最近の記事では、リンパ浮腫に対するセルフケア指導にについて紹介しています。
でも、指導してもらうにしてもちゃんと知識がある人のしてほしいですよね。
どんな資格をもっている人なら、安心して指導してもらえるのかを今回は紹介します。
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医療用と美容用の資格の違い
以前も紹介しましたが、リンパ浮腫の治療の一つとして、用手的リンパドレナージというものがあります。
リンパマッサージやリンパドレナージュという名称は美容目的の治療に使用されており、医療の場合には基本的に用手的リンパドレナージという名称を用います。
医療用の用手的リンパドレナージは、排液が目的であって、皮膚を優しく動かして排液を促す手技になります。
用手的リンパドレナージは、ソフトタッチなので、痛いと思うことはまずありません。肩もみのようなマッサージと比べても刺激が少ない治療になります。
それに対して、美容用のリンパマッサージやリンパドレナージュは、目的や手技が全く異なります。
私は、医療者なのであまり詳しくは知りませんが、調べる限りでは血行改善やデトックス、リラクゼーションを目的としたもので、もみほぐすような皮膚~筋のマッサージやリンパ節部分への強いマッサージが含まれるようです。
私の知人も、とあるリンパマッサージに行ったら、皮膚やリンパ節を痛いくらいグリグリされて、「リンパの流れが悪いですね~」みたいなことを言われたようです。
知識がないので、いいことか悪いことかわかりませんが、医療用と美容用は全く違うことは確かでしょうね。
その辺によくあるリンパマッサージのお店なんかは、一般的に美容用の治療になりますので、リンパ浮腫患者さんにはあまりおすすめできないと思います。
それでは、どんな人に治療をしてもらったらいいのでしょうか?
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安心して治療してもらえる人は
結論からいうと、病院でリンパ浮腫の治療をしてもらう分には、安心してもらっていいと思います。
保険診療でリンパ浮腫の治療を行うものとして、リンパ浮腫複合的治療料というものがあります。
それを算定できるのは、適切な研修を受講した医師、看護師、理学療法士、作業療法士となるので、基本的には知識がある医療者に治療してもらってると思っていいですよ。
研修というのが大変で、最低座学33時間、実技67時間の研修会の受講が必須となります。
1日8時間受講したとしても、最低13日は必要になりますね。私が受講した研修会なんかは、合計22日間あって大変勉強になりました。
ただし、リンパ浮腫複合的治療料は、算定するための施設の要件が大変なので、算定していない施設が非常に多いです。
保険外であっても、医療施設がリンパ浮腫治療を行っている場合には、上記のような研修会を受講している医療者が対応していると思いますので、安心していいと思います。
医療者の資格の名前は、受講した研修会を主催している団体によって異なります。
例えば、私は医療リンパドレナージ協会が主催する研修会を受講して、「医療リンパドレナージセラピスト」という資格を持っています。
これと似たような名称の資格を持っていれば安心していいと思います。一覧としては、
- リンパ浮腫専門医師
- リンパ浮腫専門看護師
- リンパ浮腫専門理学療法士
- リンパ浮腫専門作業療法士
- リンパ浮腫指導技能者
- リンパ浮腫セラピスト
- リンパドレナージスト
- 医療リンパドレナージセラピスト
- リンパ浮腫療法士
このあたりの資格を持っていれば大丈夫と思いますよ。
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リンパ浮腫療法士
研修会を修了した時点で、リンパ浮腫複合的治療料を算定できる医療者なんですが、さらに条件を満たすと獲得できる資格があります。
その一つが、リンパ浮腫療法士です。
要件は以下の通りです。
1.日本国における医師・看護師・作業療法士・理学療法士・あん摩マッサージ指圧師のいずれかの資格を保有している
2.上記の資格において、資格取得後に2年以上の実務経験がある
3.教育内容基準を満たしたリンパ浮腫治療に関する研修を、座学45時限以上、実技演習90時限以上の計135時限以上修了している
4.リンパ浮腫外来またはそれに準ずる医療機関・施術施設にて、研修修了後2年以内に実施症例を最低5例以上積んでいる
地味にリンパ浮腫複合的治療料の算定要件より、研修会の受講時間がさらに長くなってますね。
そんな研修会を修了して、リンパ浮腫外来で2年以上働く必要があるので、リンパ浮腫療法士を持っている人は経験も豊富と思っていいでしょう。
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リンパ浮腫保険診療士
他にもリンパ浮腫保険診療士という資格もあります。
こちらの要件は以下の通りです。
(1) 日本リンパ浮腫学会の会員(医師、看護師、理学療法士、作業療法士)であること
(2) 日本リンパ浮腫学会の会費を完納していること
(3) 厚労省が定めた専門的なリンパ浮腫研修に関する教育要綱に沿った研修(座学33時間、実技67時間)を受講し、修了試験に合格していること
(4)過去 3 年間に 20 例以上のリンパ浮腫診断またはリンパ浮腫指導管理またはリンパ浮腫治療の実績があること
(5)過去 3 年間に日本リンパ浮腫学会学術集会に 2 回以上参加していること
こちらの資格は、20例以上の経験が必要となっていますので、経験豊富な医療者しか取れない資格ですね。
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弾性ストッキング・圧迫療法コンダクター
リンパ浮腫の治療の一つである圧迫療法に特化した資格もあります。
それが弾性ストッキング・圧迫療法コンダクターです。
この資格があると、弾性ストッキングのタイプやサイズの判断と着用時の指導、着用後の違和感などの相談を受け適切な指導ができるということになります。
要件は以下の通りになります。
●医師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学士、薬剤師、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師のいずれかの資格を有していること
●講習会(認定試験を含む)を受講したうえで、受講後2年6か月以内に臨床指導の単位を10単位提出する
やはり、国家資格の医療者で、なおかつ講習会を受講する必要があるということですね
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美容系の資格と間違わないように注意しよう
今回紹介した資格は、国家資格の医療者で、適切な研修会や講習会を修了した人しか取得できないものですので、これらを持っている人だったら安心して治療してもらえると思います。
ただし、美容系でも似たような資格があるので注意しましょう。
例えば、オリエンタルリンパドレナージュセラピスト、パーソナルリンパケアリスト、リンパケアセラピストなどがあります。
これらは、医療資格がなくてもとれますし、通信教育なんかで取得可能なようです。
医療系の資格と間違わないように注意しておいてください。
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・研修を受講して、さらに経験を積めば、リンパ浮腫療法士やリンパ浮腫保険診療士などの資格を取得できる。
・圧迫療法に特化した資格として、弾性ストッキング・圧迫療法コンダクターの資格もある。
・医療用の資格は、国家資格の医療者で適切な研修を受けているものが取得できるが、美容系の資格と間違わないように注意が必要である。
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。
しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。
記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。
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