がんの症状に対してアニマルセラピーは効果があるのか？【ガイドライン解説】

今回は、がんの補完代替療法クリニカル・エビデンス（2016年版）より、がんの症状に対するアニマルセラピーの効果について記載している内容を紹介します。

前回はがんの症状に対するホメオパシーの効果について記載している内容を紹介しました。

がんの症状に対してホメオパシーは効果があるのか？【ガイドライン解説】

2022年8月5日

ガイドラインとしては、効果があるという根拠が乏しいために、治療をするのは慎重に検討が必要という結果でしたね。

私もあまり詳しくはないですが、がんの治療にも様々な種類のものがあります。

他の治療の一つとして、アニマルセラピーが挙げられます。

動物と触れ合うということは精神的にも好影響がありそうな印象はありますね。

ホスピスなどではペットの入室は許可されている場合も多いです。

そこで、今回は、がんの症状に対してアニマルセラピーの効果について記載している内容を紹介します。

記載内容は、がんの補完代替療法クリニカル・エビデンス 2016年版. 特定非営利活動法人 日本緩和医療学会 緩和医療ガイドライン委員会 (編). 金原出版、から引用させていただいております。

アニマルセラピーの概要

アニマルセラピー（animal thrapy），動物介在療法（animal assisted therapy）は，動物と人との交流がもたらす健康，自立，生活の質の改善を目的に，補助療法・非薬物療法あるいはケアの一環として臨床で行われている活動です。

アニマルセラピーの対象者は，主にうつ病や統合失調症，心的外傷後ストレス障害などの精神疾患の患者，情緒障害や学習障害を伴う子どもが多いです。

アニマルセラピーは、その人に内在するストレスを軽減させたり，あるいは当人に自信をもたせたりといったことを通じて，情緒的安定，自主性や意欲の向上，社会性の改善，患者の自立と適応を高めることを目的としています。

禁忌事項は

①開放創がある患者，皮膚疾患をもつ患者

②動物に対するアレルギーを有する患者

となっています。

身体症状に対する効果

がんの補完代替療法クリニカル・エビデンス 2016年版. 特定非営利活動法人 日本緩和医療学会 緩和医療ガイドライン委員会 (編). 金原出版

システマティックレビューはありませんでした。

1編のRCTのみから検討しています。

身体症状

痛み、消化器症状、呼吸器症状、泌尿器症状、倦怠感、睡眠障害に対しては、2016年度のガイドラインの時点では根拠を示すシステマティックレビューの報告はないため、その効果はわからないようです。

論文数が少ないため、アニマルセラピーが身体症状を改善させるといった根拠は乏しいようですね。

精神症状に対する効果

不安・抑うつに対しては、2016年度のガイドラインの時点では根拠を示すシステマティックレビューの報告はないため、その効果はわからないようです。

①無作為化比較試験では，気分，主観的健康感，一体感について調査されていたが，対照群と比較して統計学的有意差を認めませんでした。

論文数が少ないため、アニマルセラピーが精神症状を改善させるといった根拠は乏しいようですね。

QOLに対する効果

QOLに対しては、2016年度のガイドラインの時点では根拠を示すシステマティックレビューの報告はないため、その効果はわからないようです。

論文数が少ないため、アニマルセラピーがQOLを改善させるといった根拠は乏しいようですね。

アニマルセラピーの有害事象

有害事象に関しては、2016年度のガイドラインの時点では根拠を示すシステマティックレビューの報告はないため、その効果はわからないようです。

治療等に伴う有害事象に対する効果

有害事象に対する効果としては、2016年度のガイドラインの時点では根拠を示すシステマティックレビューの報告はないため、その効果はわからないようです。

論文数が少ないため、アニマルセラピーが有害事象を軽減させるといった根拠は乏しいようですね。

アニマルセラピーの予後に対する効果

予後に対して、2016年度のガイドラインの時点では根拠を示すシステマティックレビューの報告はないため、その効果はわからないようです。

論文数が少ないため、アニマルセラピーが予後を改善させるといった根拠は乏しいようですね。

ガイドラインに記載はされていますが、報告されている論文がRCT1編のみなので、その効果に関してはまだまだ研究段階のようですね。