抗がん剤後のしびれに効果的な運動方法を紹介

前回は、CIPNに対する予防や治療についてのアメリカのガイドラインを紹介しました。

抗がん剤後のしびれ(CIPN)の予防や治療は?-アメリカのガイドラインを解説-

2023年6月22日

 

薬物療法としてはデュロキセチンが紹介されていましたね。

 

治療内容と言えば、主に薬物療法に焦点が当てられてきましたが、薬物療法以外には効果的な治療はないのでしょうか?

 

以前に、圧迫療法が効果があることを紹介しましたが、それ以外はどうでしょう?

 

圧迫療法は化学療法誘発性末梢神経障害(CIPN)の症状を軽減させる

2022年7月22日

 

がん患者さんにとって運動が大事なことはさんざん紹介してきましたが、

がんサバイバーに推奨される運動量は?ガイドラインを解説!

2023年2月28日

CUPNに対して運動は効果はないのでしょうか? 

気になりますよね??

 

そこで今回は、特定の運動プログラムがCIPNの症状、姿勢制御、身体機能、生活の質にどのような影響を与えるかについて、現在のエビデンスを系統的にまとめて分析したレビューを紹介します。

  

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今回紹介する資料の概要

今回紹介する論文は、特定の運動プログラムがCIPNの症状、姿勢制御、身体機能、生活の質にどのような影響を与えるかについて、現在のエビデンスを系統的にまとめて分析した内容になります。

「Duregon F, et al. Effects of exercise on cancer patients suffering chemotherapy-induced peripheral neuropathy undergoing treatment: A systematic review. Crit Rev Oncol Hematol. 2018 Jan;121:90-100」. 2018年のレビューになります。

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方法

Duregon F, et al. Effects of exercise on cancer patients suffering chemotherapy-induced peripheral neuropathy undergoing treatment: A systematic review. Crit Rev Oncol Hematol. 2018 Jan;121:90-100

この論文は、系統的なレビューとして行われました。

つまり、複数の研究をまとめて分析することで、より信頼性の高い結論を導き出すことができます。

 

このレビューでは、MEDLINE、Scopus、Bandolier、PEDro、Web of Scienceといったオンラインデータベースを使用して文献検索が行われました。

 

選択基準として、がん患者で化学療法中にCIPNが診断された方々を対象とした運動介入が含まれる研究が選ばれました。

また、生活の質やバランス評価が含まれるものが選ばれました。

 

最終的に5つの研究がこのレビューに含まれました。

 

各研究の質は、Cochrane Collaboration Back Review Groupによって提供された9つの基準チェックリストを使用して評価されました。

このチェックリストは、ランダム化方法、基準時点でのグループ間の類似性、選択基準や除外基準の明確さなどを評価するものです。

 

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結果

 

この論文では、5つの研究が分析されました。

それらの研究では、運動がCIPNの症状、姿勢制御、身体機能、生活の質にどのような影響を与えるかが調べられました。

 

CIPNの症状については、4つの研究で調査されました。

 

その結果、運動によってCIPNの症状が軽減されることが示されました。

特に、「触れられることが異常に敏感」という項目では、運動後に83.3%の減少が見られました。

 

静的なバランス制御については、4つの研究で調査されました。

 

その結果、運動によって静的なバランス制御が改善されることが示されました。

特に、Berg Balance Scale(BBS)では、運動後に62%の改善が見られました。

 

動的なバランス制御については、2つの研究で調査されました。

 

その結果、運動によって動的なバランス制御が改善されることが示されました。

特に、片足立ちでの揺れ方向(左右)では、運動後に35.65%の改善が見られました。

 

生活の質については、3つの研究で調査されました。

 

その結果、運動によって生活の質が改善されることが示されました。

特に、Global QOLでは、運動後に8.5%の改善が見られました。

 

運動によって様々な点について改善が認められているようです。

素晴らしいですね!!

 

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考察

 

今回のレビューでは、運動によってCIPNの症状やバランス、生活の質が改善することが示されました。

 

運動プログラムとしては、有酸素運動(歩行やサイクリング)、筋力トレーニング(弾性バンドや自重を使用した抵抗運動)、コア安定性トレーニング、センサーモータートレーニングなどが含まれていました。

 

運動プログラムは個々の患者さんに合わせて調整され、週に2〜5回、1回あたり30〜60分程度行われました。

 

やっぱり有酸素運動や筋力トレーニングなどを組み合わせた運動が効果的なようですね!!

 

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CIPNの発症,症状,評価についてはコチラにまとめてますので、参考にしてみてください。

【まとめ】がん治療後のしびれ、CIPNの影響と評価について

2023年7月3日

 

CIPNの予防・治療についてはコチラにまとめてますので、参考にしてみてください。

【まとめ】がん治療後のしびれ、CIPNの予防と治療について

2023年7月4日

注意
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。

しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。

記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。

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