リンパ浮腫に対する運動の効果のまとめ

このブログでは以前からリンパ浮腫に対する運動療法の有効性について紹介してきました。

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リンパ浮腫に対する運動療法の効果は多くの研究で認められています。

今回はリンパ浮腫に対する運動療法の効果についてまとめて紹介いたします。

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まとめ

・リンパ浮腫に対する運動療法の効果についてまとめて紹介。

・運動指導だけでなく、ピラティスを併用することでリンパ浮腫が改善する。

・ストレッチだけでなく、軽い負荷でもいいので筋トレを行った方が改善が期待できる。

・高負荷での自転車運動は下肢の浮腫に即時的な効果がある。

・運動したほうがリンパ浮腫の予防効果も期待できる。

・リンパ管細静脈吻合術後であっても、運動や活動によって浮腫の改善が期待できる。

複合的理学療法とは

リンパ浮腫の治療は、スキンケア、圧迫療法、用手的リンパドレナージ、圧迫下での運動療法から構成される複合的理学療法を行うことがスタンダードとなります。

北海道リンパ浮腫診療ネットワーク, リンパ浮腫簡易指導マニュアル. 2022

リンパ浮腫診療ガイドライン

リンパ浮腫の治療と言えば一番思いつくのは、リンパマッサージではないでしょうか？

みなさんが想像するリンパマッサージは、用手的リンパドレナージという名前で複合的理学療法の中に、確かに含まれています。

それでは、その効果のほどはどうなのでしょうか？

日本リンパ浮腫学会（編）. リンパ浮腫診療ガイドライン 2018年度版. 金原出版, 2018

こちらは、ガイドラインで示されている用手的リンパドレナージや運動療法の効果をまとめたものになります。

結果として、用手的リンパドレナージよりも、圧迫下での運動の方が治療としても予防としても推奨されているということになっています。

ピラティスの効果

それでは、運動療法の効果について調査した研究を挙げていきましょう。

HÖ, Malkoç M, Ergin G, et al. Effects of Clinical Pilates Exercises on Patients Developing Lymphedema after Breast Cancer Treatment: A Randomized Clinical Trial. J Breast Health. 2017 Jan 1;13(1):16-22

こちらの研究では、乳がん治療後にリンパ浮腫を発症した18歳以上の女性60名を2群に分けて調査を行っています。

コントロール群は運動とウォーキングの指導、ピラティス群は運動指導に加えて，週3回8週間のグループレッスンを行った結果、ピラティス群で腋窩領域を除くすべての上肢周径が有意に改善しています。

運動指導だけでなく、ピラティスを併用することでリンパ浮腫が改善するという結果ですね。

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筋トレの効果

Kim DS, Sim YJ, Jeong HJ, et al. Effect of active resistive exercise on breast cancer-related lymphedema: a randomized controlled trial. Arch Phys Med Rehabil. 2010 Dec;91(12):1844-8

こちらの研究では、乳がん治療後にリンパ浮腫と診断された40名を2群に分けて調査を行っています。

通常運動群は肩関節周囲の関節運動やストレッチ、筋トレ群は通常運動群に加えて8種類の上肢筋トレ10回×2セットを15分間（0.5～1.0kgダンベル負荷）実施しています。

実施頻度と期間は週5回で、2週間は監視下，6週間は自主練習となっています。

その結果、8週間後に筋トレ群は通常運動群と比較して、上肢の近位側の体積が大幅に減少しています。

ストレッチだけでなく、軽い負荷でもいいので筋トレを行った方がいいという結果ですね。

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自転車運動の効果

Fukushima T, Tsuji T, Sano Y, et al. Immediate effects of active exercise with compression therapy on lower-limb lymphedema. Support Care Cancer. 2017 Aug;25(8):2603-2610

こちらの研究では、リンパ浮腫を発症した婦人科がんの女性23名に対して、3種類の介入を行って調査しています。

①高負荷自転車運動　②低負荷自転車運動　③圧迫のみを1週間の期間を空けて15分間ずつ実施した結果、高負荷自転車運動は介入直後に下肢体積の減少を認めています。

特に圧痕の重症度や皮膚の硬さが強いほど、介入後の改善が大きかったようです。

高負荷での自転車運動は下肢の浮腫に即時的な効果があるという結果ですね。

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筋トレのリンパ浮腫予防に対する効果

それでは、運動療法の効果について調査した研究を挙げていきましょう。

Schmitz KH, Ahmed RL, Troxel AB, et al. Weight lifting for women at risk for breast cancer-related lymphedema: a randomized trial. JAMA. 2010 Dec 22;304(24):2699-705.

こちらの研究では、1-5年前に片側乳がんの診断を受け、リンパ節郭清術を受けた女性154名を2群に分けて調査を行っています。

対照群はリンパ浮腫に対する運動に関して1時間の講義のみ、WL群は上半身の筋トレ5種類、下半身の筋トレ4種類週2回90分（10回3セット） 39週間実施しています。

その結果、リンパ浮腫の発症は、対照群17％、WL群11％（p=0.003）であり、リンパ節郭清個数5個以上では、対照群22％、WL群7％（p=0.001）となっていました。

リンパ浮腫郭清後は、あまり無理しないように指導されるかもしれませんが、この研究の結果からは、運動したほうがリンパ浮腫の予防効果があるということになっています。

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リンパ管細静脈吻合術後の運動の効果

Akita S, Yamaji Y, Tokumoto H, et al. . Correlation of the changes in physical activity and clinical results following lymphatic microsurgery. Microsurgery. 2021 Jan;41(1):44-49. doi: 10.1002/micr.30642. Epub 2020 Aug 22. PMID: 32827443.