慢性疼痛患者が陥る悪循環から脱却する方法は?

前回の記事では慢性疼痛患者さんに生じやすい落ち込みや破局的思考について紹介しました。

慢性疼痛患者さんの、落ち込みや認識のチェック方法

2023年5月31日

気分が落ち込んだり、憂鬱な気分であったり、普段楽しめていることが最近は楽しめてないなと感じるときは、情動的側面が関係している可能性があり、注意が必要でしたね。

 
また、破局的思考という、「痛みに対して悲観的で過剰にとらわれてしまう考え方」がある場合には、認知的側面が関係している可能性があり、これも注意が必要でした。

 

それでは、そのような思考から脱却し、慢性疼痛を改善させるためにはどのようにしたらいいのでしょうか?

 

今回は、慢性疼痛患者さんが陥りやすい悪循環と、その脱却方法について紹介します。

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痛みの恐怖回避モデル

Leeuw Met al. J Behav Med. 2007

こちらの図が慢性疼痛患者さんが陥りやすい、恐怖回避モデルという図になります。

 

全く何もなく突然痛みが出現するという人はほとんどいませんので、まずは、組織や神経の損傷によって痛みが生じます。いわゆる「侵害受容性疼痛」や「神経障害性疼痛」ですね。

 

そして、矢印が右方向へ進んでいけば、不安や恐怖をそれほど感じずに、楽観的に考えて、最終的には疼痛が改善するという流れになります。

 

しかし、矢印が左方向へ進んでしまうと、破局的思考といった認知的要因や、不安・抑うつといった情動的要因、さらには不眠などの身体的な症状まで出現してしまい、それらが組み合わされることで、痛みに過敏になったり、痛みに対して悲観的な解釈をしたりするようになってしまいます。

 

そうなってしまうと、次は、できるだけ痛みが出現しないようにと考えてしまいます。

するとどのような生活になってしまうかといいますと、痛みを警戒・回避しすぎて、過剰な安静や活動制限を行うことが多くなってしまいます。

それに伴って、運動機能低下や抑うつなどが生じてしまい、さらに痛みを感じやすくなってしまって、同じことを繰り返してしまうという悪循環が生じてしまうわけです。

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腰痛の悪循環

これは、いわゆる通常の痛みの感覚になります。

どの部分が痛むのか?

公益社団法人 日本理学療法士協会 理学療法ハンドブック シリーズ③ 腰痛

痛みの悪循環の図としてはこちらの方がわかりやすいかもしれません。

一番上の腰痛が出現した後に左方向へ進んでいくと、まずは「安静が第一」「痛いのは腰が悪いせいだ」といった誤った認識を持ってしまい、痛みに対する不安が強くなり過剰な安静となってしまい、身体機能低下や抑うつが生じて、さらに疼痛が増強するといった流れですね。

このような悪循環が持続することによって、慢性疼痛が改善しにくくなっていきます。

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痛みを強くする要因、弱くする要因を知る

公益社団法人 日本理学療法士協会 理学療法ハンドブック シリーズ③ 腰痛

それではこの悪循環から抜け出すためにはどうしたらいいかですよね。

最近では、ヘルスリテラシーという言葉が注目されていますが、まずは、このような痛みによる悪循環があるということをしっかり理解しておいてください。

そして、上記の図のように、痛みを減少させる要因や増大させる要因があることも知っておきましょう。

ただし、痛みが強くなる要因、弱くなる要因というのは人によって様々ですので、自分の生活を振り返って、「この時は痛みが強かった、この時は弱かった」というように、その要因が何かを考える習慣をつけましょう。

特に痛みが弱くなる要因がわかれば、痛みへの対処方法が身につくことになりますので、痛みが怖くなくなってくる好循環になりますよ!

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やっぱり運動が大事!

慢性疼痛診療ガイドライン.2021

そして、悪循環から脱却するきっかけとしては、やっぱり一番は運動になりますね。

結局痛みが心配で花序儒な安静になることが問題になってますので、痛みとうまく付き合いながら運動や活動は増やしていく必要があります。

まずは、多少痛くても動いてみようという風に考えられることが大事ですね。

 

上の図はガイドラインで推奨されている内容を示しています。

今回のように患者教育を行って、しっかり知識を身に着けてもらうことも弱く推奨されています。

しかし、それ以上に運動療法は慢性疼痛の治療として強く推奨されていますね!

 

なかなか痛みが持続していてよくならないと安静にしておくよりかは、3ヶ月以上続く長期の痛みであれば少し運動してみようかなと考えるようにしていきましょう!

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今回は、慢性疼痛患者さんが陥りやすい悪循環とその脱却方法について紹介しました。

痛みが軽くなる方法は本当に人それぞれですので、まずはどんなことをしたら少しでも軽くなるかなと考えて、その手段の一つとして運動を行ってみるのがいいようですね。

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注意
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。

しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。

記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。

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