前回の記事では、血圧測定は、リンパ浮腫の増悪と関係があるかわからなかったという論文を紹介しました。
ただし、研究というものは多くの方が行っているので、異なる結果が出ることも多いです。
つまり、手術側で血圧測定をすると、リンパ浮腫になるよって論文も存在する可能性もあります。
そこで、今回は、手術側の腕で血圧測定を行った場合のリンパ浮腫発症のリスクについて調査した論文を紹介します。
足・ふくらはぎ・太もも・お腹・お尻・ウエスト全てカバーの着圧レギンス今回紹介する研究の概要
今回紹介する論文は、乳がんの腋窩リンパ節郭清術を受けた患者の、 手術側の腕に点滴で化学療法を行った場合のリンパ浮腫発症のリスクについて調査した内容となっております。
「Hayes S, Cornish B, Newman B.Comparison of methods to diagnose lymphoedema among breast cancer survivors: 6-month follow-up. Breast Cancer Res Treat. 2005 ; 89(3): 221-6」2005年に発行された論文です。
足・ふくらはぎ・太もも・お腹・お尻・ウエスト全てカバーの着圧レギンス対象
One of the more problematic and dreaded complications of breast cancer is lymphoedema. Our objective was to determine the prevalence of lymphoedema 6-months following breast cancer treatment and to examine potential risk factors among a population-based sample of women residing in South-East Queensland (n=176).
Hayes S, Cornish B, Newman B.Comparison of methods to diagnose lymphoedema among breast cancer survivors: 6-month follow-up. Breast Cancer Res Treat. 2005 ; 89(3): 221-6
Hayes S, Cornish B, Newman B.Comparison of methods to diagnose lymphoedema among breast cancer survivors: 6-month follow-up. Breast Cancer Res Treat. 2005 ; 89(3): 221-6
対象は、6か月以内に片側乳がんの診断を受けた女性176人です。
平均年齢は54歳で、完全切除術が73.9%、部分切除術が26.1%となっています。
リンパ節郭清術までされた方は87.5%と、大半の方がリンパ節郭清まで実施しています。
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方法
Women were defined as having lymphoedema if the difference between the sum of arm circumferences (SOAC) of the treated and untreated sides was >5 cm (prevalence=11.9%) or >10% (prevalence=0.6%), their multi- frequency bioelectrical impedance (MFBIA) score was ≥3 standard deviations above the reference impedance score (prevalence=11.4%), or they reported ‘yes’ when asked if arm swelling had been present in the previous 6 months (prevalence=27.8%).
Hayes S, Cornish B, Newman B.Comparison of methods to diagnose lymphoedema among breast cancer survivors: 6-month follow-up. Breast Cancer Res Treat. 2005 ; 89(3): 221-6
リンパ浮腫を3種類の測定方法で定義しています。
①治療側と未治療側の腕の周囲の合計(SOAC)の差が> 5 cmまたは> 10%である場合
②インピーダンス(MFBIA)スコアが3標準偏差以上上回っていた場合
③過去6か月間に腕の浮腫があったかどうかを尋ねられたときに「はい」と報告した場合
周径や質問で浮腫を判断するのは比較的簡単そうですね。
そして、それぞれの定義した浮腫の原因を調査しています。
調査項目は前回、前々回と同じような内容で、手術側での点滴治療、飛行機、外傷、日焼け、注射、血圧測定などとの関係性を見ています。
どの論文も調査項目は似たような感じですね。
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結果
Bevilacqua JL, Kattan MW, Changhong Y, et al. Nomograms for predicting the risk of arm lymphedema after axillary dissection in breast cancer. Ann Surg Oncol. 2012; 19(8): 2580-9.
リンパ浮腫の発症率は、
①治療側と未治療側の腕の周囲の合計(SOAC)の差が> 5 cmは、11.9%
②インピーダンススコアを3標準偏差以上上回っていた方は、11.4%
③過去6か月間に腕の腫れがあったかどうかを尋ねられたときに「はい」と報告した方は、27.8%でした。
また、原因に関しては、 飛行機、外傷、日焼け、注射 は、関係性を認めませんでした。
手術側での点滴治療 を行うと、インピーダンススコアで測定したリンパ浮腫の発症が80%増加していました。
また、手術側の血圧測定は、周径で測定したリンパ浮腫の発症が3.4倍に増加していました。
以前紹介した論文と違って、血圧測定がリンパ浮腫の発症に関連しているという結果ですね。
リンパ浮腫の評価方法によって、結果が変わるのも興味深いです。
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結論
今回の研究では、手術側での点滴治療と血圧測定がリンパ浮腫発症のリスクを増加させていた。
飛行機、外傷、日焼け、注射 は関係なかったようです。
評価方法によって結果が異なりますが、点滴や血圧測定などの刺激になりそうなことは、必要がなければ手術側でしない方が無難かもですね。
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・リンパ浮腫の独立した危険因子は、手術側の点滴治療と血圧測定であった。
・測定方法によっても異なるようですが、手術側の腕を使って点滴や血圧測定は避けた方が無難かもしれません。
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。
しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。
記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。
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