厚生労働省が補完代替療法情報を発信している「eJIM」

がん患者さんの治療は手術療法、化学療法、放射線治療がメインになりますが、私の専門であるリハビリや運動もそうですし、世の中には多くの治療が存在します。

 

あまりにも多くの情報がありますので、どの情報が正しいのか選ぶのも一苦労ですね。 

 

一つの選択肢として、がんの補完代替療法クリニカル・エビデンス(2016年版)というものが発刊されていますので、以前はその内容をいくつか発信させて頂きました。

 

がんの身体症状に対して鍼灸治療は効果があるのか?【ガイドライン解説】

2022年8月9日

がんの痛み、消化器症状に対する運動療法の効果

2022年7月27日

がん患者の身体症状に対するヨガの効果【ガイドライン解説】

2022年9月29日

ヨガや運動療法などもガイドラインに記載されていますので、参考にしてみてください。

 

ただ、こちらのガイドラインは医療者向けなので内容が少し難しいのですが、もっと簡単に記載されているものはないのでしょうか?。

 

実は、補完代替療法の情報発信として、厚生労働省が「eJIM」というHPを立ち上げています。

 

https://www.ejim.ncgg.go.jp/public/index.html

 

eJIMの説明としては、

厚生労働省eJIM(イージム:「統合医療」情報発信サイト)は、民間療法をはじめとする相補(補完)・代替療法*と、どのように向き合い、利用したらよいのかどうかを考えるために、エビデンス(根拠)に基づいた情報を紹介しています。決して個人の責任で実施するさまざまな療法を制限するものではなく、また特定の療法を勧めるものでもありません。」

と記載されています。

 

そこで今回は、「eJIM」に記載されている、がんに対する補完代替療法について紹介します。

 

 

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抗酸化物質

 

 

抗酸化物質とは合成または天然の物質で、細胞の傷害を予防したり遅らせたりする性質があります。

野菜や果物の多い食事は抗酸化物質の宝庫であり、健康に良いということがわかっていますが、研究によって抗酸化サプリメントによる病気の予防効果が示されているわけではありません。

 

それでは、がんの予防や治療に関してはどのように記載されているのでしょうか?

 

  • 10万人以上を対象に、抗酸化物質が心血管系疾患やがん、および白内障などの慢性疾患の予防に効果があるのかを厳密な科学的調査がおこなわれましたが、抗酸化物質がこれらの病気発症のリスクを減らすことはほとんどありませんでした。
  • 45歳以上の約4万人の健康な女性を対象とした女性健康調査では、ビタミンEサプリメントが心臓発作、脳卒中、がん、加齢黄班変性症や白内障のリスクを減らすことはない、ということがわかりました。
  • セレニウムとビタミンEのがん予防効果試験(SELECT)は、35,000名以上の50歳以上の男性を対象とした調査ですが、この臨床試験では、セレニウムとビタミンEサプリメントを単独もしくは併用で摂取しても前立腺がんを予防することはないとわかりました。

 

このように、最近の研究では、ほとんどの場合、抗酸化サプリメントは、病気の予防に役立たないことがわかってきています。

 

そのため、「健康的な食事や通常医療の代わりに抗酸化サプリメントを使用することや、病的疾患について医療機関を受診することを先送りにするために、抗酸化サプリメントを利用しないでください。」と記載されています。

 

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マッサージ療法

 

 

マッサージ療法は、健康管理や増進に用いられます。

マッサージ療法は、体の軟組織に働きかけます。マッサージ療法は東洋や西洋のほとんどの文化で、人類の歴史を通して実践されてきており、痛みの緩和を試みて人々が行った最古の方法の一つです。

 

適切な予防策を講じれば、マッサージ療法はマッサージ療法を希望するがん患者の支持療法の一環となります。

しかし、疼痛や不安を緩和できるというエビデンスは強固ではありません。

 

がん患者さんに対するマッサージの研究としては

 

