乳がん術後の運動はリンパ浮腫予防や運動機能改善に対して効果があるので推奨されることを以前紹介しました。
最近ではがんの治療前のリハビリ、「prehabilitation」の重要性が浸透しつつあります。
がんのリハビリテーションガイドラインでは、肺がんや消化器がんなどには術前リハビリテーションが推奨されていますが、乳がんに対しての術前リハビリテーションの推奨はありません。
乳がんに関する最新研究によると、女性にとって最も多い悪性腫瘍であり、毎年210万件の新規診断があります。オーストラリアでは、5年生存率が92%に達し、治療後の長期的な影響やサポートの必要性が増加しています。
特に乳がんサバイバーは、不安やうつ、再発の恐れ、性的機能障害、関係性の問題に直面するリスクが高まっています。
治療前の「プレハビリテーション」は、手術前に患者の身体的・精神的状態を最適化するプログラムであり、個別のニーズに応じた支援を提供し、治療の進行をスムーズにします。
それでは、乳がんサバイバーに対してプレハビリテーションの効果が期待できるのかを紹介していきます。
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今回紹介する論文の概要
今回紹介する論文は、乳がん患者に対する多面的なプレハビリテーションの効果を評価した内容となっています。
「Toohey K, Hunter M, McKinnon K, Casey T, Turner M, Taylor S, Paterson C. A systematic review of multimodal prehabilitation in breast cancer. Breast Cancer Res Treat. 2023 Jan;197(1):1-37. 」。
2023年の論文になります。
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対象と方法
参加者の選定
- 18歳以上の乳がん患者さんが対象です。
- 手術前にプレハビリテーションプログラムに参加した方が対象です。
データベース検索
- 研究者たちは、CINAHL、Medline、Cochrane Library、Scopus、Web of Scienceなどのデータベースを使って、関連する研究を探しました。
研究の選定基準
- ランダム化比較試験、コホート研究、ケースコントロール研究などが含まれました。
- 英語で書かれた研究のみが対象です。
データの抽出と管理
- 見つけた研究のデータを整理し、重複を取り除きました。
- 5人の著者がタイトルと要約を確認し、適格な研究を選びました。
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結果
この研究では、3184件の記録から14件の研究を選び出し、それらを詳しく分析しました。
選ばれた研究には、運動プログラムや補完代替療法、禁煙支援などが含まれていました。
- 運動プログラム: 多くの研究で運動が取り入れられており、特に上肢の運動が注目されました。運動は身体機能や生活の質、心理的な変数の改善に効果があることが示されました。
- 補完代替療法: いくつかの研究では、運動以外の療法(例:アロマセラピー、マッサージなど)が取り入れられ、これも良い結果をもたらしました。
- 禁煙支援: 禁煙支援を行った研究では、禁煙が手術後の合併症を減らす効果があることが示されました。
- マルチモーダルプレハビリテーション: 一部の研究では、複数の療法を組み合わせたプレハビリテーションが行われ、これが最も効果的であることが示唆されました。
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考察
プレハビリテーションの効果
- 身体機能の向上:運動プログラムを取り入れることで、患者さんの体力や筋力が向上し、手術後の回復が早くなります。
- 生活の質の改善:運動だけでなく、心理的なサポートも含まれているため、患者さんの不安やストレスが軽減され、全体的な生活の質が向上します。
- 心理的な安定:プレハビリテーションを受けた患者さんは、手術に対する不安が減り、前向きな気持ちで治療に臨むことができます。
マルチモーダルアプローチの重要性
この研究では、運動だけでなく、栄養指導や心理的サポートも含まれていることが重要だとされています。これにより、患者さんは身体的にも心理的にも準備が整い、手術後の回復がスムーズになります。
今後の課題
プレハビリテーションの効果は明らかですが、適切な介入期間やフォローアップが必要です。また、異なる患者グループに対する効果もさらに研究する必要があります。
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感想
乳がんサバイバーに対しても、術前の運動の効果が期待できるという結果は非常に有用であり、治療方針が決まった時点から運動指導を行う体制作りが必要だと思います。
一方で、運動だけでなく、禁煙や栄養指導を含めた介入が効果的だったことは興味深いですね。
例えば、治療前から疼痛や骨粗鬆症、リンパ浮腫に関する教育や日常生活指導を行うことも有用かもしれないですので、術前のリハビリを行う場合の項目を検討していく必要がありますね。
看護師ががん患者にプレハビリテーションを助言する障壁と促進因子に関してはコチラにを参考にしてみてください。
・プレハビリテーションは、身体機能、生活の質、心理社会的変数の改善に寄与しました。特に、運動プログラムや補完代替療法が効果的でした。
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。
しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。
記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。
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