高齢前立腺がん患者が知っておきたい治療の副作用とその対処法

     

がん患者さんは多くの副作用に悩んでいることは、今までも紹介してきました。

    

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今回は、高齢の前立腺がん患者が治療を受けるときにどんな症状が出るかについて、最新の研究を紹介します。

   

前立腺とは、男性のおしっこを出すところにある器官です。

前立腺がんとは、前立腺の細胞ががんになる病気です。

前立腺がんは、高齢の男性に多く見られます。

前立腺がんは、転移すると、骨やリンパ節、肺などに広がります。これを転移性前立腺がんといいます。

  

   

転移性前立腺がんの治療には、いろいろな種類があります。

化学療法という薬を使う方法や、アンドロゲンという男性ホルモンを減らす方法や、ラジウムという放射性物質を使う方法などがあります。

これらの治療は、がんの細胞を死なせたり、増えるのを止めたりする効果があります。しかし、同時に、体に悪い影響も与えます。

副作用には、痛みや疲れや吐き気などがあります。

副作用は、治療を受ける人の生活の質を下げたり、治療をやめたくなったりする原因になります。

   

   

高齢の人は、若い人よりも、体が弱くなっていることが多いです。

体が弱くなると、治療の副作用に耐えられなくなったり、他の病気にかかりやすくなったりします。

これをフレイルといいます。

フレイルの人は、がんの治療に対して、どんな症状が出るか、どれくらい続くか、どうやって改善できるか、よくわかっていません。

   

   

この論文では、研究者たちは、転移性前立腺がんの治療を受ける高齢の男性の中に、フレイルの人がどれくらいいるか、どんな症状が出るか、どれくらい続くか、どうやって改善できるか、について調べました。

       

           

     

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今回紹介する論文の概要

    

   

今回紹介する論文は、転移性前立腺がんの治療を受ける高齢の男性の中に、フレイルの人がどれくらいいるか、どんな症状が出るか、どれくらい続くか、どうやって改善できるか、について調べた内容です。

 

   

「Parthipan M, Feng G, Breunis H, Timilshina N, Emmenegger U, Hansen A, Tomlinson G, Matthew A, Clarke H, Santa Mina D, Soto-Perez-de-Celis E, Puts M, Alibhai SMH. Understanding the incidence, duration, and severity of symptoms through daily symptom monitoring among frail and non-frail older patients receiving metastatic prostate cancer treatments. J Geriatr Oncol. 2024 Feb 12;15(3):101720. doi: 10.1016/j.jgo.2024.101720」。

2024年の最新の論文になります。

    

    

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対象と方法

 

   

65歳以上の転移がある前立腺がんの患者さんを対象に、抗がん剤、ホルモンの働きを抑える薬、ラジウムの3つの治療のうち、どれか1つを始める前に、症状を評価する質問紙に答えてもらいました。

  • 化学療法:がん細胞を殺す薬を点滴で入れる治療です。
  • ARAT:男性ホルモンの働きを阻害する薬を飲む治療です。
  • ラジウム223:放射性物質を注射する治療です。

    

   

そして、治療を始めた後、毎日、症状を評価する質問紙に答えてもらいました。

質問紙には、11種類の症状について、0から10までの数字でどのくらいひどいかを答えるようになっていました。

0は全くないという意味で、10は最悪という意味です。

    

   

また、毎週、痛みや疲れや不眠などの症状について、もう少し詳しく聞く質問紙にも答えてもらいました。

    

   

このようにして、研究者たちは、治療でどんな症状が出るか、どのくらいひどくなるか、どのくらい続くかを調べました。

    

   

また、患者さんの体の弱さや機能の低下の度合いによって、症状に違いがあるかどうかも調べました。

     

       

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結果

      

    

Parthipan M, et al. Understanding the incidence, duration, and severity of symptoms through daily symptom monitoring among frail and non-frail older patients receiving metastatic prostate cancer treatments. J Geriatr Oncol. 2024 Feb 12;15(3):101720. doi: 10.1016/j.jgo.2024.101720

      

       

この表から、フレイルな参加者は非フレイルな参加者に比べて、特に「不快感」の発生率が高いことがわかります。

また、「吐き気」の発生率もフレイルな参加者の方が高いことが示されています。

これらの結果は、フレイルな高齢者ががん治療の副作用をより強く経験する可能性があることを示しています。

      

      

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Parthipan M, et al. Understanding the incidence, duration, and severity of symptoms through daily symptom monitoring among frail and non-frail older patients receiving metastatic prostate cancer treatments. J Geriatr Oncol. 2024 Feb 12;15(3):101720. doi: 10.1016/j.jgo.2024.101720

      

          

Fig. 1は、化学療法、ARAT、またはradium-223を受けている転移性前立腺癌の患者における、中等度から重度の症状の発生率を示したグラフです。

症状は、疲労、不眠、不快感、疼痛、食欲低下など11種類あります。

グラフは、各治療群ごとに、症状の発生率の平均値と95%信頼区間を棒グラフとエラーバーで表しています。グラフから、以下のことが分かります。

           

        

