乳がん患者の治療を決定するためにはフレイル評価が有用!

今回は乳がん患者さんのフレイル評価は治療内容の検討に有用であるかを調査した研究を紹介します。

 

介護に陥りやすい状態をフレイルと呼び、特に高齢者においてフレイル予防・改善というのが重要視されています。

最近は、がん患者さんのフレイルが予後と関係していることを紹介しています。

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2022年4月3日

手術後の大腸がん患者の予後はフレイルと関連するのか?

2022年4月2日

予後と関連するということは、フレイルの有無によって治療内容を変更することも検討するのでしょうか?

そこで今回は乳がん患者さんのフレイル評価は治療内容の検討に有用であるのかを調査した研究を紹介します。

まとめ
・乳がん患者さんのフレイル評価は治療内容の検討に有用であるのかを調査した論文を紹介。

・日常生活動作および過去6ヶ月間の転倒数、併存疾患、服薬数、BMI、過去6か月間の体重減少、認知機能、うつ、社会的機能を評価して、フレイルの有無を判定している。

・高齢の乳がん患者では、フレイルの評価が、化学療法や放射線療法の治療の推奨に影響を与える可能性があることを示唆している。

・日常生活で介助が必要、ベッド上で寝ている時間が長い、薬剤の数が3つ以上である、BMIが高いことなどは、治療の強度を落とす指標になるようなので、自分の状態が該当するようであれば主治医と治療内容を検討してもいいかもしれない。

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今回紹介する研究の概要

今回紹介する論文は、そこで今回は乳がん患者さんのフレイル評価は治療内容の検討に有用であるのかを調査した内容になっています。

「Munir A, Huws A, Khan S, et al. Geriatric assessment tool application in treatment recommendations for older women with breast cancer. Breast. 2022 Mar 26;63:101-107.」、2022年に発行された新しい論文です。

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対象

Eligible patients were women aged 65 years or older with a newly diagnosed non-metastatic breast cancer, who were willing to provide written informed consent to take part in the study.

Patients were excluded if they had a) prior history of primary breast cancer, b) simultaneously diagnosed or being treated for a second primary tumour at another site, c) metastatic breast cancer on presentation or e) dementia resulting in inability to provide consent for the study.

Munir A, Huws A, Khan S, et al. Geriatric assessment tool application in treatment recommendations for older women with breast cancer. Breast. 2022 Mar 26;63:101-107.

対象は、新たに非転移性乳がんと診断された65歳以上の女性101名です。

原発性乳がんの既往歴がある、別の部位で2番目の原発腫瘍の診断または治療を受けている、転移性乳がんである、認知症で同意が得られない場合は除外されました。

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調査内容

• Functional status, assessed by Instrumental Activities of Daily Living (IADL), Activities of Daily Living (ADL) [18,23], Karnofsky Performance Rating scale (KPS) [8,18], and number of falls in last 6 months [18].

• Physical health assessed by presence of comorbidity, using the Older Americans Resources and Services Physical Health Scale (a self-reporting comorbidity scale containing a list of comorbid conditions and an assessment of their impact on daily activities, rated on a 3-point scale of “not at all” to “a great deal”), number of current medications including over the counter medications (poly pharmacy defined as 3 or more medications, body mass index (BMI) (a BMI of 30 or more was considered abnormal) and percent unintentional weight loss in the last 6 months [18,23,24].

• Cognition assessed by the Blessed Orientation-Memory-Concentration (BOMC) test [25].

• Psychologic status assessed by the Mental Health Inventory (MHI)-17 and a diagnosis of depression [18,26].

• Social functioning assessed by Social Activity Limitations subscale from the Medical Outcomes Study Social Activity Limitations Measure (MOS) and Social Support: Medical Outcomes Study (MOS) Social Support Survey (MOSS-SS) [28] (Appendix 1).

Munir A, Huws A, Khan S, et al. Geriatric assessment tool application in treatment recommendations for older women with breast cancer. Breast. 2022 Mar 26;63:101-107.

