【まとめ】リンパ浮腫患者さんの運動習慣の実態

前回はリンパ浮腫に対する運動療法の有効性についてまとめた記事を紹介しました。

リンパ浮腫に対する運動の効果のまとめ

2023年5月24日

リンパ浮腫に対する運動療法の効果は多くの研究で認められていますが、大事なのはそれを日常生活で習慣化していくことですよね。

 

このブログでも、リンパ浮腫外来では運動療法が実施されているかといった内容を紹介してきました。

がん患者のリンパ浮腫外来で運動療法は行われているのか??

2022年3月6日

今回はリンパ浮腫外来での運動指導の実態やリンパ浮腫患者さんの運動習慣についてまとめて紹介いたします。

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まとめ
・リンパ浮腫外来での運動指導の実態やリンパ浮腫患者さんの運動習慣についてまとめて紹介。

・リンパ浮腫外来では運動指導は実施しているが、パンフレットなどを用いて短時間で運動内容を指導している状況であった。

・ガイドラインで推奨されている時間や内容の運動はなかなか実施できていなかった。

・毎週電話で運動を促すことを18週間継続すると、ガイドラインで推奨される運動を行う患者さんが64.9%に増加する。

リンパ浮腫外来で運動指導は行われているのか?

リンパ節郭清術後やリンパ浮腫外来では、リンパ浮腫を予防・改善させるための指導が行われています。

運動はリンパ浮腫予防・改善のための重要な手段の一つですので、しっかりと指導されていると思いますが、実態はどうなのでしょうか?

石井 瞬, 夏迫 歩美, 福島 卓矢, 神津 玲, 宮田 倫明, 中野 治郎, 全国がん診療連携拠点病院でのリンパ浮腫外来における運動療法の実態調査, 理学療法学, 2021, 48 巻, 3 号, p. 330-336

こちらの研究では、全国のがん診療連携拠点病院198施設の中で、リンパ浮腫ケアの状況を把握している医療者を対象にアンケート調査を行っています。

調査内容はリンパ浮腫ケアの実施内容についてです。

その結果、運動指導は70%の施設で実施していました。しかし、自施設で運動療法を実施しているのは14.3%(10施設)のみでした。

さらに、リンパ浮腫外来で一人の患者さんにかける時間の平均は60分間程度ですが、そのうち用手的リンパドレナージが24.0分,圧迫療法が15.4分、運動療法は3.3分という結果でした。

運動指導は実施しているが、短時間で運動内容を指導を行っているのみということでしょうね。

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どのように運動指導を行っているのか

それでは、どのように運動を含めたリンパ浮腫の予防を指導しているかを調査した研究を挙げていきましょう。

奥 朋子, 藤田 佐和, 井沢 知子, 他. がん診療連携拠点病院におけるリンパ浮腫ケアに関する実態調査. 日本がん看護学会誌. 2017. 31

こちらの研究では、全国のがん診療連携拠点病院399施設の中で、リンパ浮腫ケアの状況を把握している医療者を対象にアンケート調査を行っています。

調査内容はリンパ浮腫ケアの実施内容についてです。

その結果、リンパ浮腫予防の指導は94.5%の施設で実施されておりましたが、運動指導が行われていたのは51.5%のみでした。

そして、指導方法としては、独自のパンフレットを使用するのが最も多く、67.5%となっています。それ以外でも、資料やDVDなどを用いて指導することが多いようですね。

おそらく運動指導も、資料を見てもらいながら、「こんな運動を行ってくださいね。」と高騰のみの指導が多いのではないでしょうか。

なかなか、一緒に運動を行いながら指導する時間はないんでしょうね。

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実際にがん患者さんは運動を実施できているのか

Department of Health – Quality Health. Quality of life of cancer survivors in England: Report on a pilot survey using Patient Reported Outcome Measures (PROMS). (http://www.dh.gov.uk/health/2012/12/ cancer-proms/)

がんサバイバーの方々にガイドラインで推奨されている運動内容としては

 

①1回30分以上,週に3回以上の中等度強度の有酸素運動

②週2回以上(8~12回の2セット以上)の中等度強度のレジスタンス運動

となっています。

 

これは、健常な高齢者にも推奨されているような運動内容であり、がん患者さんであっても運動はしっかり行った方がいいというわけですね。

 

しかし、実際にこの内容の運動を行っているかというと、56%の方々が,週3回以上の運動を実施できていなかったと報告されています。

簡単に運動習慣って身につかないわけですね・・・。

 

玉井 なおみ, 木村 安貴, 西田 涼子, 他, 乳がんサバイバーの運動実施の状況と関連要因, Palliative Care Research, 2019, 14,  97-105

こちらの研究では、3か所の医療機関の中で、外来受診中の乳がん患者さん303名を対象にアンケート調査を行っています。

調査内容は運動の実施状況や運動に対する知識についてです。

その結果、運動を実施しているのは58.4%でした。運動実施頻度は週単位が多く,内容はウォーキングやストレッチが中心となっています。

ガイドラインにあるようなレジスタンストレーニングを行うのは、なかなか難しいようですね。

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運動指導によって運動習慣は身につくのか?

それでは、リンパ浮腫外来で行っているようなパンフレットを用いた運動指導で本当に運動習慣って身につくのでしょうか?

Cao A, Cartmel B, Li FY, et al. Exercise adherence in a randomized controlled trial of exercise on quality of life in ovarian cancer survivors. J Cancer Surviv. 2023 Apr;17(2):535-543.

こちらの研究では、卵巣がん治療後の女性74名に対して、毎週の電話カウンセリング(最大25回)を行うことで、運動のアドヒアランスが向上するかを調査しています。

最終的に150分/週の運動を行えたのは64.9%であり、18回のカウンセリングで、運動目標を達成した数が最大となったとのことです。

つまり、毎週電話で運動を促すことを18週間継続すると、ガイドラインで推奨される運動を行う患者さんが64.9%に増加するというわけです。

1回だけの、3.3分間くらいの運動指導を行うだけで、運動習慣が身につくかというと、難しい気がしますね・・・。

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運動は効果があるのですが、なかなか運動習慣を身につけるのが難しく、運動が実施できていないという状況でしたね。

患者さんも医療者も運動の効果や内容を理解して、なんとか運動を習慣化できるように考えていかないとですね。

次回はどうやったら運動習慣が身につくかを紹介していきます!

まとめ
・リンパ浮腫外来での運動指導の実態やリンパ浮腫患者さんの運動習慣についてまとめて紹介。

・リンパ浮腫外来では運動指導は実施しているが、パンフレットなどを用いて短時間で運動内容を指導している状況であった。

・ガイドラインで推奨されている時間や内容の運動はなかなか実施できていなかった。

・毎週電話で運動を促すことを18週間継続すると、ガイドラインで推奨される運動を行う患者さんが64.9%に増加する。

注意
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。

しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。

記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。

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