子宮がん患者の運動はリンパ浮腫の発症を減らすのか?

今までは上肢リンパ浮腫が運動や理学療法によって予防できることについて解説してきました。

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以前もお話したように、リンパ浮腫の研究は、乳がんの上肢リンパ浮腫患者さんを対象にしたものがほとんどです。

では、下肢リンパ浮腫は運動によって予防することはできないのでしょうか?

今回は、子宮がんサバイバーの身体活動やウォーキングが、下肢リンパ浮腫の発症におよぼす影響について調査した論文を紹介します。

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今回紹介する論文の概要

今回紹介する論文は、子宮がんサバイバーの身体活動やウォーキングが、下肢リンパ浮腫の発症におよぼす影響について調査した内容になっています。

「Brown JC, John GM, Segal S, et al. Physical activity and lower limb lymphedema among uterine cancer survivors. Med Sci Sports Exerc. 2013 Nov;45(11):2091-7」

2013年に発行された論文です。

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対象

We conducted a cross-sectional survey of patients with uterine cancer who received care at the Abramson Cancer Center at the University of Pennsylvania (Philadelphia, PA).

Brown JC, John GM, Segal S, et al. Physical activity and lower limb lymphedema among uterine cancer survivors. Med Sci Sports Exerc. 2013 Nov;45(11):2091-7

対象はペンシルバニア大学アブラムソンがんセンターで治療を受けた、20歳以上の子宮がんサバイバー213名です。

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調査項目

 We asked about PA, walking, and LLL symptoms using validated self-report questionnaires. PA was calculated using metabolic equivalent hours per week (MET-hrs∙wk−1), and walking was calculated using blocks per day (blocks∙d−1).

Brown JC, John GM, Segal S, et al. Physical activity and lower limb lymphedema among uterine cancer survivors. Med Sci Sports Exerc. 2013 Nov;45(11):2091-7

自己記入式の質問票を用いて、身体活動量、歩行距離、下肢リンパ浮腫の症状を評価しています。

身体活動量は質問紙で評価することは多いですが、リンパ浮腫の評価を質問紙で行うのは珍しいですね。

婦人科がんリンパ浮腫質問票(GCLQ)という評価になります。

両方の下肢の重さ、一般的な腫れ、手足に関連する腫れ、感染、痛み、しびれ、および身体機能の7つについて質問し、5つ以上の症状を報告した場合に下肢リンパ浮腫と判断されます。

今回の論文では周径や体積を測っているわけではないようですね。

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結果

Brown JC, John GM, Segal S, et al. Physical activity and lower limb lymphedema among uterine cancer survivors. Med Sci Sports Exerc. 2013 Nov;45(11):2091-7

こちらの表は、対象者の基本情報になります。

平均年齢は63.6歳です。

213名中76名(36%)が下肢リンパ浮腫に該当しました。

基本情報は特にリンパ浮腫発症に影響はないようです。

Brown JC, John GM, Segal S, et al. Physical activity and lower limb lymphedema among uterine cancer survivors. Med Sci Sports Exerc. 2013 Nov;45(11):2091-7

こちらは、対象者の病気や治療に関する基本情報です。

一般的にステージIの子宮内膜腺癌と診断され、手術で治療されています。

こちらの情報も特にリンパ浮腫発症に影響はないようです。

Brown JC, John GM, Segal S, et al. Physical activity and lower limb lymphedema among uterine cancer survivors. Med Sci Sports Exerc. 2013 Nov;45(11):2091-7

こちらの表は、身体活動や歩行距離が増えると、下肢リンパ浮腫の発症がどうなるかを、BMI別に示しています。

BMIが30未満だと身体活動が多い患者はリンパ浮腫発症のオッズ比が0. 21と有意に低くなっています。また、BMI が30以上だと、身体活動が多くてもリンパ浮腫の発症には関係ないようです。

BMIが30未満だと長距離歩行を行っている患者はリンパ浮腫発症のオッズ比が0. 15と有意に低くなっています。また、BMI が30以上でもオッズ比が0. 27と有意に低くなっています

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結論

Among uterine cancer survivors, approximately 36% have LLL using a validated symptom self-report (10). Participation in higher levels of PA or walking was associated with reduced proportions of LLL in dose-response fashion, such that the group who engaged in the highest levels of PA or walking reported the smallest proportion of LLL cases. These findings should be interpreted as preliminary and be subject to investigation in future studies.

Brown JC, John GM, Segal S, et al. Physical activity and lower limb lymphedema among uterine cancer survivors. Med Sci Sports Exerc. 2013 Nov;45(11):2091-7

身体活動を多くしたり、長距離のウォーキングをすることは、下肢リンパ浮腫発症を予防することが示唆されました。

しっかりと歩いた方が、筋ポンプ作用が働いて浮腫になりにくくなるんでしょうね。

どこまで歩いたら過負荷になるかは注意が必要でしょうが・・・。

ちなみに、今回の研究では中等度くらいの運動を行ったり、1.6km程度のウォーキングを行うくらいの負荷で良い結果が出ていますので、参考にしてください。

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まとめ
・子宮がんサバイバーの身体活動やウォーキングが、下肢リンパ浮腫の発症におよぼす影響について調査した論文を紹介。

・36%の患者が下肢リンパ浮腫に該当した。

・中等度の身体活動や1.6kmくらいのウォーキングでリンパ浮腫発症を減少できた。

注意
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。

しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。

記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。

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