今回は慢性疼痛の種類と治療法についてまとめた論文を紹介します。
慢性疼痛とは、実際または潜在的な組織損傷に関連する不快な感覚や感情的な体験のことです。
この論文では、慢性疼痛の種類ごとに使用される薬剤の特性と、合併症を持つ人々におけるその効果が評価されています。
慢性疼痛には、侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、そして痛覚変調性疼痛があります。
この論文を読むことで、慢性疼痛についての理解が深まりますよ!
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今回紹介する研究の概要
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今回紹介する論文は、慢慢性疼痛の種類と治療法についてまとめた内容になっています。
「Marcianò G, Vocca C, Evangelista M, Palleria C, Muraca L, Galati C, Monea F, Sportiello L, De Sarro G, Capuano A, Gallelli L. The Pharmacological Treatment of Chronic Pain: From Guidelines to Daily Clinical Practice. Pharmaceutics. 2023 Apr 6;15(4):1165. doi: 10.3390/pharmaceutics15041165.」 2023年に発行された最新の論文になります。
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薬剤の種類
この論文では、慢性疼痛の種類ごとに使用される薬剤の特性と、合併症を持つ人々におけるその効果が評価されています。
慢性疼痛には、侵害受容性疼痛(組織損傷が関与)、神経障害性疼痛(神経系の疾患または損傷が関与)、痛覚変調性疼痛(組織または神経損傷の証拠がないが、神経系の過剰な過剰調節が持続する)の3種類が組み合わさっており、薬剤の種類を調整します。
1.NSAIDs
慢性の侵害受容性疼痛(例えば、腱炎、変形性関節症、背部痛)の患者さんでは、短期間の投与が検討されます。
NSAIDsには、非選択的COX阻害剤、COX-2半選択的薬剤、COX-2選択的阻害剤があります。
アセトアミノフェンは、抗炎症作用のない非典型的なNSAIDsであり、慢性の持続性腰痛の患者さんでは効果がないと報告されています。
2.オピオイド
Marcianò G, Vocca C, Evangelista M, Palleria C, Muraca L, Galati C, Monea F, Sportiello L, De Sarro G, Capuano A, Gallelli L. The Pharmacological Treatment of Chronic Pain: From Guidelines to Daily Clinical Practice. Pharmaceutics. 2023 Apr 6;15(4):1165. doi: 10.3390/pharmaceutics15041165.
オピオイドは、そのμ、κ、およびδ受容体に結合し、様々な作用を発揮します。
この論文ではオピオイドは、侵害受容性または神経障害性疼痛の患者さんに使用できますが、痛覚変調性疼痛の患者さんには使用できないと記載されています。
3.中枢神経作用薬
神経障害性疼痛の患者さんでは、抗うつ薬と抗てんかん薬の両方が第一選択治療とされています。
三環系抗うつ薬の中では、アミトリプチリン(1日25~125mg)が、50%の患者さんの疼痛緩和に必要な治療数(NNT)が3.6と最も良い結果を示しています。
痛覚変調性疼痛の管理には、一般的に使用される神経障害性活性を持つ薬剤としてプレガバリンやデュロキセチンなどがあります。
4.筋弛緩薬
筋弛緩薬はγ運動ニューロンを抑制し、カルシウムチャネルとカルモジュリンの活性を増加させ、筋収縮部位の血流を増加させます。
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合併症がある場合の注意点
慢性疼痛を持つ患者が他の疾患も併発している場合における、薬物治療の安全性に配慮する必要があります。
腎不全:ガバペンチンやプレガバリンなどの薬剤は用量調整が必要です。NSAIDsは避けるべきです。
肝不全:メタキサロンは禁忌です。肝臓で代謝されるオピオイドに注意が必要です。
高血圧:デュロキセチン、筋弛緩剤、ガバペンチン、NSAIDs、トラマドール、タペンタドールなど、血圧を上昇させる可能性がある薬剤に注意が必要です。
骨粗鬆症:オピオイドとNSAIDsは骨粗鬆症のリスクを増加させます。
不整脈:アミトリプチリン、シクロベンザプリン、エペリゾンなど、心拍数やQT間隔に影響を与える可能性がある薬剤に注意が必要です。
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まとめ
侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、痛覚変調性疼痛といった疼痛の種類によって、効果的な薬剤が変わってきます。
さらに、腎機能低下や肝機能低下、高血圧といった合併症があると、薬剤の安全性にも配慮する必要があります。
疼痛の種類、合併症などを考慮してそれぞれ適切な薬剤選択が必要です。
また、薬剤だけでなく、他の治療方法もあります。
例えば、運動プログラムや心理的治療、社会的介入などがあります。これらの治療方法は、患者さんそれぞれのニーズに合わせて選択されます。
薬物療法とそれ以外の方法を組み合わせながら疼痛緩和を図っていきましょう!
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・慢性疼痛は、実際または潜在的な組織損傷に関連する不快な感覚と感情的な経験です。
・慢性疼痛は、侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、痛覚変調性疼痛の3種類が組み合わさっています。
・各種類の痛みに対して、異なる薬物治療が推奨されます。例えば、侵害受容性疼痛にはNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)、神経障害性疼痛には抗うつ薬や抗てんかん薬が使用されます。
・合併症がある場合には安全性に配慮した薬剤選択が必要となります。
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。
しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。
記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。
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