今までは、上肢のリンパ浮腫と肥満の関係について紹介してきました。
乳がん患者さんを対象にした研究が多いので、どうしても上肢のリンパ浮腫の内容が多くなってしまうんですよね。
しかし、子宮がんや卵巣がん、前立腺がんなどでは下肢のリンパ浮腫も発症しやすくなります。
今回は下肢のリンパ浮腫と肥満の関係に関して調査した論文を紹介します。
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今回紹介する論文の概要
今回紹介する論文は、下肢のリンパ浮腫を発症するリスク因子を調査した内容となっています。
「Yost KJ, Cheville AL, Al-Hilli MM, et al. Lymphedema after surgery for endometrial cancer: prevalence, risk factors, and quality of life. Obstet Gynecol. 2014 Aug;124(2 Pt 1):307-315.」
2014年に発行されている論文になりますね。
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Between January 5, 1999 and December 18, 2008, 1,415 patients underwent surgery for endometrial cancer at Mayo Clinic, Rochester. As part of an ongoing investigation, patient-specific, disease-specific, and treatment-specific risk factors were abstracted from the medical records by a dedicated registered nurse over the same time period following the American College of Surgeons’ National Quality Improvement Program platform (7). These data were later rechecked by members of our research team to confirm accuracy. Adequacy of lymphadenectomy was defined as removal of at least 10 pelvic nodes and at least 5 PA nodes (8, 9). The Mayo Foundation Institutional Review Board approved this investigation to contact patients for additional follow-up between November 2010 and July 2011.
Yost KJ, Cheville AL, Al-Hilli MM, et al. Lymphedema after surgery for endometrial cancer: prevalence, risk factors, and quality of life. Obstet Gynecol. 2014 Aug;124(2 Pt 1):307-315.
1999年1月5日から2008年12月18日までの間に、1,415人の患者がロチェスターのメイヨークリニックで子宮内膜がんの手術を受けました。
そのうちの1048名に、生活の質の質問票と下肢リンパ浮腫スクリーニング質問票を送って調査を行っています。
最終的には、下肢リンパ浮腫の危険因子の調査と、リンパ浮腫が生活の質に影響しているのかを調査しています。
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結果
Yost KJ, Cheville AL, Al-Hilli MM, et al. Lymphedema after surgery for endometrial cancer: prevalence, risk factors, and quality of life. Obstet Gynecol. 2014 Aug;124(2 Pt 1):307-315.
最終的に591名が調査対象となりました。
そのうち、そのうち下肢リンパ浮腫が発症していたのは278名でした。
半数近くに下肢リンパ浮腫が発症していますね!
そして、下肢リンパ浮腫発症のリスク因子として、BMIの上昇、うっ血性心不全、リンパ節郭清の実施、および放射線療法が挙げられています。
ここでも、BMI、つまり、肥満が関係しているようですね。
さらに、リンパ浮腫と生活の質の関係性も調査しています。
こちらでは、リンパ浮腫が増大するにつれて、生活の質の低下が認められています。
肥満度とは関係なく、リンパ浮腫が発症すると生活の質が低下するという結果となっています。
肥満と生活の質は関係ないとは言っても、肥満になるとリンパ浮腫になりやすいわけですから、肥満→リンパ浮腫→生活の質低下という流れにならないように注意しないとですね。
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・下肢リンパ浮腫のリスク因子として、BMIの上昇、うっ血性心不全、リンパ節郭清の実施、および放射線療法が挙げられた。
・リンパ浮腫が増大すると生活の質が低下していたが、肥満度とは関係なかった。
・肥満と生活の質は関係ないとは言っても、肥満→リンパ浮腫→生活の質低下という流れにならないように注意する必要がある。
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。
しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。
記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。
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