こちらがフレイルを評価するための項目になります。

日常生活動作および過去6ヶ月間の転倒数、併存疾患、服薬数、BMI、過去6か月間の体重減少、認知機能、うつ、社会的機能を評価して、フレイルの有無を判定しています。

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結果

Munir A, Huws A, Khan S, et al. Geriatric assessment tool application in treatment recommendations for older women with breast cancer. Breast. 2022 Mar 26;63:101-107.

こちらはベースラインの患者と疾患の特徴を示しています。

患者の大多数は70歳以上で、年齢の中央値は73歳(65〜89歳の範囲)でした。

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Munir A, Huws A, Khan S, et al. Geriatric assessment tool application in treatment recommendations for older women with breast cancer. Breast. 2022 Mar 26;63:101-107.

こちらはフレイルの評価の結果です。

患者の3分の1は日常業務で支援を必要とし、18人の患者はセルフケア中に重要な支援を必要としていました。

平均TUGスコアは15.28秒で、85人の患者(84.2%)が運動障害を示しました(10秒以上のTUGスコアで定義)[ 23]。

9人の患者(8.9%)は、過去6か月間に1回以上の転倒を経験しました。

患者1人あたりの平均服薬回数は4.71(0〜17)で、54人(53.5%)が3つ以上の薬を服用していました(多剤併用)。

うつ病は21人の患者(20.8%)によって報告されました。

 

101人の患者のうち、最初の治がん療計画の提案された変更は、2回目のMDT後の21.8%(22/101)で行われました。

初期のがん治療計画の強度を高める提案はありませんでした。

4人の患者で化学療法を省略し、15人の患者で放射線療法を省略し、2人の患者で化学療法と放射線療法の両方を省略するという決定がなされました。

 

ADLの支援の必要性、低い身体能力(KPS)、多剤併用(3つ以上の薬物療法)、社会的支援の欠如および高いBMI (30以上)は単変量解析で治療変更と有意に関連しており、多変量解析では、多剤併用のみが初期の癌治療計画の変更と有意に関連していました。

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結論

In conclusion, our results suggest that in older breast cancer patients, self-administered frailty assessment may influence treatment recommendations in a subset of patients who are candidates for chemotherapy and/or radiotherapy. Taken together, the results of this study emphasise the importance and potential benefit of a complete evaluation of all older patients and its influence on treatment choices. This study also supports the recommendations of cancer services coming of age report (43). This could be done by increasing geriatric assessment skills within oncology training and encouraging a formal liaison between geriatric and oncology services.

Munir A, Huws A, Khan S, et al. Geriatric assessment tool application in treatment recommendations for older women with breast cancer. Breast. 2022 Mar 26;63:101-107.

結論として、高齢の乳がん患者では、フレイルの評価が、化学療法や放射線療法の治療の推奨に影響を与える可能性があることを示唆しています。

これは、高齢の乳がん患者さんに対して、フレイルの評価が推奨されると記載されています。

日常生活で介助が必要、ベッド上で寝ている時間が長い、薬剤の数が3つ以上である、BMIが高いことなどは、治療の強度を落とす指標になるようなので、自分の状態が該当するようであれば主治医と治療内容を検討してもいいかもですね。

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まとめ
・乳がん患者さんのフレイル評価は治療内容の検討に有用であるのかを調査した論文を紹介。

・日常生活動作および過去6ヶ月間の転倒数、併存疾患、服薬数、BMI、過去6か月間の体重減少、認知機能、うつ、社会的機能を評価して、フレイルの有無を判定している。

・高齢の乳がん患者では、フレイルの評価が、化学療法や放射線療法の治療の推奨に影響を与える可能性があることを示唆している。

・日常生活で介助が必要、ベッド上で寝ている時間が長い、薬剤の数が3つ以上である、BMIが高いことなどは、治療の強度を落とす指標になるようなので、自分の状態が該当するようであれば主治医と治療内容を検討してもいいかもしれない。

注意
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。

しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。

記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。

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