  • 2016年に行われたがん患者におけるマッサージ療法に関する19件の研究(1,200例を上回る参加者)の評価では、マッサージ療法が疼痛と不安を和らげる可能性があるという、いくつかのエビデンスが認められましたが、エビデンスの質は非常に低く、調査結果は一貫性がありませんでした。
  • 乳がん患者のケアに関する臨床診療ガイドライン(医療スタッフへのガイダンス)は、ストレス軽減、不安、抑うつ、疲労、生活の質(Quality of Life:QOL)に有用な数ある方法の1つとして、マッサージ療法を対象としています。
  • 肺がん患者のケアに関する臨床診療ガイドラインは、通常の治療では不安や疼痛が適切に制御されない患者の支持療法の一環として、マッサージ療法を追加し得ることを示唆しています。

 

がん患者さんに対するマッサージの効果は期待できるようですが、「がんやがん治療により敏感な領域には、通常よりも少ない圧で行う必要があります。」といった特別な配慮が必要であると記載されています。

 

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太極拳

 

 

太極拳は、ゆっくりとした穏やかな動きと身体の姿勢、瞑想的な精神状態、そして呼吸をコントロールしながら行う実践技法です。

太極拳は、中国に古くから伝わる武術が起源です。

年々、健康増進やリハビリテーションに重点を置くようになりました。

 

太極拳は、一部のがん関連症状を改善し、恐らくQOLを向上させる可能性があると考えられますが、研究者らは、現時点では明確な結論や推奨はできないとしています。

 

  • 2018年のレビューでは、異なる種類のがん患者1,283例を対象とした22件の研究が含まれています。3~12週間の太極拳または気功の実践実技は、倦怠感、睡眠障害、抑うつ、および全体的なQOLの有意な改善と関連していました。
  • 2020年のレビューでは、乳がん患者1,268例を対象とした16件の研究が含まれています。米国で行われた研究の多くは、60分の太極拳セッションを週2〜3回、12週間にわたって行ったものです。その結果、太極拳は3カ月または6カ月の時点で、倦怠感、睡眠の質、抑うつ、肥満度の改善において従来の支持療法による介入と差がなかったが、3カ月の時点でQOLの改善において従来の介入より有意に優れていたことが示されました。従来の支持療法的介入と併用した場合、太極拳は倦怠感を有意に緩和することが明らかになりました。

 

太極拳が絶対にいいとは結論付けられませんが、無理のない班員で運動の一環として太極拳を取り入れることは有効かもしれませんね。

 

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ヨガ

 

 

ヨガは古代インド哲学に歴史的起源を持つ心身の訓練法です。それは精神的な訓練法として始まりましたが、身体や精神の健康を促進する方法として普及しました。

 

  • 2018年に行われた、さまざまながん種の患者においてヨガを利用した138件の研究(参加者計10,660例)の評価では、ほとんどの研究で、ヨガが患者の身体的、心理的症状と生活の質を改善することが認められました。
  • 2017年に行われた乳がんの女性を対象とした24件の研究(計2,100例を上回る参加者)のレビューでは、ヨガが疲労や睡眠障害を軽減し、健康関連の生活の質を改善するという中程度の質のエビデンスが認められました。ヨガの効果は、ほかの運動の効果と類似しており、教育プログラムの効果よりも優れていました。

やはり、ヨガも効果は期待できるようです。がん患者さんにとって運動は大事なようですね。

 

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まとめ

 

このように、がん患者さんに対する補完代替療法が紹介されています。

厚生労働省が発信している情報ですので、ある程度信用していいと思いますよ。

 

ぜひ参考にしてみてください。 

 

まとめ
・厚生労働省が「eJIM」というHPで補完代替療法の情報発信を行っている。

・抗酸化物質はがんの予防の効果としての根拠は乏しい。

・マッサージや太極拳、ヨガなどは、がんに関連する症状緩和の効果が期待できる可能性がある。

・厚生労働省が発信している信頼できる情報ですので、参考にしてみてください。

注意
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。

しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。

記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。

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