乳がんサバイバーの運動はオンラインでも効果あり!!

今回は、乳がんサバイバーを対象にオンラインでの運動療法に関する実現可能性について調査した研究を紹介します。

このブログではがんサバイバーの運動の重要性を中心に紹介しています。

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運動は推奨されていますが、推奨されているレベルまで運動できているがんサバイバーは少ないという現状でしたね。

特に、最近ではコロナ禍ということもあり、さらに自宅にこもりがちで運動不足になってる方も多いと思います。

そのような中で注目されているのが、オンラインでの運動指導です。ヨガやピラティスなどでもオンラインレッスンが増えているようです。

オンラインで運動指導が実施出来れば、がんサバイバーも簡便に利用できるかもしれませんね。

そこで今回は、乳がんサバイバーを対象にオンラインでの運動療法に関する実現可能性について調査した研究を紹介します。

まとめ
・乳がんサバイバーを対象にオンラインでの運動療法に関する実現可能性について調査した研究を紹介。

・オンラインでの運動介入の継続率は90%であり、実現可能性は高いようである。

・オンラインでの自宅での運動介入によって、乳がんサバイバーの体力と下肢除脂肪体重の改善を示した。

・オンラインでも対応できる環境を整えて活用を検討してもいいかもしれない。

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今回紹介する研究の概要

今回紹介する論文は、乳がんサバイバーを対象にオンラインでの運動療法に関する実現可能性について調査した内容になっています。

「Sagarra-Romero L, Butragueño J, Gomez-Bruton A, et al. Effects of an online home-based exercise intervention on breast cancer survivors during COVID-19 lockdown: a feasibility study. Support Care Cancer. 2022 Apr 26:1-11.」、2022年に発行された最新の論文です。

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対象

The final sample included 15 women. Those that meet the following inclusion criteria were selected to participate in the present study: (i) age between 18 and 75 years old; (ii) diagnosed of breast cancer (stages I–III); (iii) > 6 months post-treatment (surgery, chemotherapy or radiotherapy); (iv) to be in active hormonal therapy; (v) no exercise medical contraindications (e.g., cardiovascular disease or neuromuscular disorders); and (vi) signing the written informed consent.

The exclusion criteria were (i) participants with cancer cachexia (body mass index < 20 kg/m2) [22]; (ii) being diagnosed of another primary and/or secondary tumor or being in metastatic stage; (iii) cardiac and or lung diagnosed problems (e.g., myocardial infarction, arrhythmia, angina, heart failure or chronic obstructive pulmonary disease); (iv) to have participated in an exercise program during the previous 6 months; or (v) to have severe immunosuppression or fever.

Sagarra-Romero L, Butragueño J, Gomez-Bruton A, et al. Effects of an online home-based exercise intervention on breast cancer survivors during COVID-19 lockdown: a feasibility study. Support Care Cancer. 2022 Apr 26:1-11.

対象は、以下の参加基準を満たす15人の女性としました。(i) 年齢18~75歳、(ii) 乳がん(ステージI~III)と診断され、(iii) 治療(手術、化学療法、放射線療法)後6カ月以上経過し、(iv) ホルモン療法が有効である、(v) 運動医学的禁忌(例:心疾患、神経筋障害)がなく、 (vi) 文書による同意書にサインしていること。

除外基準は、(i) がん性悪液質(body mass index < 20 kg/m2) [22]; (ii) 別の原発性および/または二次腫瘍の診断を受けている、または転移期にある; (iii) 心臓および/または肺の診断問題(例:心筋梗塞、不整脈、狭心症、心不全または慢性閉塞性肺疾患); (iv) 過去6ヶ月間に運動プログラムに参加している; (v) 重度の免疫抑制あるいは熱があることでした。

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方法

Sagarra-Romero L, Butragueño J, Gomez-Bruton A, et al. Effects of an online home-based exercise intervention on breast cancer survivors during COVID-19 lockdown: a feasibility study. Support Care Cancer. 2022 Apr 26:1-11.

