運動は神経細胞の変化を防いでしびれを予防する:抗がん剤後のしびれ(CIPN)を予防する方法

 

最近は、CIPNに対する運動の効果について紹介しています。

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有酸素運動や抵抗運動を組み合わせや、感覚運動トレーニングや全身振動が効果的とのことでしたね。

 

それでは、CIPNを予防することは可能なのでしょうか?

 

CIPNをきたしやすい抗がん剤はわかっているので、そのような患者さんに予防法があったらいいですよね。

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2023年6月15日

 

現在、抗がん剤による末梢神経障害を予防する効果的な方法はありません。

しかし、最近の研究で、運動が末梢神経の再生を促進することが示されています。

 

そこで今回は、運動が抗がん剤パクリタキセルによる末梢神経障害の発症を防ぐかどうかを調査した論文を紹介します。

    

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今回紹介する資料の概要

 

今回紹介する論文は、運動が抗がん剤パクリタキセルによる末梢神経障害の発症を防ぐかどうかを調査した内容になります。

「Park JS, Kim S, Hoke A. An exercise regimen prevents development paclitaxel induced peripheral neuropathy in a mouse model. J Peripher Nerv Syst. 2015 Mar;20(1):7-14.」. 2015年の論文になります。

 

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方法

この論文では、運動が抗がん剤パクリタキセルによる末梢神経障害の発症を防ぐかどうかを調べるための研究が行われました。

対象は、6週齢のAJマウス32匹で、運動群と非運動群に分けられました。

運動群のマウスは、薬物投与の1週間前から、4週間にわたって毎日50分間のランニング運動を行いました。

一方、非運動群のマウスは、ケージ内で静かに過ごしました。

その後、運動群と非運動群の両方に、3回にわたってパクリタキセルが投与され、末梢神経障害の発症が調べられました。

研究では、熱刺激に対する反応や神経伝導速度などが測定され、統計解析が行われました。

また、組織学的な評価も行われ、末梢神経障害の程度が評価されました。

 

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結果

 

Park JS, Kim S, Hoke A. An exercise regimen prevents development paclitaxel induced peripheral neuropathy in a mouse model. J Peripher Nerv Syst. 2015 Mar;20(1):7-14.

   

Figure 1は、運動がパクリタキセルによる末梢神経障害の発症に及ぼす影響を示しています。

図の左側のグラフ(A)は、熱刺激に対する反応時間を示しています。

パクリタキセルを投与されたマウスは、反応時間が遅くなりますが、運動群のマウスは、非運動群のマウスに比べて反応時間が短くなっています。

これは、運動がパクリタキセルによる末梢神経障害の発症を防いでいることを示しています。

図の中央のグラフ(B)は、神経伝導速度を示しています。

パクリタキセルを投与されたマウスは、神経伝導速度が低下しますが、運動群のマウスは、非運動群のマウスに比べて神経伝導速度が高くなっています。

これも、運動がパクリタキセルによる末梢神経障害の発症を防いでいることを示しています。

図の右側のグラフ(C)は、神経伝導速度を示していますが、4つのグループ間に有意差はありません。

         

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Park JS, Kim S, Hoke A. An exercise regimen prevents development paclitaxel induced peripheral neuropathy in a mouse model. J Peripher Nerv Syst. 2015 Mar;20(1):7-14.

Figure 2は、運動がパクリタキセルによる末梢神経障害の発症に及ぼす影響を、皮膚の神経繊維密度を用いて示しています。

図Aは、皮膚の神経繊維密度を示す顕微鏡写真です。

パクリタキセルを投与されたマウスは、神経繊維密度が低下しますが、運動群のマウスは、非運動群のマウスに比べて神経繊維密度が高くなっています。

これは、運動がパクリタキセルによる末梢神経障害の発症を防いでいることを示しています。

  

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Park JS, Kim S, Hoke A. An exercise regimen prevents development paclitaxel induced peripheral neuropathy in a mouse model. J Peripher Nerv Syst. 2015 Mar;20(1):7-14.

図Bは、皮膚の神経繊維密度を示すグラフです。

パクリタキセルを投与されたマウスは、神経繊維密度が低下しますが、運動群のマウスは、非運動群のマウスに比べて神経繊維密度が高くなっています。

これも、運動がパクリタキセルによる末梢神経障害の発症を防いでいることを示しています。

 

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Park JS, Kim S, Hoke A. An exercise regimen prevents development paclitaxel induced peripheral neuropathy in a mouse model. J Peripher Nerv Syst. 2015 Mar;20(1):7-14.

 

Figure 3は、運動がパクリタキセルによる末梢神経障害の発症に及ぼす影響を、神経の形態学的評価を用いて示しています。

図Aは、神経の軸索数を示すグラフです。

パクリタキセルを投与されたマウスは、軸索数が減少しますが、運動群のマウスは、非運動群のマウスに比べて軸索数が多くなっています。

これは、運動がパクリタキセルによる末梢神経障害の発症を防いでいることを示しています。

図の中央(B)と右側(C)は、それぞれ神経の軸索径とg比を示すグラフですが、4つのグループ間に有意差はありません。

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考察

  

この研究では、マウスに対して、化学療法薬であるパクリタキセルを投与し、その前後に運動プログラムを行った結果、運動を行ったマウスは、運動を行わなかったマウスよりも末梢神経障害の発生が少なかったことがわかりました。

  

主観的な症状だけでなく、神経そのものの変化を防いでいるなんて驚きですね!!

  

ただし、この研究はマウスを対象としたものであり、人間に対しても同様の効果があるかどうかはまだわかりません。

  

それでも、運動は健康に良い影響を与えることが多いので、化学療法中でも適度な運動を心がけることは良いでしょう。

ただし、無理をしないように注意してくださいね。

   

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CIPNの発症,症状,評価についてはコチラにまとめてますので、参考にしてみてください。

【まとめ】がん治療後のしびれ、CIPNの影響と評価について

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CIPNの予防・治療についてはコチラにまとめてますので、参考にしてみてください。

【まとめ】がん治療後のしびれ、CIPNの予防と治療について

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注意
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。

しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。

記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。

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