がん患者の活動量を阻害・向上させる要因は?

今回は、乳がんサバイバーに対して身体活動量向上のためにどのように考えているか、インタビューを実施した論文を紹介します。

今まで、がんサバイバーの身体活動の重要性について紹介してきました。

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研究で、身体活動が重要なことや身体活動が不十分なことなどが明らかにはなっていますが、実際にサバイバーの方が感じている気持ちはどうなのでしょうか?

推奨事項はわかっていても、サバイバーの方がどのように感じているのかってのは大事ですよね。

そこで、今回は、乳がんサバイバーに対して身体活動量向上のためにどのように考えているか、インタビューを実施した論文を紹介します。

まとめ
・今回は、乳がんサバイバーに対して身体活動量向上のためにどのように考えているか、インタビューを実施した論文を紹介。

・乳がんサバイバーに対して、身体活動の実践内容、身体活動を実践するための決定要因、身体活動の利点と推奨に関する知識について調査を行った。

・回答の中には、①身体活動の障壁②身体活動を促進するもの③医療従事者からの情報提供④身体活動に関する知識といったテーマが抽出された。

・身体活動の障壁としては、時間的な制約であったり、身体症状の問題もありますが、感情的な問題も大きな要因であるようである。

・身体活動を促進するための因子としても、心理的要因が挙げられるが、さらに、医療従事者からの情報提供や身体活動に関する知識が重要であった。

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今回紹介する研究の概要

今回紹介する論文は、乳がんサバイバーに対して身体活動量向上のためにどのように考えているか、インタビューを実施した内容になっています。

「Sequeira M, Luz R, Alvarez MJ. The Practice of Physical Activity After Breast Cancer Treatments: A Qualitative Study Among Portuguese Women.Front Psychol. 2022 Mar 15;13:823139.」、2022年に発行された最新の論文です。

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対象

The sample was recruited by convenience from cancer patients’ associations and through a snowball sampling method, since women survivors of breast cancer were considered a hard-to-reach sample. Twenty adult Portuguese women in the survivorship phase of transition from treatment to extended survival (American Cancer Society, 2019), were contacted, and all agreed to participate. They were independent in their functioning and had no contraindication for performance of PA. Recruitment was performed by the people responsible by the patients associations and by the different volunteers, including a nurse.

Sequeira M, Luz R, Alvarez MJ. The Practice of Physical Activity After Breast Cancer Treatments: A Qualitative Study Among Portuguese Women.Front Psychol. 2022 Mar 15;13:823139.

対象は、乳がんサバイバーの成人ポルトガル人女性20人です。

全員が日常生活動作が自立しており、身体活動のの実施に禁忌はありませんでした。

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方法

Sequeira M, Luz R, Alvarez MJ. The Practice of Physical Activity After Breast Cancer Treatments: A Qualitative Study Among Portuguese Women.Front Psychol. 2022 Mar 15;13:823139.

対象者全員に身体活動に関するインタビューを20-60分間実施しています。

具体的な内容は、

 

①身体活動の実践内容

現在、乳がん以前、乳がん以後 どのような身体活動を実践していますか?
どのような運動をどれくらいの頻度で行っていますか?
乳がんと診断された後、身体活動に何か変化がありましたか?

 

②身体活動を定期的に実践するための決定要因

あなたが活動的であるなら、身体活動を熱心に行う動機は何ですか?
運動しているとき、どのように感じていますか?
何か特別な難しさを感じますか?
活動的でない場合、なぜ活動しないのですか?
どのような困難を感じて、運動をしないのですか?

 

③乳がん後の身体活動の利点と推奨に関する知識

乳がん後でも身体活動を実践できることをご存知ですか?
このことを言われたり、勧められたりしましたか?
身体活動には乳がんサバイバーにとって何らかの利点があることを知っていますか?
あなたは、何をどのくらい実践してよいかを知っていますか?

