下肢のリンパ浮腫に対する自転車運動の効果

 

最近は、上肢のリンパ浮腫に対する運動の効果を紹介してきました。

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基本的には上肢や全身の運動が上肢のリンパ浮腫に効果があるような結果でしたね。

しかし、ウォーキングといった下肢の運動でも上肢のリンパ浮腫に効果がありそうでした。

  

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しかし、下肢の運動といったら、基本的には下肢のリンパ浮腫に効果があるはずですよね。

でも、下肢のリンパ浮腫に対する運動の効果は、ガイドラインでははっきりしないということでした。

  

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でも、少ないながらでも下肢のリンパ浮腫に対する運動の効果を認めた研究も存在します。

   

今回は、婦人科がん下肢リンパ浮腫患者が自転車エルゴメーター運動を行うことの効果について調査した論文を紹介します。

   

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今回紹介する論文の概要

 

今回紹介する論文は、婦人科がん下肢リンパ浮腫患者が自転車エルゴメーター運動を行うことの効果について調査したという内容になっています。

 

「Fukushima T, Tsuji T, Sano Y, et al. Immediate effects of active exercise with compression therapy on lower-limb lymphedema. Support Care Cancer. 2017 Aug;25(8):2603-2610」

2017年に発行された日本の論文です。

 

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対象

 

参加者は慶應義塾大学病院のがんリハビリテーションまたはリンパ浮腫外来クリニックからリハビリテーション医によって募集されました

 

選択基準は、(1)婦人科がんの診断(ステージI〜IV)、(2)婦人科がんの治療歴、(3)20〜80歳、(4)自転車エルゴメーターで運動を行える。

 

除外基準は、(1)コミュニケーションの困難、(2)蜂巣炎、(3)リンパ液の漏出、(4)深部静脈血栓症、(5)重度の動脈瘤、(6)重度の心臓病、または(7)肺塞栓症でした。

 

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介入内容

 

Fukushima T, Tsuji T, Sano Y, et al. Immediate effects of active exercise with compression therapy on lower-limb lymphedema. Support Care Cancer. 2017 Aug;25(8):2603-2610

  

下肢リンパ浮腫患者に対して、下肢に包帯で圧迫をして自転車エルゴメーター運動を行った。

  

参加者は、高負荷運動(High-load AECT)、低負荷運動(Low-load AECT)、および圧迫のみの治療(CT)をランダムな順序で行いました。

  

各介入は15分間実施され、3つの介入はそれぞれ1週間の期間を空けて行っています。

  

運動強度は、ベースラインで評価された下肢の最大伸展筋力を基準として、高負荷運動は10%、低負荷運動は5%に設定されました。

  

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結果

   

Fukushima T, Tsuji T, Sano Y, et al. Immediate effects of active exercise with compression therapy on lower-limb lymphedema. Support Care Cancer. 2017 Aug;25(8):2603-2610

  

こちらの表は、運動後の下肢の容積、痛み、重さ、皮膚の硬さ、皮膚の圧痕の変化を示しています。

  

下肢の容積の有意な減少は、介入前から介入後までのすべての介入で見られました。

3群間で比較すると下肢容積の変化は、圧迫のみよりも高負荷運動で有意に高かった。

 

痛みおよび重さはすべての介入で減少していました。

3群間で比較すると、痛みと重さの変化は、群間で変わりはありませんでした。

 

介入前から介入後までの介入では、皮膚の硬さの有意な改善は見られませんでした。

圧痕の改善は、すべての介入で観察されました。

  

3群間で比較すると、皮膚の硬さと圧痕の変化は、群間で変わりはありませんでした。

 

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Fukushima T, Tsuji T, Sano Y, et al. Immediate effects of active exercise with compression therapy on lower-limb lymphedema. Support Care Cancer. 2017 Aug;25(8):2603-2610

  

こちらのグラフは、皮膚の硬さや圧痕の重症度と下肢の容積の減少が関係しているかを検討しています。

関係すればするほど、直線が45度の角度に近くなります。

  

結果としては、介入前の皮膚のこわばりや圧痕が重症であると、高負荷運動、低負荷運動の下肢容積の変化と有意に関係していました。

  

圧迫のみの介入は、それらの重症度と下肢容積の変化は関係ありませんでした。

  

つまり、皮膚のこわばりや圧痕がひどい患者さんは、高負荷や低負荷での運動がより効果的ということですね。

   

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結論

  

容積の減少は、3つの介入すべての間で大幅に異なりました。

  

下肢のボリュームは、圧迫のみと比較して高負荷運動後に大幅に減少しました。

  

介入前の皮膚の症状の重症度は、高負荷運動および低負荷運動後の容積減少と関連していました。

  

自転車エルゴメーターを使用した高負荷運動は、下肢の容積を減らすために圧迫のみよりも効果的でした。

  

これらの結果は、高負荷運動が重度の下肢リンパ浮腫に顕著な影響を及ぼしていることを示唆しています。

つまり、自転車エルゴメーター運動は下肢のリンパ浮腫に効果はあるようですが、より負荷が大きい方が改善が期待できるようです。

  

そして、特に皮膚が硬かったり圧痕が強い患者さんこそ、自転車エルゴメーター運動が推奨されるようですね。

  

リハビリやジムで良く使用される自転車エルゴメーターで効果が期待できるのは素晴らしいですね。

ウォーキングだけでなく、自転車エルゴメーター運動を検討してもいいでしょう。

最近は購入して自宅で頑張る人も増えてますしね。

  

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まとめ
・婦人科がん下肢リンパ浮腫患者が自転車エルゴメーター運動を行うことの効果について調査した論文を紹介。

・高負荷運動は圧迫のみの介入よりも、下肢リンパ浮腫の容積の減少を認めた。

・皮膚の硬さや圧痕が強いほど、自転車エルゴメーター運動の効果が顕著であった。

・下肢リンパ浮腫の患者さんは、リハビリやジム、または自宅で自転車エルゴメーター運動を行うことを検討してもいいかもしれない。

注意
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。

しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。

記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。

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