前回は、CIPNに対する運動についてのレビューを紹介しました。
運動によってCIPNの症状やバランス、生活の質が改善することが示されましたね。
CIPNは、手足のしびれ、痛み、冷たさ、運動障害などの症状を引き起こす副作用で、半数以上のがん患者さんが経験します。
CIPNは、治療を制限する毒性であり、死亡率を上げる可能性があります。
CIPNに対しては、運動などの行動介入が有望ですが、まだまだ十分に研究されていない状況です。
特にどんな患者さんが運動を行うと効果的なのかは気になるところですね!
そこで今回は、運動がCIPNの症状に与える影響を調節する要因を調べた論文を紹介します。
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今回紹介する資料の概要
今回紹介する論文は、運動がCIPNの症状に与える影響を調節する要因を調べた内容になります。
「Kleckner IR, et al. Effects of exercise during chemotherapy on chemotherapy-induced peripheral neuropathy: a multicenter, randomized controlled trial. Support Care Cancer. 2018 Apr;26(4):1019-1028」. 2018年の論文になります。
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方法
Kleckner IR, et al. Effects of exercise during chemotherapy on chemotherapy-induced peripheral neuropathy: a multicenter, randomized controlled trial. Support Care Cancer. 2018 Apr;26(4):1019-1028
この研究では、355人のがん患者が、化学療法のみか、化学療法と運動の6週間プログラムを受けるかで無作為に割り当てられました。
運動プログラムは、EXCAPと呼ばれる標準化された、個別化された、中程度の強度の、自宅で行う6週間の徐々に進歩するウォーキングと抵抗運動プログラムです。
EXCAPプログラムの第1の要素は、毎日6週間行う低から中程度の強度の有酸素運動(心拍数予備率の60〜85%)を提供する歩行処方です。
患者さんは、ランダム化前に4日連続で歩数計を着用し、歩数を記録します。
患者さんは、基本的な1日平均歩数に基づいて、次の6週間にわたる個別に調整された徐々に進歩する歩行処方を受け取り、毎週5〜20%ずつ1日あたりの歩数を増やすよう奨励されます。
EXCAPプログラムの第2の要素は、毎日6週間行う低から中程度の強度の抵抗運動(3〜5評価知覚努力(RPE)スケール)を提供する治療用バンド処方です。
患者さんは、3つの色分けされたバンド(赤=中、緑=重、青=超重)と10種類のバンドエクササイズ(スクワット、サイドベンド、レッグエクステンション、レッグカール、チェストプレス、ローイング、カーフレイズ、オーバーヘッドプレス、バイセップスカール、トライセップスエクステンション)および4つのオプションのバンドエクササイズ(フロントレイズ、ラテラルレイズ、内部回転、外部回転)のリストを受け取ります。
患者さんは、最適な基本的なバンドカラー、セット数、反復回数に基づいて個別に調整された徐々に進歩する治療用バンド処方を6週間受け取ります。
処方には、適切なバンド使用方法、安全性および運動力学に関する指示が含まれます。
患者さんは毎週セット数と反復回数(最大4セット15回)およびバンド抵抗を徐々に増やすよう奨励されます。
患者さんは、介入前後に手足のしびれや熱さ/冷たさ(0〜10の尺度)を報告しました。
また、基本的な神経障害、性別、年齢、体格指数、がんステージ、がんタイプなどの可能な要因を探索しました。
統計解析では、「意図した治療」アプローチを使用しました。これは、割り当てられた治療群に関係なく、すべての患者さんを分析する方法です。また、p値が0.05未満の場合は有意としました。
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結果
Kleckner IR, et al. Effects of exercise during chemotherapy on chemotherapy-induced peripheral neuropathy: a multicenter, randomized controlled trial. Support Care Cancer. 2018 Apr;26(4):1019-1028
Figure 2は、化学療法中の運動が化学療法誘発性末梢神経障害(CIPN)の症状に与える影響を示しています。
この図では、運動群と対照群の両方で、介入前後の手足のしびれや熱さ/冷たさの変化が示されています。
図からわかるように、運動群では、手足のしびれや熱さ/冷たさが少し減少しています。
一方、対照群では、これらの症状が増加しています。
つまり、運動群ではCIPNの症状が減少し、対照群では増加したことがわかります。
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Kleckner IR, et al. Effects of exercise during chemotherapy on chemotherapy-induced peripheral neuropathy: a multicenter, randomized controlled trial. Support Care Cancer. 2018 Apr;26(4):1019-1028
Figure 3は、年齢別に、化学療法中の運動が化学療法誘発性末梢神経障害(CIPN)の症状に与える影響を示しています。
この図では、最も若い三分位(59人の運動者、49人の対照群)と最も高齢の三分位(53人の運動者、56人の対照群)の108人と109人の患者さんからの95%信頼区間を示すエラーバーを使用して、手足のしびれや熱さ/冷たさの変化が示されています。
図からわかるように、高齢の患者さんでは、運動群で手足のしびれや熱さ/冷たさが大幅に減少しています。
一方、若い患者さんでは、運動群と対照群の両方でこれらの症状が増加しています。
つまり、高齢の患者さんでは運動がCIPNの症状を減少させる一方で、若い患者さんでは効果が見られないことがわかります。
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Kleckner IR, et al. Effects of exercise during chemotherapy on chemotherapy-induced peripheral neuropathy: a multicenter, randomized controlled trial. Support Care Cancer. 2018 Apr;26(4):1019-1028
Table 3は、運動が化学療法誘発性末梢神経障害(CIPN)の症状に与える影響について、様々な要因がどのように影響するかを検証するためのものです。
この表には、年齢、性別、BMI、がんのステージ、がんの種類など、様々な要因が示されています。
表からわかるように、年齢が高い患者さんでは運動がCIPNの症状を減少させる効果が強く、男性患者さんや乳がん患者さんでも同様の傾向が見られます。
一方、若い患者さんや女性患者さんでは運動の効果が見られません。
高齢、男性、乳がん患者さんほど運動の効果が期待できるようですね!!
ただし、乳がん患者さんと言ったら若い女性が多いですので、あまり、高齢や男性にこだわり過ぎる必要はなさそうです。
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考察
この研究では、化学療法中に運動をすることが、CIPNの症状を軽減することがわかりました。
特に、高齢の患者さんや男性患者さん、乳がん患者さんでは、運動がCIPNの症状を減少させる効果が強く見られました。
ただし、乳がん患者さんと言ったら若い女性が多いですので、あまり、高齢や男性にこだわり過ぎる必要はなさそうです。
この結果から、化学療法中に適度な運動をすることが、CIPNの症状を軽減するための有効な方法であることがわかります。
低~中強度の有酸素運動と抵抗運動を行うのが効果的なようです。
徐々に歩数や回数を増やしていくといいみたいですね!!
ただし、運動する際は医師や看護師に相談して、自分に合った運動プログラムを立てるよう心がけましょう。
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CIPNの発症,症状,評価についてはコチラにまとめてますので、参考にしてみてください。
CIPNの予防・治療についてはコチラにまとめてますので、参考にしてみてください。
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。
しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。
記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。
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