 

といった内容でした。

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結果

定期的な運動については、20人中9人が診断前から活発でした。

しかし、この9人のうち3人はその後定期的な運動をやめていました。

一方、診断前に非活動的であった女性のうち4人は、診断後に定期的な身体活動を開始していました。

その結果、20人の参加者のうち10人は、インタビューが行われるまでに自分が活動的であると考えていました。

 

インタビューの分析の結果、参加者が定期的に身体活動を行っているかどうかに関係なく、4つの主要なテーマが得られました。

その内容は以下になります。

 

①身体活動の障壁

  • 雨が降ったとき、私たちはよくこう考えます。雨が降ると、「ああ、今日は雨だ。明日にしよう…」と決めることが多い。そうですね、悪天候は影響がありますね、主に冬に。太陽があればもっといいんですけどね。
  • 自然の中にいることに喜びを感じるが、運動からは、いや、喜びを感じない。あの鍛錬は私には向いていない!
  • 身体的に疲れやすくなった、汗をかくことが多くなった、関節痛もある。
  • 友達が来ない時は、私も行かない!
  • 私の悩みは、子供のスケジュールです。なぜなら、子供のアクティビティで、一日の終わりに空いた時間がなく、いまだに調整できていないからです。
  • 定期的にやっていたが、結局やめてしまったことがある。あるときは仲間がいなかったから、あるときはつまらなかったから、あるときは時間がなかったからです。
  • 私にとってのこの困難は心理的なもので、今は気分が良いからです。もし、別の問題が起きたり、気分が悪くなったりしたら、私の意志は復活するはずです。これは人間らしいと思います。私は、早起きして走ったり歩いたりすることに慣れた。単に習慣になっただけだ。不摂生なんです。
  • 仕事をしていないのなら、もっと娘と時間を過ごすべきだとか、家事をするべきだとか……そんなことばかり考えてしまいます。自分を大切にすることは、とても難しいことです。私にはまだ無理です!

 

②身体活動を促進するもの

  • この種のジムを開設したのは素晴らしいアイデアでした。自由な体制で、人々は好きなときに、あるいは可能なときに通うことができるのです。クラスに参加してもしなくてもいいし、マシンやマット、サイクリング、ローイングなど、個人でできることもあります。
  • 太ってしまうと、私の場合、体重が増え、動けなくなってしまうんです。このままではいけないと思いました。身体活動は、人がより活動的になり、体調も気分も良くしてくれるのです。
  • たまたま友人のサポートグループを作ったのですが、時々ベッドから出るのが辛くて、”散歩したいのにベッドから出られないので、誰か来て欲しい “と訴えました。身体的にも心理的にも、そんな気分にはなれなかった。だから、いつも建物の玄関まで来てくれる友人がいて、「もうここで待っているから、いくらでもいいから公園へ行こう!」と言って、散歩に行くんです。たまにはスマホだけでも、効果あり!?
  • 体を動かすことは、とても大きなエネルギーと幸福感を与えてくれると思うからです。たとえ30分でも、気分がよくなり、何かをする気になり、明るくなれる。
  • このように、身体活動によって促進される気分の良さや心理的なバランスも、定期的なPAの実践につながるポジティブな感情的要因として挙げられています。体だけでなく、心にもいいと思う。私は、もうすぐ死ぬという思いがありましたが、死ぬわけにはいかないという思いもありました。だから、自分の役割を果たすしかない。それが私の役割で、常に物事を超えようとし、誰にも文句を言わなかった。

 

③医療従事者からの情報提供

  • ホルモン療法で増えた体重を減らさなければならないことに加え、主治医からのプレッシャーもあるので、どうしても始めなければなりません。彼はよく、会うたびにこう言います。「痩せて、幸せになって、運動しなさい」と。
  • 外科医は「これから放射線治療が始まるが、だからといって夕方に散歩に出るのはやめてくれ、家にいては困る!」と言いました。私にとっては、ピラティスやヨガなど、負荷の少ないものが理想的だと言っていました。いつもそのようにアドバイスを受けていました。
  • 半年ごとに通っている外科医に、以前は走っていたことを話したら、「そうだね、とてもいいね」と言われただけ。「と言われました。
  • 私が病院でお世話になった従来の医師は、この話題に触れることすらありませんでした。
  • 手術後すぐに、医師はいつも私に海辺を歩くように、ちょっとした散歩をするようにとアドバイスしてくれました。誰もするなとは言いませんでした。

 