ZOOMを用いた監視下でのオンライン運動介入を16週間実施しています。

最初の2週間は、運動への慣らしに焦点を当てました。

指導付きトレーニングと指導なしトレーニングをそれぞれ週2回、合計週4回の運動介入を行いました。

運動時間は60分で、ウォームアップ(10分)、トレーニングのメインパート(40分)、クールダウン(10分)で構成されています。

運動内容は8~12種類の機能的エクササイズ(スクワット、スプリットスクワット、ウォーキングランジ、カーフライズ、グルートブリッジ、バンドプルダウン、コア、その場でウォーキング/ジョギング、バイセップスカールまたはショルダープレスと横方向のステップアップ、パンチ、ジャンピングジャック)で構成されています。

運動負荷は、自重、ゴムバンド、家庭で手に入る材料(水や牛乳の入った小さなペットボトル、ショッピングバッグなど)を使って調整しました。

運動強度は最大心拍数(HRmax)の60~85%の範囲としウォームアップとメイントレーニングの終了時に、Borgスケール[28]を用いて自覚的疲労感の評価も行っています。

最後に、毎週2回の自主運動(20~30分/セッション、60~85%HRmax)を追加するよう参加者に勧めた。これらの有酸素運動セッションには、ダンスの振り付け、室内サイクリング、または同様の刺激を誘発する他の家庭用ツールの使用など、自分で選択したエクササイズで構わないこととしています。

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結果

Sagarra-Romero L, Butragueño J, Gomez-Bruton A, et al. Effects of an online home-based exercise intervention on breast cancer survivors during COVID-19 lockdown: a feasibility study. Support Care Cancer. 2022 Apr 26:1-11.

こちらは運動介入前後の運動機能の結果になります。

運動介入中の有害事象や健康問題は認められませんでした。

運動介入の継続率は平均90±17%でした。

ベースラインと介入後では、右上肢の握力、下肢の筋力、心肺機能で有意な改善が認められました。

Sagarra-Romero L, Butragueño J, Gomez-Bruton A, et al. Effects of an online home-based exercise intervention on breast cancer survivors during COVID-19 lockdown: a feasibility study. Support Care Cancer. 2022 Apr 26:1-11.

こちらは運動介入前後の身体組成の結果になります。

運動介入開始時から終了時まで、両下肢の除脂肪体重が増加、つまり筋量が増加していました。

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結論

This feasibility study suggests that an online home-based exercise intervention performed during a confinement period is safe and beneficial for breast cancer survivors who showed improvements in physical fitness and lower limbs lean mass. Further larger studies (particularly, controlled trials) are needed to evaluate which is the best intervention to improve both physical and psychological health-related markers..

Sagarra-Romero L, Butragueño J, Gomez-Bruton A, et al. Effects of an online home-based exercise intervention on breast cancer survivors during COVID-19 lockdown: a feasibility study. Support Care Cancer. 2022 Apr 26:1-11.

今回の研究では、オンラインでの自宅での運動介入によって、乳がんサバイバーの体力と下肢除脂肪体重の改善を示しました。

オンラインでの自宅での運動介入が安全かつ有益であることを示唆しています。

 

15人と少人数の研究なので、今後人数を多くして検証が必要でしょうが、最近話題になっているオンラインでの運動介入は実現可能で効果も期待できるようです。

オンラインでも対応できる環境づくりも検討する必要がありますね。

ヨガやピラティスのオンラインレッスンなんかもありますので、興味ある方は参加を検討してみましょう。

今回の研究でも、運動強度が中等度~高強度となっていますので、やはりある程度の運動負荷をかけるということがポイントでしょうね。

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まとめ
・乳がんサバイバーを対象にオンラインでの運動療法に関する実現可能性について調査した研究を紹介。

・オンラインでの運動介入の継続率は90%であり、実現可能性は高いようである。

・オンラインでの自宅での運動介入によって、乳がんサバイバーの体力と下肢除脂肪体重の改善を示した。

・オンラインでも対応できる環境を整えて活用を検討してもいいかもしれない。

注意
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。

しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。

記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。

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