緩和ケアの考え方を知っておこう!!

今回は、がん患者さんにとっても医療者にとっても知っておくべき緩和ケアの考え方について紹介します。

 

前回は悪液質も含む体重減少について紹介しました。

悪液質というのは、進行がんにおいて食欲不振や体重減少が著明になる状態でしたね。

がん患者さんにとって問題となる体重減少の目安は?

2022年5月10日

 

悪液質と言ったら、比較的終末期の状態になってきています。

終末期といえば緩和ケアをイメージする人も多いと思いますが、実際の緩和ケアとはどのような内容でしょうか?

そこで今回は、緩和ケアの考え方について紹介します。

運動後のジョイントメンテ&リカバリーケアドリンク【ランショット】
まとめ
・がん患者さんにとっても医療者にとっても知っておくべき緩和ケアの考え方について紹介。

・緩和ケアとは、がん患者さんの身体、心理、社会、スピリチュアルといった様々な問題に早期より対処することで、生活の質を向上することである。

・緩和ケアが必要な患者さんは多くの問題を抱えているので、多職種での介入が行われている。

・緩和ケアに関わる職種は、緩和ケアに関する基礎知識を学ぶ研修会を受講して、身体症状や精神症状、コミュニケーション、在宅医療などの知識を有している。

・治療の初期段階から、積極的な治療とともに、症状や苦痛に対する緩和ケアを行うことが推奨されている。

緩和ケアとは

緩和ケアとはWHOによって下記のように定義されています。

緩和ケアとは、生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に対して、疾患の早期より痛み、身体的問題、心理社会的問題、スピリチュアルな問題に関して、きちんとした評価を行ない、それが障害とならないように予防したり、対処することで、 クオリティ・オブ・ライフを改善するためのアプローチである

WHO 2002

がん患者さんの身体、心理、社会、スピリチュアルといった様々な問題に早期より対処することで、生活の質を向上するというわけです。

緩和ケアと言ったら、「痛み」に対してのイメージが強いかもしれませんが、身体の苦痛である「痛み」以外にも「うつ」や「社会復帰」などの心理や社会などの多側面の問題に対応してくれるわけです。

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緩和ケアに関わる職種

緩和ケアの提供体制(令和元年度 厚生労働省資料)

緩和ケアが必要な患者さんは多くの問題を抱えていますので、多職種で介入することが望ましいとされています。

  • 医師
  • 看護師
  • 薬剤師
  • 歯科医師
  • 臨床心理士
  • 理学療法士
  • 管理栄養士
  • 歯科衛生士
  • ソーシャルワーカー

などが挙げられます。

 

さらに、医師といっても、「主治医」「緩和ケア医」「精神科医師」など、それぞれ専門の医師が対処方法を検討してくれます。

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緩和ケアに関わる職種が勉強している内容

緩和ケアに携わるためには、緩和ケアに関する基礎知識を学ぶ研修会を受講することが望ましいです。

その内容が以下になります。

緩和ケアの提供体制(令和元年度 厚生労働省資料)

身体面に関しては「痛み」だけでなく「呼吸困難」や「消化器症状」への対応も勉強します。

さらに、不安抑うつといった心理面についても学びますし、退院後の地域連携や在宅医療についても学ぶことができます。

さらには、コミュニケーション技術の基本まで学べるので非常に有意義な研修会です。

丸2日間ほど時間がかかるのが大変ですが・・・。

 

以前は医師だけが受講できる研修会でしたが、他職種も受講できるようになりました。

私は、もともとファシリテーターというスタッフとして研修会に参加していましたが、数年前に受講者としても参加して、無事修了しました!

リハビリ関係のスタッフにも非常に役に立つ研修会なので、医療者の方はぜひとも参加してください。

がん患者さんは、緩和ケアの先生方はこのような研修会で勉強していますので安心してくださいね。

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緩和ケアを受ける時期

緩和ケアと言ったら、今でも終末期のイメージを持っている患者さんが多いですが、それは間違いです。

緩和ケアの提供体制(令和元年度 厚生労働省資料)

この図のように治療の初期段階から、積極的な治療とともに、症状や苦痛に対する緩和ケアを行うことが推奨されています。

がんに対する治療が行えなくなってから、緩和ケアに移行するというわけではありません。

身体症状や気持ちで苦痛を感じている場合には、早めに主治医に相談して緩和ケアも検討してもらいましょう!

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まとめ
・がん患者さんにとっても医療者にとっても知っておくべき緩和ケアの考え方について紹介。

・緩和ケアとは、がん患者さんの身体、心理、社会、スピリチュアルといった様々な問題に早期より対処することで、生活の質を向上することである。

・緩和ケアが必要な患者さんは多くの問題を抱えているので、多職種での介入が行われている。

・緩和ケアに関わる職種は、緩和ケアに関する基礎知識を学ぶ研修会を受講して、身体症状や精神症状、コミュニケーション、在宅医療などの知識を有している。

・治療の初期段階から、積極的な治療とともに、症状や苦痛に対する緩和ケアを行うことが推奨されている。

注意
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。

しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。

記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。

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