がんサバイバーが運動するために必要な動機づけとは?

今回は、がんサバイバーが運動することを邪魔する障壁と、運動するための動機付けについて記載された論文を紹介します。

このブログではがんサバイバーの運動の重要性を中心に紹介しています。

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運動は推奨されていますが、推奨されているレベルまで運動できているがんサバイバーは少ないという現状でしたね。

特に、最近ではコロナ禍ということもあり、さらに自宅にこもりがちで運動不足になってる方も多いと思います。

そのような中でオンラインでの運動療法介入も実現可能で効果がありそうでしたね。

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それでもなかなか運動実施出来な方が多いんではないでしょうか?

そこで今回は、がんサバイバーが運動することを邪魔する障壁と、運動するための動機付けについて記載された論文を紹介します。

まとめ
・がんサバイバーが運動することを邪魔する障壁と、運動するための動機付けについて記載された論文を紹介。

・がんサバイバーの運動の障壁として、金銭問題、指導する人材の問題が挙げられる。

・がんサバイバーが運動を継続する動機づけとしては、活動の楽しさを高めること、目標設定、行動の自己モニタリング、社会的支援の提供が挙げられます。

・紹介した動機づけを活用して運動継続できるように頑張りましょう。

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今回紹介する論文の概要

今回紹介する論文は、がんサバイバーが運動することを邪魔する障壁と、運動するための動機付けについて紹介しているになっています。

「Coletta AM, Basen-Engquist KM, Schmitz KH. Exercise Across the Cancer Care Continuum: Why It Matters, How to Implement It, and Motivating Patients to Move. Am Soc Clin Oncol Educ Book. 2022 Apr;42:1-7」、2022年に発行された最新の論文です。

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運動実施の障壁

金銭的問題

国内でのがん患者のリハビリテーションは、治療を目的とした入院中に対してのみ医療保険が使用可能となっている。

退院後のリハビリテーションに関しては、医療保険外で病院やジムで行うこととなるため、金銭的問題が生じることが多い。

無料で行うのであれば、自己管理による運動を継続する必要がある。

運動を指導する人材の問題

もうひとつの障壁は、運動を指導する人材の問題である。

入院中のがん患者さんに対するリハビリテーションを実施するのは、十分に教育を受けたリハビリテーション専門職が担当することが多い。

しかし、退院後のリハビリテーションにおいては、外来主体の病院やジムで実施することになるので、がんに対する教育を十分に受けた指導者が非常に少ない現状である。

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運動実施の動機付け

がんサバイバーにとっての運動の有益性は明らかであるが、今まで紹介してきたようにがんサバイバーの大多数は身体活動ガイドラインを満たすレベルの運動を行っていないことが多い。

地方都市のあるプログラムでは、地域がんセンターで提供されたプログラムに参加したのは、対象となるサバイバーの1%未満であったと報告されている。

これらのデータから、がんサバイバーにもっと活動的になるよう動機付け、奨励する努力が必要であることは明らかである。

医療従事者が、がんサバイバーに運動を実施してもらうために行う手法の基本は、(1)がんサバイバーの現在の身体活動を評価し、医師の監督なしに運動しても安全かどうかを判断する、(2)身体活動を増やすよう助言する、(3)身体活動のレベル、病状、目標や好みに基づいて適切な運動プログラムを紹介する、ことが挙げられます。

その中で特に、がんサバイバーの運動に対する動機づけを行うポイントを紹介します。

活動の楽しさを高める

運動不足のがん生存者の多くは、運動を楽しいとか気持ちいいと感じていない。

可能であれば、自分が楽しめる身体活動の形態を特定するよう奨励されるべきである。

さらに、運動中にオーディオブックを聴く 、参加者が歩みを進めるゲームに参加する 、友人と一緒に運動するなど、運動と他の楽しい活動を組み合わせることで、運動への関与が高まることが示されている。

目標設定

最初の目標は、たとえ毎日5分歩くだけでも、サバイバーがもっと動くことである。

小さな変化であっても、何らかの効果が期待でき、サバイバーが運動に慣れ、時間を作る習慣を身につけるのに役立ちます。

サバイバーは、短期的な目標(例えば、「今週は月、水、木、土に20分のウォーキングをする」)と長期的な目標(例えば、「来年の4月までに、リレー・フォー・ライフで6周歩けるようになりたい」)の両方を考えることが有用です。

短期目標は、サバイバーが容易に達成できるレベルから始め、時間をかけて進展させることで、サバイバーの成功を確かなものにし、自信をつけるのに役立ちます。

具体的、測定可能、達成可能、関連性があり、時間を基準にした目標を特定することによって、曖昧すぎる目標を避けることが有効です。

行動の自己モニタリング

自己モニタリングは、運動した日にカレンダーに印をつけるという単純なものから、携帯アプリやウェアラブル端末で身体活動を追跡するといった技術的な解決策を含む場合があります。

このブログでも自己モニタリングの有用性は紹介しましたね。

歩数計や装着型活動量計は、がん生存者の身体活動を増加させ、フィットネス、生活の質、身体機能、疲労などの健康上の成果を改善するのに有効であることが研究で示されています。

社会的支援の提供

社会的支援は、身体的活動の増加と関連してます。

運動行動を変えることは、特にサバイバーが直面している多くの障壁を考慮すると困難であるため、精神的な支援や励ましを与えてくれる人を見つけることも有用です。

医療チームからの励ましは、精神的な支えの1つとなり、医療従事者が推奨事項をフォローアップすることで強化されます。

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結論

Overall, evidence is clear that exercise is beneficial across the cancer care continuum. Challenges exist in implementation related to payment and workforce development; however, there are several models that may be followed once barriers are overcome. In addition to integrating programs into care, it is important for the cancer care team to discuss exercise and the benefits of exercise with the survivor and use evidence-based tools to motivate survivors to engage in exercise and use available services offered by the hospital and/or community.

Coletta AM, Basen-Engquist KM, Schmitz KH. Exercise Across the Cancer Care Continuum: Why It Matters, How to Implement It, and Motivating Patients to Move. Am Soc Clin Oncol Educ Book. 2022 Apr;42:1-7

全体として、運動はがん治療全般にわたって有益であるという証拠は明らかです。

金銭や指導する人材といった実施上の課題が存在するため、障壁を乗り越えることは今後の課題になります。

医療従事者が運動および運動の利点についてサバイバーと話し合い、運動に取り組み、病院や地域が提供する利用可能なサービスを利用するよう動機付けることが重要です。

 

どんなに運動指導を行っても、やるかやらないかは患者さん次第ですから、実施できるような動機付けが重要ですね。

今回の内容を参考に、運動を継続できるように頑張りましょう。

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まとめ
・がんサバイバーが運動することを邪魔する障壁と、運動するための動機付けについて記載された論文を紹介。

・がんサバイバーの運動の障壁として、金銭問題、指導する人材の問題が挙げられる。

・がんサバイバーが運動を継続する動機づけとしては、活動の楽しさを高めること、目標設定、行動の自己モニタリング、社会的支援の提供が挙げられます。

・紹介した動機づけを活用して運動継続できるように頑張りましょう。。

注意
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。

しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。

記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。

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