④乳がんサバイバーの身体活動に関する知識

  • このようなライフスタイルは、がんを患った人への一般的な推奨事項だと思います:歩く、じっとしていない、家で苦しんでいない…という点は定石だと思います
  • うつ病状態の予防になると思うから。その中で辛い日々の方が多いので、歩くことでそれを防ぐことができる。
  • 動くと、体全体の反応も違うから。
  • 化学療法をしなければなりませんよね。そうでないと、病気を鎮めることができないからです。でも、残りの50%は自分自身でやらなければならないことなのです。自分自身の体調が悪いと、すべてが複雑になり、難しくなると思うのです。病気に対する見方さえも、そうでしょう?そして、運動は欠かせません。
  • 少なくとも私にとっては、がんであるにもかかわらず、家に閉じこもってはいけない、病気や状況に押し潰されてはいけないということが前提になっていると思います。ですから、ウォーキングをしたり、ビーチに出かけたり…日差しや疲労を考慮してほどほどに、でも、そうすべきなのだと思います。

 

たくさん記載しましたが、乳がんサバイバーの方々が実際に身体活動に対してどのように感じているかの、生の言葉なので大変参考になりますね。

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結論

The study helped to identify barriers as well as strategies that Portuguese women spontaneously put into practice to facilitate engagement in regular PA after breast cancer. This information gives us clues for behavior change techniques that could be effective in helping overcome barriers and in promoting regular PA among this specific group of women, considering the specifically tailored interventions that can be developed in conjunction with the currently known international recommendation for practice of PA for breast cancer survivors. Less-frequently featured in previous literature, our study identified the importance of emotional barriers that may result from cultural specificities, such as family commitments and guilt over spending time on exercise activities. In the same vein, facilitators included the altruism to help others with their regular PA, the individual’s positive attitude toward being active, the belief that an active lifestyle could be important for the good course of the disease and survivorship, and that each cancer survivor has an important role to play in this. This adds different determinants that may be specific to this sample or might be relevant in some other societies that value collectivism, through the emphasis on the social role of women. Because of the particular cultural context and some idiosyncratic determinants, the factors identified in this study are relevant to future interventions in similar contexts.

Sequeira M, Luz R, Alvarez MJ. The Practice of Physical Activity After Breast Cancer Treatments: A Qualitative Study Among Portuguese Women.Front Psychol. 2022 Mar 15;13:823139.

この研究では、家族の約束や運動活動に時間を費やすことに対する罪悪感など、文化的特異性から生じる可能性のある感情的な身体活動に対する障壁の重要性を確認した。

同様に、促進要因としては、定期的な運動で他人を助けたいという利他主義、活動的であることに対する個人の前向きな姿勢、活動的なライフスタイルは病気の良い経過とサバイバーシップにとって重要であり、がんサバイバーはそれぞれ重要な役割を担っていると信じていることが挙げられた。

身体活動の障壁としては、時間的な制約であったり、身体症状の問題もありますが、感情的な問題も大きな要因であるようですね。

逆に、身体活動を促進する因子としても、心理的な要因が大きく関与するようです。

そして、心理的要因に関わる因子としては、医療従事者や家族、友達のサポートが重要なようですね。

加えて、運動の効果に対する知識がしっかりしている方が運動に対する意欲も大きくなるようですので、やはり教育も重要ですね。

この点は、日本での研究と同様の結果となっています。

がんサバイバーが行っている運動の実態は??

2022年3月4日
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まとめ
・今回は、乳がんサバイバーに対して身体活動量向上のためにどのように考えているか、インタビューを実施した論文を紹介。

・乳がんサバイバーに対して、身体活動の実践内容、身体活動を実践するための決定要因、身体活動の利点と推奨に関する知識について調査を行った。

・回答の中には、①身体活動の障壁②身体活動を促進するもの③医療従事者からの情報提供④身体活動に関する知識といったテーマが抽出された。

・身体活動の障壁としては、時間的な制約であったり、身体症状の問題もありますが、感情的な問題も大きな要因であるようである。

・身体活動を促進するための因子としても、心理的要因が挙げられるが、さらに、医療従事者からの情報提供や身体活動に関する知識が重要であった。

注意
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。

しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。

記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。

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