高齢がん患者の健康に対する自己評価とフレイルの関係性

今回は、高齢がん患者さんの健康に対する自己評価の低さとフレイルの関係性を調査した論文を紹介します。

 

前回は、高齢がん患者さんの機能低下に対する戦略について紹介しました。

高齢がん患者の機能低下を予防するにチェックすべきこと

2022年4月7日

治療で体がだるかったり、体力が落ちてくると、どんどん自分が健康でないように感じてしまいますよね。

一方で、自己評価が高い人は結構弱らずに頑張れている印象もあります。。

そこで今回は高齢がん患者さんの健康に対する自己評価の低さとフレイルの関係性を調査した論文を紹介します。。

まとめ
・高齢がん患者さんの健康に対する自己評価の低さとフレイルの関係性を調査した論文を紹介。

・大半のがん患者さんが、健康の自己評価は「良い」か「普通」であった。

・健康に対する自己評価が低いと、フレイルや老年障害、生存率低下のリスクが上昇する可能性がある。

・自己評価を高めるように頑張りましょう!

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今回紹介する研究の概要

今回紹介する論文は、高齢がん患者さんの健康に対する自己評価の低さとフレイルの関係性を調査した内容になっています。

「Giri S, Mir N, Al-Obaidi M, et al. Use of Single-Item Self-Rated Health Measure to Identify Frailty and Geriatric Assessment-Identified Impairments Among Older Adults with Cancer. Oncologist. 2022 Feb 3;27(1):e45-e52.」、2022年に発行された新しい論文です。

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方法

We used participants from the University of Alabama at Birmingham (UAB) Cancer and Aging Resilience Evaluation (CARE) study—a prospective registry enrolling older adults (≥60 years) undergoing cancer treatment at UAB Hospitals and Clinics.18,19 We chose 60 years of age as criteria for enrollment in this registry given recognition of the uncertainty of the “right” age cutoff and to allow for meaningful age-related sub-analyses such as the current study.20 For the current report, we included patients completing GA at the time of initial consultation to the UAB medical oncology clinic between 9/2017 and 10/2019. The Institutional Review Board of UAB (IRB-300000092) approved this study.

Giri S, Mir N, Al-Obaidi M, et al. Use of Single-Item Self-Rated Health Measure to Identify Frailty and Geriatric Assessment-Identified Impairments Among Older Adults with Cancer. Oncologist. 2022 Feb 3;27(1):e45-e52.

対象はアラバマ大学バーミンガム校病院とクリニックでがん治療を受けている60歳以上の高齢者603名です。

 

Patient-ReportedOutcomesMeasurement Information System(PROMIS)グローバルヘルススケールを用いて、健康に対する自己評価を測定しています。

「一般的に、あなたはあなたの健康はそうだと思いますか?」という質問に対して、「優れている」、「非常に良い」、「良い」、「普通」、または「悪い」で回答します。

割とシンプルな評価ですね。

 

その、健康に対する自己評価とフレイル、老年医学的評価の結果の関連性を調査しています。

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結果

 


Giri S, Mir N, Al-Obaidi M, et al. Use of Single-Item Self-Rated Health Measure to Identify Frailty and Geriatric Assessment-Identified Impairments Among Older Adults with Cancer. Oncologist. 2022 Feb 3;27(1):e45-e52.

こちらの表は対象者の特徴を示しています。

年齢の中央値は69歳(IQR 64-274歳)で、61%が女性で75%が白人です。

がんの種類はには、大腸がん(24%)、膵臓がん(17%)、および肝胆道がん(13%)などです。

参加者のほぼ半数がIV期の進行がん患者さんとなっています。

 

ほとんどの患者は、健康の自己評価に、良い(33.7%; n = 203)または普通(31.5%; n = 190)として回答えています。

自己評価がが良好な患者と比較した場合、自己評価が不良であると報告した患者は、女性である可能性が高く(66%vs 57%; P = .02)、高校教育未満でした(19%vs 13%、P <.001)、膵臓がんの診断(21%vs 14%; P = .04)、およびステージIVの疾患(56%vs 45%; P = .01)が多くなっています。

  


Giri S, Mir N, Al-Obaidi M, et al. Use of Single-Item Self-Rated Health Measure to Identify Frailty and Geriatric Assessment-Identified Impairments Among Older Adults with Cancer. Oncologist. 2022 Feb 3;27(1):e45-e52.

こちらの図は、自己評価とフレイル、老年医学的評価の結果との関係を示しています。

フレイルの有病率は、自己評価が良好であると報告した患者と比較した場合、自己評価が不良な患者で有意に高くなっています(68%対10%; P <.001)。

老年医学的評価の結果も同様の関係性でした。

うつ、不安、合併症、多剤併用、栄養失調、転倒が増えるようです。

 

Giri S, Mir N, Al-Obaidi M, et al. Use of Single-Item Self-Rated Health Measure to Identify Frailty and Geriatric Assessment-Identified Impairments Among Older Adults with Cancer. Oncologist. 2022 Feb 3;27(1):e45-e52.

こちらの図は、自己評価と生存率との関係を示しています。

自己評価が良好な患者と比較した場合、自己評価が不良であると報告した患者の生存率は有意に悪くなっています。

自己評価が生存率とも関係しているのは驚きですね。

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結論

In conclusion, a single-item SRH question is a potential screening tool for capturing frailty and GA impairments among older adults with cancer. Future studies should validate our findings in geographically diverse cohorts across different cancer types and compare it against established screening tools.

Giri S, Mir N, Al-Obaidi M, et al. Use of Single-Item Self-Rated Health Measure to Identify Frailty and Geriatric Assessment-Identified Impairments Among Older Adults with Cancer. Oncologist. 2022 Feb 3;27(1):e45-e52.

結論として、健康に対する自己評価の質問は、がんの高齢者のフレイルおよび老年障害を把握するためのスクリーニングツールとして有用な可能性があります。

たった一つの質問で、フレイルや生存率が予測できるのはすごいですね。

「病は気から」という言葉もあるように、自己評価を高く保つことは非常に大事なことだと思います。

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まとめ
・高齢のがん患者における機能低下予防と管理の戦略について解説している論文を紹介。

・治療前後に日常生活や運動機能などの評価を行い、フレイルに陥っていないかを評価する。

・喫煙や肥満などがある患者さんは特に注意。

・やっぱり運動と栄養が大切。

注意
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。

しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。

記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。

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