  • 疲労は、すべての治療群で最も多く発生した症状で、化学療法群では約80%、ARAT群では約50%、radium-223群では約70%の患者が中等度から重度の疲労を経験しました。
  • 不眠は、化学療法群とradium-223群で約60%、ARAT群で約40%の患者が発生しました。不眠は、疲労と同様に、すべての治療群で高い発生率を示しました。
  • 不快感は、化学療法群で約50%、ARAT群で約40%、radium-223群で約30%の患者が発生しました。不快感は、症状の中で最もフレイル(高齢者の脆弱性)と関連があると考えられています。
  • 疼痛は、化学療法群で約40%、ARAT群で約50%、radium-223群で約20%の患者が発生しました。疼痛は、ARAT群で最も高い発生率を示しました。これは、ARATが骨転移に対して効果が低いためかもしれません。
  • 食欲低下は、化学療法群で約40%、ARAT群で約30%、radium-223群で約20%の患者が発生しました。食欲低下は、化学療法群で最も高い発生率を示しました。これは、化学療法が消化器系に影響を与えるためかもしれません。

            

                     

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Parthipan M, et al. Understanding the incidence, duration, and severity of symptoms through daily symptom monitoring among frail and non-frail older patients receiving metastatic prostate cancer treatments. J Geriatr Oncol. 2024 Feb 12;15(3):101720. doi: 10.1016/j.jgo.2024.101720

         

         

表3aは、治療コホートごとの症状の持続期間を示しています。

治療コホートとは、化学療法、ARAT、ラジウム223のいずれかを受けた患者のグループのことです。

         

           

表には、疼痛、疲労、不眠、食欲低下、不快感などの症状の中央値(IQR)が記載されています。

          

           

表から、症状の持続期間はコホートによって異なることがわかります。

例えば、疲労は化学療法コホートでは中央値が2日でしたが、ラジウム223コホートでは中央値が7日でした。これは、化学療法コホートの方が疲労の回復が早いことを示しています。

         

           

表3bは、フレイル(虚弱)と非フレイル(非虚弱)の患者の間の症状の持続期間の違いを示しています。

         

           

表から、症状の持続期間にはフレイルと非フレイルの間に統計的に有意な差はないことがわかります。

しかし、疼痛や不眠などの症状は、フレイルの患者の方が持続期間が長い傾向があります。

これは、フレイルの患者の方が症状の管理が難しいことを示唆しています。

           

             

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Parthipan M, et al. Understanding the incidence, duration, and severity of symptoms through daily symptom monitoring among frail and non-frail older patients receiving metastatic prostate cancer treatments. J Geriatr Oncol. 2024 Feb 12;15(3):101720. doi: 10.1016/j.jgo.2024.101720

          

             

Fig2は、化学療法、ARAT、またはラジウム223を受けている転移性前立腺癌の高齢患者の、最も一般的な中等度から重度の症状の週平均ESASスコアを示しています。

           

         

ESASとは、エドモントン症状評価システムの略で、がん患者の症状をスクリーニングするための多次元のツールです。痛み、疲労、吐き気、食欲、不眠、呼吸困難、抑うつ、不安、幸福感などの9つの一般的ながん症状を、0(なし)から10(最悪)の尺度で評価します。

         

            

痛み、疲労、不眠、食欲低下、幸福感の5つの症状のスコアが示されています。低いスコアは、低い症状の負担を意味します。

         

         

化学療法群では、疲労、食欲低下、不眠のスコアに有意な改善が見られました(p=0.007、p=0.034、p=0.035)

ARAT群とラジウム223群では、個々の症状のスコアに有意な変化は見られませんでした。

            

           

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考察

          

        

この研究で、高齢の前立腺がん患者さんが最もよく感じた症状は、以下の5つでした。

           

           

  • 疲れやすい:体がだるくて、動くのが億劫になることです。化学療法や放射線療法を受けた人の半分以上が、この症状を感じました。ホルモン療法を受けた人の4分の1も、この症状を感じました。
  • 眠れない:夜に寝付けなかったり、途中で目が覚めたりすることです。化学療法や放射線療法を受けた人の4分の3が、この症状を感じました。ホルモン療法を受けた人の3分の1も、この症状を感じました。
  • 気分が悪い:自分の体や生活に満足できないことです。化学療法や放射線療法を受けた人の4分の1が、この症状を感じました。ホルモン療法を受けた人の3分の1も、この症状を感じました。特に、体の弱い人や、日常生活に困難がある人は、この症状を感じやすいことがわかりました。
  • 痛み:骨や筋肉、関節などに痛みを感じることです。化学療法やホルモン療法を受けた人の3分の1が、この症状を感じました。放射線療法を受けた人の4分の1も、この症状を感じました。
  • 食欲がない:食べ物に興味がなくなったり、食べる量が減ったりすることです。化学療法やホルモン療法を受けた人の3分の1が、この症状を感じました。放射線療法を受けた人の4分の1も、この症状を感じました。

           

           

これらの症状は、治療を始めてからすぐに出たり、数日後に出たり、数週間後に出たりすることがあります。

また、症状の強さや長さは、人によって違います。

        

         

治療を始める前に、自分の体の状態や気持ちをチェックしておくと、変化に気づきやすくなります。

治療中に、これらの症状が出たら、無理をせずに休んだり、水分や栄養を摂ったり、リラックスしたりすることが大切ですね。

           

          

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フレイルの肝がん患者さんの運動の効果についてはコチラにまとめています。参考にしてみてください。

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まとめ
・高齢の前立腺がん患者が治療でどんな症状に悩まされるかを調べた論文を紹介

・65歳以上の前立腺がん患者さん90人の、治療を始めてから3週間か4週間の間、痛みや疲れ、食欲不振など11種類の症状の強さを評価した。

・約6割が治療中に少なくとも1つの症状に悩まされまおり、最も多かった症状は、疲れ(46.8%)、眠れない(42.9%)、気分が悪い(41.2%)、痛み(37.5%)、食欲不振(37.1%)であった。

注意
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。

しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。

記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。

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