がん悪液質が予後におよぼす影響について解説

今回の記事では、進行したがん患者さんで問題となるがん悪液質が予後やQOLにおよぼす影響について紹介します。

前回の記事では、がん悪液質のがん悪液質の診断、病態生理、疫学について紹介しました。

進行したがん患者で問題となる悪液質について解説

2022年7月6日

悪液質に関する知識を持って、体重減少や食欲不振、筋量減少に注意売る必要があるといった話でしたね。

 

それでは、悪液質になったら一体どのような影響があるのでしょうか?

そこで、今回は、がん悪液質が予後におよぼす影響について紹介します。

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まとめ
・がん悪液質が予後におよぼす影響について紹介。

・体重減少は生存期間,握力の低下,QOL の低下,PS の低下と相関していた。

・経過中にどの段階で悪液質を合併しても,その後の予後は非悪液質の患者さんと比較して悪化した。

・食に関する苦悩は患者にも家族にも問題となりやすい。

・食に関する苦悩を緩和するためにも,患者だけでなく家 族や介護者にもがん悪液質の病態を理解してもらう必要があり,食事に関する専門的なアドバイスを行う栄養士の介入がさらに必要と思われる。

がん悪液質が予後やQOLにおよぼす影響

Takayama K, Atagi S, Imamura F, Tanaka H, Minato K, Harada T, et al. Quality of life and survival survey of cancer cachexia in advanced non-small cell lung cancer patients-Japan nutrition and QOL survey in patients with advanced non-small cell lung cancer study. Support Care Cancer. 2016;24:3473-3480.

このグラフはPS 良好な未治療進行進行非小細胞肺がん(NSCLC) 患者を 52 週間にわたって前向きに評価した結果です.

体重減少率別に4群に分けると、体重減少率が高い方が予後が悪いという結果になっております。

体重減少率は生存期間以外にも,握力の低下,QOL の低下,PS の低下とも相関していたようです.

 

他の研究では, 体重減少に BMI を加えた解析を行ってお り,体重減少が予後に与える影響は BMI が小さいほど大きくなることも報告されています。

 

Kimura M, Naito T, Kenmotsu H, Taira T, Wakuda K, Oyakawa T, et al. Prognostic impact of cancer cachexia in patients with advanced non-small cell lung cancer. Support Care Cancer. 2015;23:1699-1708

こちらのグラフは進行NSCLC を対象として、非悪液質の患者さんと悪液質の患者さん、さらに非悪液質から悪液質に変化した患者さんの予後を比較しています。

最初から悪液質でなくても,経過中にどの段階で悪液質を合併しても,その後の予後は非悪液質の患者さんと比較して悪化するようです.

 

他の研究では、消化器がんでも体重減少,サルコペニアや悪液質の合併が予後不良因子であることが多数報告されています。

また,悪液質は薬物治療の副作用を増強させたり,手術に伴う合併症を増加させることとも関連しているので,悪液質になると治療効果が減弱することが、予後を悪化させる一因になっているものと考えられています.

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がん悪液質が心理面におよぼす影響

がん悪液質は心理面にも影響を及ぼします。

がん悪液質による食欲不振や倦怠感,痩せによ る外見の変化などが患者自身の社会的活動を低下させてしまいます.

 

特に食に関する苦悩は大きな問 題であり、患者自身の食生活の変化は家族の食生活にも 影響し,結果的に両者にあつれきを生じることが知られています.

 

食事を工夫しても患者が食べら れない場合,家族は自責の念にさいなまれることがあり,一方患者自身はそのような家族の期待に応えられないことがストレスになって感情的な対立を生むとされています.

Amano K, Maeda I, Morita T, Okajima Y, Hama T, Aoyama M, et al. Eating-related distress and need for nutritional support of families of advanced cancer patients: a nationwide survey of bereaved family members. J Cachexia Sarcopenia Muscle. 2016;7:527-534

こちらは、本邦における終末期がん患者の家族を対象とした栄養サポートのニーズについての調査結果です。

がん悪液質の影響についての適切な説明や栄養サポートのニーズが高いことが明らかとなっています.

食に関する苦悩を緩和するためにも,患者さんだけでなく家 族や介護者にもがん悪液質の病態を理解してもらう必要があり,食事に関する専門的なアドバイスを行う栄養士の介入がさらに必要と考えられています。

 

食事が食べれない患者さんに、食事を促すようなことをすると、それがプレッシャーやストレスになることも多いですね。

悪液質というのがどのような病態で、どのような対応が必要になるのかを理解しておく必要があるというわけですね。

最終的には、やはり専門家に相談するのが一番でしょう。

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まとめ
・がん悪液質が予後におよぼす影響について紹介。

・体重減少は生存期間,握力の低下,QOL の低下,PS の低下と相関していた。

・経過中にどの段階で悪液質を合併しても,その後の予後は非悪液質の患者さんと比較して悪化した。

・食に関する苦悩は患者にも家族にも問題となりやすい。

・食に関する苦悩を緩和するためにも,患者だけでなく家 族や介護者にもがん悪液質の病態を理解してもらう必要があり,食事に関する専門的なアドバイスを行う栄養士の介入がさらに必要と思われる。

注意
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。

しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。

記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。

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