がん患者の運動機能低下~フレイルについて~

前回は、がん理学療法カンファレンスに参加して、がんサバイバーのフレイルやサルコペニアについての講演を聴講したことを紹介しました。

簡単に、「フレイル」という言葉を使いましたが、もしかしたらあまり聞きなじみがない方も多いかもしれません。

最近では、75歳以上の方にはフレイル健診が行われていますので、知っている方も多いかもですね。

でも、具体的に、フレイルとはどのような状態で、どのように診断するかはよく知らない方が多いと思いますので、ここで紹介します。

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まとめ
・高齢者が注意すべきフレイルについて紹介。

・フレイルとは「加齢により心身が老い衰えた状態」のこと。介護状態の一歩手前のような状態。

・分類としては、身体的フレイル、社会的フレイル、精神・心理的フレイルに分けられる。

・診断方法としては、質問紙だけだったり、運動機能をチェックしたりなど複数の評価方法がある。

・がんサバイバーにとっても、予後や有害事象と関連があるので、注意する必要がある。

フレイルとは?

フレイルとは、簡単に言うと「加齢により心身が老い衰えた状態」のことになります。

イメージとしては介護状態の一歩手前のような状態です。

厚生労働省の報告書では、「加齢とともに心身の活力(運動機能や認知機能等)が低下し、複数の慢性疾患の併存などの影響もあり、生活機能が障害され、心身の脆弱性が出現した状態であるが、一方で適切な介入・支援により、生活機能の維持向上が可能な状態像」と記載されています。

 

ここでポイントとなるのはまず、「心身の活力の低下」、という点です。

身体だけでなく精神も関係あるということ、最終的には社会性も関わってきます。

そのため、フレイルは、①身体的フレイル、②社会的フレイル、③精神・心理的フレイルの3つに分類されるわけです。

もう一つのポイントは、「適切な介入・支援により、生活機能の維持向上が可能な状態像」という点です。

適切に介入すると改善が可能な状態というわけです。

つまり、放っておけば状態は悪くなるけれども、きちんと介入すればよくなる可能性もあるよっというわけです

厚生労働省 パンフレット 「食べて元気にフレイル予防」

どんどん状態が悪くなって、介護が必要にならないようにしないとですね。

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フレイルの診断

そんな注意すべきフレイルですが、どのように確認したらいいのでしょうか?

評価方法はいくつかありますが、その中で代表的なものをいくつか紹介します。

J-CHSスコア

フレイルの診断方法と最も有名なのが、FriedらのCardiovascular Health Study基準(CHS基準)というものです。

それを、日本で改訂した日本版CHS基準、すなわちJ-CHS基準が使用されています。

J-CHS基準は①体重減少、②筋力低下、③疲労感、④歩行速度、⑤身体活動の5項目の評価からなり、3項目以上でフレイルの診断となります。

どちらかというと、身体的フレイルの要素が強い評価ですね。

基本チェックリスト

基本チェックリストも日本で使用されている評価方法です。

こちらは質問紙による問診だけで診断可能です。

7領域25項目の質問に対して、8点以上であればフレイルの診断となります。

身体的フレイル、社会的フレイル、精神・心理的フレイルを、スクリーニングできるような評価となっています。

ただし、質問紙のみですので簡単に評価できますが、運動機能を正確に把握はできないですね。

運動機能以外をざっと確認できる点は有用だと思います。

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社会的フレイル

社会的フレイルも質問紙で評価が可能です。

5項目の質問に対して2項目以上該当すると社会的フレイルとなります。

外出や友達らとの交流などが質問の内容として含まれています。

 

Liver Frailty Index(LFI)

がん患者さんに使われるフレイルの評価としては、肝がんなどの肝疾患患者さんに使用されるLiver Frailty Index(LFI)もあります。

LFIは①握力②5回立ち座り③3種類のバランステストの3つの項目の点数で、フレイルの有無を判定します。

専用のホームページに数値を入力すれば簡単にフレイルの診断が可能な評価となっています。

完全に身体的フレイルのみの評価となっています。

 

それぞれの評価で、身体的フレイル、社会的フレイル、精神・心理的フレイルの割合が異なってきますので、状況に応じて評価内容を修正するのが望ましいでしょう。

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フレイルの影響

高齢者全般にとっても、フレイルの存在は多くの悪影響を及ぼします。

厚生労働省資料 後期高齢者の質問票の解説と留意事項

こちらの図は、フレイルがあると要介護状態になりやすいですよといったけっかになっております。

さらに、がん患者さんにおいては、フレイルがあると生命予後が悪かったり、治療の効果が減少したりなどの影響が強いことも数多く紹介されています。

そのあたりについては、また後日紹介しますね。

最近注目されている「フレイル」ですが、がんサバイバーの皆さんも、その内容を理解してしっかり予防しましょう!!

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まとめ
・高齢者が注意すべきフレイルについて紹介。

・フレイルとは「加齢により心身が老い衰えた状態」のこと。介護状態の一歩手前のような状態。

・分類としては、身体的フレイル、社会的フレイル、精神・心理的フレイルに分けられる。

・診断方法としては、質問紙だけだったり、運動機能をチェックしたりなど複数の評価方法がある。

・がんサバイバーにとっても、予後や有害事象と関連があるので、注意する必要がある。

注意
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。

しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。

記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。

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