出たら紹介させていただきますね。

調理も簡単!大豆ミートブランド「ソイクル」
まとめ
・私が申請した高齢がんサバイバーの「骨の健康」を支援する多施設連携システム構築に向けた実態調査を紹介。

・がん研究振興財団の令和3年度がん研究助成(C課題)に採択されました。

・がん患者さんの骨粗鬆症に関連する要因の調査,およびがん患者さんの骨粗鬆症診療連携に向けた実態調査を行っていきます。

注意
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。

しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。

記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。

       興味があったらシェアしてください