がんのむくみ、リンパ浮腫に対するセルフケア指導って効果はあるの?

以前の記事で、リンパ浮腫患者さんの日常生活での注意点について説明しました。

がんのむくみ、リンパ浮腫に対する日常生活の注意点について解説

2023年6月10日

 

ただし、日常生活の注意点って、なかなかしっかり覚えきれないですよね・・・。

実際、病院で看護師さんに指導してもらってるはずなんですが、あんまり覚えきれてない方が多いんですよね。

 

そこで、今回は、リンパ浮腫の日常生活指導が有用であるのか、ガイドラインでどのように紹介されているのかを説明します。

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看護師さんのリンパ浮腫指導

 

日本では、2008年からリンパ浮腫指導管理料が、保険で算定可能となっており、

リンパ節郭清術をされた患者さんは、看護師さんにリンパ浮腫に関する指導を受けることが多くなっていると思います。

 

指導の具体的項目としては、

  • リンパ浮腫の病因と病態
  • リンパ浮腫の治療方法の概要
  • セルフケアの重要性と局所へのリンパ液の停滞を予防及び改善するための具体的実施方法
  • 生活上の具体的注意事項 リンパ浮腫を発症又は増悪させる感染症又は肥満の予防に関すること
  • 感染症の発症等増悪時の対処方法 感染症の発症等による増悪時における診察及び投薬の必要性に関すること

となっています。

 

セルフケアの具体的な内容としては、

  • リンパドレナージに関すること
  • 弾性着衣又は弾性包帯による圧迫に関すること
  • 弾性着衣又は弾性包帯を着用した状態での運動に関すること
  • 保湿及び清潔の維持等のスキンケアに関すること

となっており、これらのことを指導することが推奨されています。

 

つまり、リンパ節郭清をした患者さんは上記の内容はしっかり指導されているはずなんですが、

なかなか覚えていないっていう方が多い印象ですね・・・。

指導といっても、一回だけパンフレットでの指導を受けるだけのことも多いようですから。

 

術後に指導だけ受けといて、かなり時間が経ってから、リンパ浮腫発症する方も珍しくないですし。

 

さらに、リンパ浮腫の治療を保険で行う場合の、リンパ浮腫複合的治療料の要件には、

弾性着衣又は弾性包帯による圧迫、圧迫下の運動、用手的リンパドレナージ、患肢のスキンケア及び体重管理等のセルフケア指導等を適切に組み合わせること。

一連の治療において、患肢のスキンケア、体重管理等のセルフケア指導は必ず行うこと。

が記載されています。

 

リンパ浮腫の治療を行うときにも、必ずセルフケアの指導が必要となっているということですね。

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セルフケア指導の効果は??

CQ 1. セルフケアのためのリンパ浮腫指導は有用か?

 

推奨:セルフケアは,十分な指導を受けた場合ではリンパ浮腫の発症予防や発症後の増悪予防となり得る。しかし,根拠となる論文ではインタビューや行動スコアなどを用いた評価が多く,客観的にリンパ浮腫の程度や頻度を述べたものは少ない。 グレードC

 

日本リンパ浮腫学会(編). リンパ浮腫診療ガイドライン 2018年度版. 金原出版, 2018

 

2018年度のリンパ浮腫診療ガイドラインでは、セルフケア指導はグレードC、つまり十分な科学的根拠はないという結果になっております。

 

ちょっと驚きの結果ですね!!

11編の論文を抽出して、セルフケア指導の効果を示す論文もあったようですが、指導の程度や効果を一定して表せていないことが多かったため、このような結果になったようです。

 

確かに、セルフケア指導となると、個別性も大きくなり、人によって指導内容も変わってきますよね。

なかなか、一定した内容の指導で効果があったと認める研究は難しいようです。

 

それでも、セルフケア指導はリンパ浮腫治療の中で最も大事と考えている医療者も多いので、実際の場面ではしっかりと指導を受けて、セルフケアの正しい方法を理解する必要があると思います。

どうやって、指導された内容を覚えておくかは課題の一つですね・・・。

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まとめ
・リンパ浮腫のセルフケア指導についての要点について説明。

・リンパ浮腫指導管理料やリンパ浮腫複合的治療料では、セルフケア指導が必須である。

・2018年度のリンパ浮腫診療ガイドラインでは、セルフケア指導は十分な科学的根拠はないという結果になっている。

・しかし、それでも、セルフケア指導はリンパ浮腫治療の中で最も大事と考えている医療者も多い。

・実際の場面ではしっかりと指導を受けて、セルフケアの正しい方法を理解する必要があると考える。

注意
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。

しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。

記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。

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