自宅での運動でがんのむくみ、リンパ浮腫は改善できる

 

前回は、上肢のリンパ浮腫に対してウェイトリフティングがは安全で効果があるという論文を紹介しました。

がんの腕のむくみ、リンパ浮腫に対する筋トレは安全かつ効果的!

2023年7月4日

    

ウェイトリフティングのようなきつそうな運動でも監視下で行うと安全にできるようです。

では、監視下でない運動って効果はあるんでしょうか?

監視してもらわないとしっかりと運動できない印象もありますしね・・・。

 

さらに、リンパ浮腫の改善にはセルフケアも有効でしたね。

がんのむくみ、リンパ浮腫に対するセルフケア指導って効果はあるの?

2023年6月16日

   

そうすると、セルフケアと運動ってどちらが大事なんでしょうか?

もちろん、どちらも重要なんでしょうが、かたっぽで十分であれば両方もしたくないですよね。

   

そこで今回は、乳がんリンパ浮腫患者に対してセルフケアに在宅での運動指導を追加することの効果について調査した論文を紹介します。

 

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今回紹介する論文の概要

  

今回紹介する論文は、乳がんリンパ浮腫患者に対してセルフケアに在宅での運動指導を追加することの効果について調査したという内容になっています。

  

「Jeffs E, Wiseman T. Randomised controlled trial to determine the benefit of daily home-based exercise in addition to self-care in the management of breast cancer-related lymphoedema: a feasibility study.Support Care Cancer. 2013 Apr;21(4):1013-23.」

  

2013年に発行された論文です。

  

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対象

   

英国のがんセンター内のリンパ浮腫クリニックで片側乳がんの治療後の女性532人が対象となりました。

   

リンパ浮腫がある患者などの条件を絞っていくと、最終的に23人の女性だけが条件を満たし、かつ調査に協力しました。

   

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介入内容

   

コントロール群にはセルフケアとしては、スキンケアや圧迫を指導してもらっています。

  

さらには、定期的な運動や日常生活活動を継続することを推奨されています。

  

自分の判断で運動や活動を減らさないようにも指導されているようです。

   

一般的な複合的理学療法の内容を指導されているわけですね。

  

運動群在宅での運動の指導としては、体幹のリンパ管を刺激するような深呼吸と4種類の上肢の筋力トレーニングになります。

  

運動はスリーブを装着して実施しています。

  

運動プログラムを指導してもらった後は、自宅で毎日運動プログラムを行うように指示されました。

26週間を毎日行うわけですから、結構大変ですね。

  

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結果

Jeffs E, Wiseman T. Randomised controlled trial to determine the benefit of daily home-based exercise in addition to self-care in the management of breast cancer-related lymphoedema: a feasibility study.Support Care Cancer. 2013 Apr;21(4):1013-23.

こちらの表は、26週間の研究期間における四肢の浮腫の変化をまとめたものです。

研究開始と12週後、26週後の結果を記載しています。

IGが運動群、CGがコントロール群です。

changeELVや%changeELVの数値がマイナスになっていれば、浮腫が軽減したという結果です。

12週後も26週後も、どちらの群でも浮腫は減少傾向という結果になっています。

正確に言うと、12週後ではどちらの群も有意に減少していますが、26週後は運動群だけが有意に減少しているという結果になっています。

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Jeffs E, Wiseman T. Randomised controlled trial to determine the benefit of daily home-based exercise in addition to self-care in the management of breast cancer-related lymphoedema: a feasibility study.Support Care Cancer. 2013 Apr;21(4):1013-23.

こちらは結果をグラフにしたものです。

グラフだと運動群(IG)の方が、マイナスが大きい、すなわち浮腫が減少していることがよくわかりますね。

 

気になるのはどれくらいの患者さんが運動を続けられたかですが、

55%が毎日運動し、36%が週5回運動できていたようです。

監視されているわけでもないのに、それだけ運動を継続できるのはすごいですね。

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結論

今回の研究では、生活指導や運動指導はわずか30分未満という短時間であったにもかかわらず、、6か月の試験期間中、セルフケアと運動介入の両方への高い順守を達成しました。

さらに、26週後にはセルフケアに加えて、在宅での運動を行った方が浮腫の改善に効果的であることが考えられます。

半年間、運動を継続するのは気が遠くなりそうな感じですが、今回の研究結果を見る限りでは、指導してもらえばなんとか続けられるんでしょうかね?

皆様も、まずは半年継続を目標に運動を頑張ってみましょう。

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まとめ
・乳がんリンパ浮腫患者に対してセルフケアに在宅での運動指導を追加することの効果について調査した論文を紹介。

・半年間のセルフケアと在宅での運動は90%以上が週5-7日の頻度で継続できていた。

・セルフケアに在宅の運動を追加したほうが、半年後の浮腫改善に効果的である可能性が考えられる。

・まずは、半年間継続できるように頑張ってみましょう。

注意
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。

しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。

記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。

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