前回は、リンパ浮腫改善や予防に運動が効果があるかについて、リンパ浮腫診療ガイドラインに記載されている内容を紹介しました。
特に上肢のリンパ浮腫の改善・予防に関しては、運動の効果を支持する論文がたくさんあるようでしたね。
運動の内容としては、がんサバイバーでもヨガやピラティスを行う教室が増えているようです。
私が働いている地域でも、がんサバイバーに対するヨガ教室を行っている先生がいらっしゃいます。
そこで今回は、乳がんリンパ浮腫患者に対するピラティスの効果を調査した論文を紹介します。
在宅や出張先でも気軽くフィットネスできる。
今回紹介する論文の概要
今回紹介する論文は、乳がんリンパ浮腫患者に対するピラティスの効果を調査した内容となっています。
「Şener HÖ, Malkoç M, Ergin G, et al. Effects of Clinical Pilates Exercises on Patients Developing Lymphedema after Breast Cancer Treatment: A Randomized Clinical Trial. J Breast Health. 2017 Jan 1;13(1):16-22」
2017年に発行されている、比較的新しい論文ですね。
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対象
対象は、乳がん治療後にリンパ浮腫を発症した18歳以上の女性60名です。
除外基準は、
- 転移性乳がん
- 重度の心不全および/または不整脈
- 手足の感染症
- 重度の精神障害
- 腋窩部に原因不明の激しい痛みがある
- 乳がんの治療前の上肢の筋骨格系の問題
- 評価および治療プログラムへの参加を妨げる他の健康問題の存在
となっております。
リンパ浮腫の重症度は、2つの上肢の周径差が
- 3cm未満、リンパ浮腫は軽度
- 3〜5 cmの場合、リンパ浮腫は中等度
- 5cmを超えると、リンパ浮腫は重度
と定義しています。
また上肢の体積も測定しており、2つの上肢の体積の差が、
- 250 mL未満の場合、リンパ浮腫は軽度
- 250〜500 mLの場合、リンパ浮腫は中等度
- 500 mLを超えると、リンパ浮腫は重度
と定義しています。
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介入方法
ピラティス群とコントロール群に分けて検討しています。
ピラティスは5〜8人のグループで週に3回、8週間行われています。
トレーニング中、患者はピラティスのエクササイズの基礎となる腰椎骨盤の安定性(コアの安定化)、脊椎の安定化、適切な姿勢のテクニックを作成する方法を教えられています。
さらに、ピラティスのエクササイズを細かく指導しています。
コントロール群にも腰椎骨盤の安定性(コアの安定化)を教えています。
日常生活動作を行いながらコアの安定化を保護する方法を教えられ、家庭での運動プログラムを維持するように勧められています。
さらに、うっ血除去療法の方法、スキンケア、肩の運動に含まれる手動のリンパドレナージの実施方法を教えられ、毎日各運動を行うように指示されています。
パンフレットも渡され、スキンケアに注意を払い、毎日1時間歩くようにアドバイスされました。
コントロール群もしっかり運動指導はされているので、ピラティスエクササイズの有無が2群の介入の違いになりそうですね。
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結果
Şener HÖ, Malkoç M, Ergin G, et al. Effects of Clinical Pilates Exercises on Patients Developing Lymphedema after Breast Cancer Treatment: A Randomized Clinical Trial. J Breast Health. 2017 Jan 1;13(1):16-22
ピラティス群30名、コントロール群30名で調査を行いました。
年齢は大体53-54歳くらいで、BMIは28-30とやや高めですね。
リンパ浮腫発症までは、治療後5年程度となっています。
2群間ですべての項目に差はなかったようです。
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運動の効果を2群で比較すると、
ピラティス群は、痛み、握力、肩の可動域、社会的外観不安(SAA)、生活の質(QLQ-BR23)、上肢の障害(DASH)の全ての項目で有意な改善がありました。
それに対して、コントロール群では握力と肩の可動域の一部で改善がありませんでした。
2つのグループの8週間後の結果を比較すると、ピラティス群の方が握力と社会的外観不安(SAA)が高値でした。
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リンパ浮腫の重症度の関しては、2つのグループを比較すると、
ピラティス群は腋窩領域を除くすべての領域で、コントロール群よりも有意な改善が認められています。
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結論
今回の研究結果は、ピラティスエクササイズがリンパ浮腫の量、機能状態、握力、およびリンパ浮腫患者の生活の質にプラスの影響を及ぼしたことを示しています。
治療後にリンパ浮腫を発症した乳がん患者に対するピラティスエクササイズは、安全かつ効果的であるようです。
コントロール群も毎日運動を行っているので、その効果はかなりあったようですが、ピラティスを加えるとさらに良い結果があるという内容でしたね。
リンパ浮腫になるとどんな運動がいいか悩む場合もありますが、ピラティスも選択肢の一つとして考えてよさそうですね。
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・ピラティス群は、痛み、握力、肩の可動域、社会的外観不安(SAA)、生活の質(QLQ-BR23)、上肢の障害(DASH)の全ての項目で有意な改善があった。
・2つのグループの8週間後の結果を比較すると、ピラティス群の方が握力と社会的外観不安(SAA)が高値だった。
・ピラティス群は腋窩領域を除くすべての領域で、コントロール群よりも有意な改善があった。
・リンパ浮腫になるとどんな運動がいいか悩む場合もあるが、ピラティスも選択肢の一つとして考えていいかもしれない。
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。
しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。
記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。
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