肺がん患者は手術前にリハビリを行った方がいい【ガイドライン解説】

診療ガイドラインとは、科学的根拠に基づいて最適と思われる治療法を提示する文書のことです。

 

日本では、2013年に「がんのリハビリテーションガイドライン」が発表され、2019年には第2版が出版されています。

 

これは多くのがん種のリハビリテーションについて詳しく解説されています。

なんと無料で見れます!!

なにより日本語なので読みやすいですよ~。

 

今回は、肺がん患者の手術前のリハビリテーションについてご紹介します。

海外のガイドラインを確認したい方はコチラをご覧ください。

がんサバイバーに推奨される運動量は?ガイドラインを解説!

2023年2月28日

 

この記事の要約
・肺がん患者は、手術前にリハビリテーションを行うことを推奨されている。

・手術前にリハビリを行うことで、入院期間の減少、術後合併症の減少、運動耐容能の改善、呼吸機能の改善が期待できる。

・1-4週間のリハビリの期間が推奨されているので、手術前のリハビリは自主練習が重要である。

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肺がん患者は、手術前にリハビリテーションを行うことを推奨されている

肺がん患者に手術前にリハビリテーションを行うことが効果があるという根拠の強さ

「B(効果の規定値が推奨を支持する適切さに中等度の確信がある)」

 

推奨度

「強く推奨する(推奨した治療によって得られる益が大きく、かつ、治療によって生じ得る害や負担を上回ると考えられる。)」

 

つまり、肺がん患者の手術前のリハビリは、過去の研究からも中等度の根拠があり、強く推奨されているとのことです。

 

ちなみに、リハビリとは「筋力増強訓練」「有酸素運動」「呼吸筋訓練」を単独、または組み合わせたメニューとなっております。

 

確かに、手術前から体力をつけていた方が、手術後もスムーズに退院できそうな印象はありますね。

ここからは、肺がん患者の手術前のリハビリがどのような効果があるのか、詳細を見ていきましょう。

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入院期間・合併症頻度の改善

入院期間・合併症頻度の改善は、「重要度8、根拠の強さ:B」とされています。

 

肺がんの手術後は、肺炎などの術後の呼吸器の合併症を発生することがあります。

手術前にリハビリを行っておくと、その合併症が起こる確率を減らし、早く退院できるようになるとのことです。

 

手術後には、肺から漏れてくる空気や水を抜く管を胸に入れるのですが、その管も早く抜けるようになるみたいですよ。

 

リハビリの具体的な内容としては、ウォーキングやジョギングといった有酸素運動や、腹式呼吸や息を吸うような呼吸筋トレーニングがメインとなっております。

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運動耐容能の改善

運動耐容能の改善は、「重要度6、根拠の強さ:B」とされています。

運動耐容能とは、どれくらい運動に耐えられる体であるかという能力のことです。

 

その評価としては、運動したときにどれくらい酸素を取り込めているかを検査したり、6分間でどれくらい長く歩けるかのテストをおこなったりします。

 

肺がん患者が手術前に有酸素運動や呼吸筋トレーニングをを行うことにより、酸素の取り込みが改善したり、6分間に歩ける距離が長くなるという結果になっています。

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呼吸機能の改善

呼吸機能の改善は、「重要度7、根拠の強さ:B」とされています。

 

呼吸機能の評価には、どれくらい大きく息を吐けるかを検査したり、血液中の酸素や二酸化炭素の量を測ったりします。

 

肺がん患者が手術前に有酸素運動や呼吸筋トレーニングをを行うことにより、大きく息を吐けるようになったり、血液中の酸素や二酸化炭素の量が改善したという結果になっています。

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有害事象の発生

有害事象の発生は、「重要度6、根拠の強さ:D」とされています。

有害事象とは、リハビリを行うことにより、その患者さんに害を及ぼす内容のことを指します。

肺がん患者の手術前のリハビリに関しては、患者さんに害を及ぼしたという報告はなかったようです。

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リハビリの実施期間

手術前のリハビリの実施期間は、1~4週間となっています。

 

術前のリハビリは効果はありますが、早急な手術が必要な場合には、リハビリを行わずに手術を優先する必要もあるかもしれません。

 

また、日本の医療保険では、手術前のリハビリは1週間前からしか認められていませんし、入院するのは手術前日だったりすることが多い現状です。

 

ですので、実際には手術前に自主練習でリハビリを行うことが重要となってきます。

 

私が以前に勤めていた病院でも、手術の日程が決まったら外来リハビリで、運動や呼吸筋トレーニングの指導をしていました。

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やっぱり手術前のリハビリは重要

このガイドラインの内容から、手術前のリハビリは重要という結論になると思います。

 

手術前から呼吸機能や体力が高い方が、手術後もスムーズに進むのは予想できることですね。

 

逆に、体が弱っている患者さんや合併症を多く持っている患者さんは、手術後にトラブルが起きやすいということも報告されています。

 

手術予定の肺がん患者さんは、有酸素運動や呼吸筋トレーニングを頑張ってください。

呼吸筋トレーニングは、腹式呼吸や吹き矢みたいに大きく息を吐く練習でいいですよ。

詳しくは、医師や看護師、理学療法士に相談してみてください。

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まとめ
・肺がん患者は、手術前にリハビリテーションを行うことを推奨されている。

・手術前にリハビリを行うことで、入院期間の減少、術後合併症の減少、運動耐容能の改善、呼吸機能の改善が期待できる。

・1-4週間のリハビリの期間が推奨されているので、手術前のリハビリは自主練習が重要である。

注意
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。

しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。

記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。

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