がんのむくみ、リンパ浮腫の治療・予防に大事な体重管理:理由と効果について解説!!

  

以前の記事で、リンパ浮腫診療ガイドラインに記載されているセルフケア指導の内容について紹介しました。

がんのむくみ、リンパ浮腫に対するセルフケア指導って効果はあるの?

2023年6月16日

  

日常生活指導にも多くの内容がありましたが、その一つに体重管理が挙げられます。

リンパ浮腫患者が注意すべき日常生活の具体的な内容~カナダのガイドラインより抜粋~

2023年6月16日

  

肥満になるとリンパ浮腫が増悪するから、体重管理をしっかりしましょうと指導されることが多いですね。

今回は、リンパ浮腫診療ガイドラインには、肥満や体重管理についてどのように記載されているのかを紹介します。

  

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なぜ肥満が問題になるのか

 

  

リンパ管には、細胞の間にある組織間液という液体のうち、毛細血管で吸収できなかった分を吸収して運ぶ役割があります。

  

リンパ管が吸収する組織間液は、全体の10%程度といわれています。

リンパ管に吸収されると、組織間液はリンパ液という名称に変わります。

  

しかし、リンパ管は組織間液以外にも脂肪などを吸収する役割もあります。

  

肥満になると、リンパ管が吸収する脂肪の量が増えて、リンパ管の仕事が増えて負担がかかってしまいます。

  

さらには、リンパ管が流れている場所は、皮膚表面や皮下組織が多いのですが、皮下組織に脂肪が多くなると、リンパ管が圧迫されてしまい、その働きが悪くなってしまいます。

 

このような理由から、肥満はリンパ浮腫にとってよくないとされているんですね。

 

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肥満はリンパ浮腫の危険因子になるのか??

  

CQ 7. 肥満は続発性リンパ浮腫発症の危険因子か?

肥満は,乳癌あるいはその治療によって起こる上肢リンパ浮腫の危険因子であると考えられる。下肢に関しても肥満がリンパ浮腫の危険因子である可能性は高いが, エビデンスが少なく,さらなる研究が必要である。

上肢:Probable(ほぼ確実) 下肢:Limited-no conclusion(証拠不十分)

日本リンパ浮腫学会(編). リンパ浮腫診療ガイドライン 2018年度版. 金原出版, 2018

  

2018年度のリンパ浮腫診療ガイドラインでは、上肢のリンパ浮腫にとっては肥満が危険因子であるという結果になっております。

  

リンパ浮腫と肥満に関して調査した論文を17編に絞り込んで結果をまとめています。

  

下肢についても、肥満が関連している可能性は高いとされていますが、下肢に関するリンパ浮腫の研究が少なくて、強いことは言えないようです。

リンパ浮腫の研究って乳がん患者さんを対象としたものが多いですからね。

  

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体重管理はリンパ浮腫に効果があるのか??

  

CQ 7. 体重管理は続発性リンパ浮腫の発症率を下げる,あるいは浮腫を軽減するか?

乳癌関連上肢リンパ浮腫患者に対する体重管理指導は,リンパ浮腫による上肢の体積増加を抑制し,浮腫を軽減する。下肢リンパ浮腫については,体重管理指導とリ ンパ浮腫についての論文が得られなかった。今後の研究が待たれる。

上肢:Probable(ほぼ確実) 下肢:Limited-no conclusion(証拠不十分)

日本リンパ浮腫学会(編). リンパ浮腫診療ガイドライン 2018年度版. 金原出版, 2018

  

2018年度のリンパ浮腫診療ガイドラインでは、上肢のリンパ浮腫にとっては体重管理が効果的であるという結果になっております。

  

リンパ浮腫と体重管理に関して調査した論文を17編に絞り込んで結果をまとめています。

こちらも下肢については、研究が少なくて、効果については言及できないようです。

  

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やっぱり肥満の予防は大事

  

肥満というのは、リンパ浮腫でなくても、あまりよろしくないものですので、やっぱり予防したほうがいいようですね。

  

日々の体重や食事量をチェックして、体重が増え過ぎないように注意しましょう。

  

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まとめ
・リンパ浮腫と肥満、体重管理の関係について、ガイドラインの記載内容を紹介。

・上肢リンパ浮腫に関しては、肥満との関連性があり、体重管理は効果的である。

・下肢リンパ浮腫に関しては、研究が少なく、関連性や効果については言及できない。

・体重管理を行い、肥満を予防したほうがよさそう。

注意
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。

しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。

記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。

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