ICUの重症患者のサルコペニアは超音波で評価できる

今回は、ICUの重症患者の超音波で測定した筋断面積とCTで測定した骨格筋量の関係について検討した論文を紹介します。

前回、ICUの重症患者の筋萎縮速度と評価方法について、解説しました。

<strong>ICUの重症患者の筋萎縮速度と評価方法について解説</strong>

2023年3月3日

ICUの筋量の評価では85%が超音波で測定されており、最初の1週間は、1日におよそ2%の筋肉量が減少してしまうんでしたね。

 

しかし、骨格筋量の評価のgolden standardはCTやMRIと言われております。

超音波の測定で本当に筋量の評価ができているのでしょうか?

そこで今回は、ICUの重症患者の超音波で測定した筋断面積とCTで測定した骨格筋量の関係について検討した論文を紹介します。

まとめ
・ICUの重症患者の超音波で測定した筋断面積とCTで測定した骨格筋量の関係について検討した論文を紹介。

・ICU入室時に大腿部の超音波検査を行った133人を対象として、そのうちにICU入室時にCT検査も行っている89人を解析対象とした。

・CTで測定したL3の筋肉量と大腿四頭筋層厚と大腿直筋CSA、さらには上腕二頭筋や横隔膜とも相関していた。

・大腿でも上肢、お腹周りでも測定しやすいところで筋厚をチェックしておく必要がありそうですね

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今回紹介する研究の概要

今回紹介する論文は、ICUの重症患者の超音波で測定した筋断面積とCTで測定した骨格筋量の関係について検討した内容になっています。

「Arai Y, Nakanishi N, Ono Y, Inoue S, Kotani J, Harada M, Oto J. Ultrasound assessment of muscle mass has potential to identify patients with low muscularity at intensive care unit admission: A retrospective study. Clin Nutr ESPEN. 2021 Oct;45:177-183.」 2021年に発行された論文になります。

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対象

Arai Y, Nakanishi N, Ono Y, Inoue S, Kotani J, Harada M, Oto J. Ultrasound assessment of muscle mass has potential to identify patients with low muscularity at intensive care unit admission: A retrospective study. Clin Nutr ESPEN. 2021 Oct;45:177-183.

こちらの図が、本研究対象者のフローチャートになります.

 

ICU入室時に大腿部の超音波検査を行った133人を対象として、そのうちにICU入室時にCT検査も行っている89人を解析対象としています。

正確に言うと、ICU入室の前2日、後2日以内に第3腰椎(L3)でのCTを受けた患者になります。

 

そのうち、上腕二頭筋(52人)と横隔膜(79人)の測定結果も解析しています。

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結果

Arai Y, Nakanishi N, Ono Y, Inoue S, Kotani J, Harada M, Oto J. Ultrasound assessment of muscle mass has potential to identify patients with low muscularity at intensive care unit admission: A retrospective study. Clin Nutr ESPEN. 2021 Oct;45:177-183.

こちらの表が、対象者の特徴になります。

 

患者の平均年齢は72±13歳で、60人(67%)が男性でした。

 

APACHE IIスコアの中央値は27(IQR, 24-30)、ICU滞在期間の中央値は7(IQR, 5-14)日でした。

 

78人(88%)の患者が人工呼吸器管理となっています。

 

CTで評価した低筋量は24人(27%)の患者で観察されました。

 

低筋量と正常の2群で比較すると、大腿四頭筋層の厚さの中央値と大腿直筋のCSAはそれぞれ2.4(IQR, 1.8-3.1)cmと4.9(IQR, 3.9-6.5) cm2でした.

肥満度(p<0.01)、大腿四頭筋筋層厚(p<0.01)、大腿直筋CSA(p<0.01)、肘関節屈筋厚(p<0.01)、上腕二頭筋CSA(p<0.01)、CT上の筋肉量に低筋肉者と正常筋力者で有意差が見られました(p<0.01)。

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Arai Y, Nakanishi N, Ono Y, Inoue S, Kotani J, Harada M, Oto J. Ultrasound assessment of muscle mass has potential to identify patients with low muscularity at intensive care unit admission: A retrospective study. Clin Nutr ESPEN. 2021 Oct;45:177-183.

ICU入室時の大腿筋の超音波測定値は、CTで測定したL3の筋肉量との相関関係の結果です。

 

CTで測定したL3の筋肉量と大腿四頭筋層厚と大腿直筋CSAの相関は、それぞれρ=0.57(p<0.01、n=89)、ρ=0.48(p<0.01、n=89)でした。

 

筋厚でも筋断面積でも、どちらでもCTで測定する筋肉量と相関があるわけですね。

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Arai Y, Nakanishi N, Ono Y, Inoue S, Kotani J, Harada M, Oto J. Ultrasound assessment of muscle mass has potential to identify patients with low muscularity at intensive care unit admission: A retrospective study. Clin Nutr ESPEN. 2021 Oct;45:177-183.

こちらは大腿部以外も含めて関係性を見た結果になります。

 

肘屈筋の厚さ、上腕二頭筋の CSA、大腿直筋と上腕二頭筋の合計 CSA、および横隔膜筋は、79 人で評価されました。

特に肘屈筋の厚さと上腕二頭筋の CSA は、それぞれ ρ = 0.57 (p < 0.01、n = 52) と ρ = 0.60 (p < 0.01、n = 52) の相関を示しました。

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まとめ

この研究では、超音波とCTによる筋肉量評価の関係を後方視的に評価したところ、超音波で測定した大腿四頭筋の筋層厚と大腿直筋CSAが低筋量の指標となりうることがわかりました。

 

下肢だけでなく、上肢や体幹でも関連しているんですね!

やはり全身の評価が必要ですね。

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まとめ
・ICUの重症患者の超音波で測定した筋断面積とCTで測定した骨格筋量の関係について検討した論文を紹介。

・ICU入室時に大腿部の超音波検査を行った133人を対象として、そのうちにICU入室時にCT検査も行っている89人を解析対象とした。

・CTで測定したL3の筋肉量と大腿四頭筋層厚と大腿直筋CSA、さらには上腕二頭筋や横隔膜とも相関していた。

・大腿でも上肢、お腹周りでも測定しやすいところで筋厚をチェックしておく必要がありそうですね

注意
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。

しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。

記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。

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