がんの痛みに対して安全にオピオイドを使用するためには

今回の記事では、がんの痛みに対して安全にオピオイドを使用するために、どうすべきかについて解説します。

前回、がんの痛みに使用するオピオイドの疫学や問題点について解説しました。

がんの痛みに使用するオピオイドの疫学や問題点について解説

2022年7月16日

オピオイドは非常に有効な手段の一つではありますが、しっかりとその適応を検討して使用する必要がありましたね。

 

そのような使用に注意が必要なオピオイドを安全に使用できるようにするためには、どのようにしたらいいのでしょうか?

 

そこで、今回は、がんの痛みに対して安全にオピオイドを使用するために、どうすべきかについて解説します。

記載内容は、Kalso Eija, 井関 雅子. Chronic pain and opioids —how to control proper prescribing ?. PAIN RESEARCH/37 (2022) 、から引用させていただいております。

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まとめ
・がんの痛みに対して安全にオピオイドを使用するために、どうすべきかについて解説。

・疼痛管理は多職種で介入して、オピオイドの多用を防ぐことが大事である。

・医療従事者や一般市民に対して、オピオイドに対する正しい教育が必要である。

・フィンランドでは冊子による医療者への教育、オピオイド処方のモニタリングを行うことにより、オピオイドの過用を防ぐことができている。

・日本もフィンランドのようなシステムが構築される日が来るのが望まれる。

オピオイドを安全に使用するための社会

疼痛治療やオピオイド鎮痛薬に関して社会が適切で共通の価値観を持つことが大事になってきます。

オピオイドの使用に関して、患者さんは不安が強いでしょうから、厚生当局に対する国民の信頼,厚生当局による国民の安全を保障することが重要となります。

そして、オピオイド鎮痛薬を安全に使用するためには,適切な疼痛管理システムが必要となる。

その社会や疼痛管理システムの具体的な内容を説明していきます。

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オピオイドを安全に使用するための疼痛管理

疼痛というのは、感情や情動が関係しているため、単純な疼痛に対する治療だけでなく、生物-心理-社会的モデルに基づいて学際的,多職種による疼痛管理が望まれます。

医師が鎮痛薬で疼痛コントロールしながら、臨床心理士や看護師が社会的介入を行ったり、理学療法士が運動療法を行ったりといった、多職種での介入が効果的と言われています。

 

学際的,多職種の疼痛管理は存在しない,あるいは多大な費用を要すると言われることもありますが,長期的に考えると、薬剤を多用することも少なくなり安価な手段である可能性が高いと思います。

アメリカのような膨大な数のオピオイド鎮痛薬依存患者の治療に必要な費用は,学際的,多職種の疼痛管理に必要な費用をはるかに上回っています。

 

実際に、多職種で介入することによってオピオイドが減量したり、最終的に使用しなくてよくなる患者さんはよくいらっしゃいます。

多職種で介入して、オピオイドの多用を防ぐことが大事ですね。

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オピオイドを安全に使用するための教育

オピオイドを安全に使用するためには、鎮痛薬の適切な使用法と薬理学に関する教育が不可欠です。

 

教育の対象としては、医学部や看護学部などの学生や医療従事者がまず挙げられます。

鎮痛薬にかかわりが深い医師や看護師はもちろんのこと、理学療法士などの疼痛がある患者さんに関わる医療従事者全般に対して、鎮痛薬に関する教育が必要であると思われます。

 

また、医療従事者だけでなく一般市民に対する教育も必要だと考えられます。

一般市民に関しては、オピオイド=覚醒剤のようなイメージを持っている方もいるかもしれませんので、オピオイドというのは適切に使用すれば安全に使用可能であるということを理解してもらわないといけません。

そのためには、発言力が大きい政治家やコメンテーターの方々などへの教育も必要になるかと思います。

患者さんって、テレビの内容をすごく信じられる方も多いですので、ちゃんと正しい内容をテレビで拡散してもらえたら助かりますね。

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モニタリングとフィードバック

医療従事者や一般市民への教育システムが構築されると、次にオピオイドの使用をモニタリングしてフィードバックするシステムが必要になってきます。

 

処方状況,適応,投与量などに関する情報を収集し,不注意にオピオイド鎮痛薬を処方する医師に対しては個別に連絡して、注意喚起できるようなシステムができるのが理想ですね。

 

どのように情報を管理して、誰が統括して指示するのかを具体的に考えていくと、現実的にはかなり難しそうですが、最終的にこのようなシステムができればいいですね。

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フィンランドでの取り組み

オピオイドを安全に使用できるシステムづくりとしては、フィンランドで取り組まれた内容があります。

フィンランドでは、世界でのオピオイド鎮痛薬処方量が拡大し始 めた 1990 年代終わりの段階で,オピオイド鎮痛薬処方を扱った 3 種類の小冊子を全医師に配布しています。

さらに、2003 年と 2009 年には改訂版を配布しています。

そして、処方に関しては,2013 年~2015 年には 電子処方が導入され,オピオイド鎮痛薬の処方状況を追跡することも可能なしいステムを構築しています。

教育や注意喚起に関しては、オピオイド鎮 痛薬に関する論考を作成し医学誌に掲載するとともに,非がん性疼痛にオピオイド鎮痛薬を処方した全ての医師にレターを送ることまで行っています。

その 結果,一時的に拡大していたオピオイド鎮痛薬の使用が,その後使用量は減少してきており, フィンランドでは非がん性疼痛にオピオイド鎮痛薬が大量に使用されなくなったとのことです。

 

かなり困難な夢物語のような印象でしたが、実際にフィンランドで行われている取り組みであれば、それを真似して日本でも安全にオピオイドが使用できるシステムができる日も来るかもしれないですね。

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まとめ
・がんの痛みに対して安全にオピオイドを使用するために、どうすべきかについて解説。

・疼痛管理は多職種で介入して、オピオイドの多用を防ぐことが大事である。

・医療従事者や一般市民に対して、オピオイドに対する正しい教育が必要である。

・フィンランドでは冊子による医療者への教育、オピオイド処方のモニタリングを行うことにより、オピオイドの過用を防ぐことができている。

・日本もフィンランドのようなシステムが構築される日が来るのが望まれる。

注意
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。

しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。

記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。

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