がん患者の手足のむくみでチェックすべき6つの項目~リンパ浮腫かどうか~

今回は、がん患者さん手足がむくんだときにリンパ浮腫かどうかを鑑別する6つの項目を解説します。

 

以前に、全身と局所の浮腫の原因について解説しました。

浮腫の原因は何となく理解したかもしれませんが、がん患者さんに限らず手足がむくんだときに、これはリンパ浮腫がどうか鑑別できるでしょうか?

そこで今回は、私が普段の臨床で行っている、手足のむくみが生じた患者さんの原因の評価方法についてご紹介します。

足・ふくらはぎ・太もも・お腹・お尻・ウエスト全てカバーの着圧レギンス
この記事の要約
・私が普段の臨床で行っている、手足のむくみが生じた患者さんの原因の評価方法について紹介。

・がん患者さんに起こりやすい浮腫は、リンパ浮腫、炎症性浮腫、静脈性浮腫、心性浮腫、肝性浮腫、腎性浮腫、栄養障害性浮腫、廃用性浮腫などが考えられる。

・炎症所見はあるか→リンパ浮腫の原因となる治療等はあるか→心・肝・腎機能低下はあるか→静脈の問題はあるか→栄養障害はあるか→活動性低下はあるかの順番で確認している。

・がん患者といっても、むくみの原因はリンパ浮腫ばかりではないので、他の要因も確認しましょう。

・ご高齢の方は廃用性浮腫の存在が多いと思うが、他の要因がないのかを確認しておきましょう。

手足にむくみがあったときに確認する情報

むくみの部分に痛みや熱感、赤みがあるか

まずは炎症性浮腫かどうかを鑑別します。

痛みや熱感、赤みがあることが炎症所見の特徴です。

傷や皮膚のかぶれなどがあると炎症性の浮腫の可能性が高くなります。

蜂窩織炎などは浮腫の治療よりも抗生剤が必要になってくるので、まずは炎症性浮腫かどうかの確認が必要です。

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腋窩や鼠径部周囲の手術、放射線治療、リンパ節転移の有無

リンパ浮腫とはリンパ管やリンパ節の異常による浮腫です。

つまり、リンパ節周囲に問題が生じて浮腫が出現するので、リンパ節周囲に原因となる治療や病態がなければ、リンパ浮腫の可能性は低くなります。

ただし、治療や病態が合わなくても、原発性リンパ浮腫の可能性もあるので注意はしておきましょう。

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心・肝・腎機能低下の有無

続いてチェックするのは、心臓や肝臓、腎臓などの内科・外科的な問題はないのかです。

これで、心性浮腫、肝性浮腫、腎性浮腫の可能性を確認できます。

これらは、採血の結果である程度は機能低下はわかりますし、レントゲンやCTまで撮影していれば状態がだいぶんわかりますね。

がん患者さんや高齢者は定期的に診察を受けているでしょうから、心臓や肝臓、腎臓の機能が低下していると言われたことがあれば、浮腫の原因の可能性として考えていいでしょう。

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静脈の問題

静脈性浮腫とは静脈の異常が原因による浮腫です。

具体的な病名としては、静脈瘤や深部静脈血栓症などが挙がります。

血栓の有無はエコーやCTでないと確定はできませんが、ふくらはぎを把持したり伸ばしたりすると疼痛が生じることなどがあるので確認しておきましょう。

また、静脈瘤は静脈の怒張などが特徴です。

とりあえず、手足の血管の状態の確認と、静脈疾患の既往がないかは確認したほうがいいでしょう。

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栄養状態の確認

低栄養の状態も浮腫の原因になることがあります。

現在の体重やBMIはもちろんですが、ここ最近の体重減少についても確認が必要です。

採血の結果があれば、アルブミンや蛋白、ヘモグロビン、リンパ球などを確認するといいでしょう。

しかし、一番は日々の食事量までチェックできるのが理想です。

簡易栄養状態評価表(MNA)のような、簡単に栄養状態のチェックができる評価もあるので活用しましょう。

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廃用性浮腫

廃用性浮腫とは、あまり体を動かさないことが原因による浮腫です。

今までの炎症性浮腫、リンパ浮腫、心性浮腫、肝性浮腫、腎性浮腫、栄養障害性浮腫の可能性が低ければ、最終的に廃用性浮腫の可能性が高くなります。

筋肉が瘦せ落ちたり、筋肉を動かす回数が減ってないかを確認しましょう!

しかし、ご高齢の方は特に座りっぱなしであまり動かない方も多いので、廃用性浮腫の要素は少なからずあると考えられます。

ですので、大事なのは廃用性浮腫以外の可能性も考慮して情報収集して、他の浮腫の可能性が排除できれば、廃用性浮腫と考えて治療を行うということでしょう。

何が原因の浮腫であろうと、筋肉はしっかり使って血流をよくしておいた方がいいですよ。

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リンパ浮腫の発症に気付く方法

多くの浮腫の原因と鑑別を説明しましたが、がん患者さんはリンパ浮腫が発症しているのではないかと気になりますよね。

以前、リンパ浮腫の発症に気付くために、普段から心がけることをまとめましたので参考にしてください。

浮腫の発症や原因に注意して、なんとなくリンパ浮腫と思いこまないように注意しましょう!

浮腫の種類や蜂窩織炎などでは治療内容が異なってきますので、自分で勝手に判断しすぎないようには注意してくださいね

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まとめ
・私が普段の臨床で行っている、手足のむくみが生じた患者さんの原因の評価方法について紹介。

・がん患者さんに起こりやすい浮腫は、リンパ浮腫、炎症性浮腫、静脈性浮腫、心性浮腫、肝性浮腫、腎性浮腫、栄養障害性浮腫、廃用性浮腫などが考えられる。

・炎症所見はあるか→リンパ浮腫の原因となる治療等はあるか→心・肝・腎機能低下はあるか→静脈の問題はあるか→栄養障害はあるか→活動性低下はあるかの順番で確認している。

・がん患者といっても、むくみの原因はリンパ浮腫ばかりではないので、他の要因も確認しましょう。

・ご高齢の方は廃用性浮腫の存在が多いと思うが、他の要因がないのかを確認しておきましょう。。

注意
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。

しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。

記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。

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