がん患者の運動機能低下~ロコモティブシンドロームについて~

前回は、がんサバイバーも知っておきたいサルコペニアについて紹介しました。

がん患者の運動機能低下~サルコぺニアについて~

2022年2月22日

サルコペニアとは、筋量が減少し、運動機能が低下している状態のことでした。

フレイルとの違いは、身体面に特化していることや、筋肉量の減少が特徴であることでしたね。

フレイル、サルコペニアが出てくると、似たような状態を指す言葉で、ロコモティブシンドローム、いわゆるロコモという言葉もあります。

ロコモは整形外科の中でもよく出てくる言葉なので聞いたことがある方も多いかもしれません。

今回は、がんサバイバーも知っておきたいロコモティブシンドロームについて紹介します。

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まとめ
・がんサバイバーも知っておきたいロコモティブシンドロームについて紹介。

・ロコモティブシンドロームとは、「運動機能の障害により移動能力の低下した状態」を意味する。

・立ち上がりや2ステップの運動機能、また、質問紙の評価で判定する。

・日本整形外科学会では、がんロコモの概念も提唱されている。

・がんの患者さんは、痛みや体力低下はがんや治療の影響だけでなく、運動器疾患の問題のばあいもあるので、整形外科を受診したほうがいいかもしれない。

ロコモティブシンドローム(ロコモ)とは?

ロコモティブシンドロームとは、「運動機能の障害により移動能力の低下した状態」を意味します。

つまり、立つ、歩くなどといった移動能力の低下が特徴的な状態です。

筋肉ムキムキであっても、歩けない、動けないという状態では、ロコモになるわけですね。

なかなか、筋肉ムキムキで歩けないっていう人はいないですけどね(笑)

 

ですので、ロコモはフレイルやサルコペニアと重複することもあると考えていいと思います。

イメージとしては、「フレイル」は身体面だけでなく、社会面や心理面も含まれるので一番大きな概念です。

3側面のフレイルの内、身体的フレイルの中に「サルコペニア」や「フレイル」が含まれるといった感じになります。

原田 敦.:ロコモティブシンドロームにおけるサ ルコペニアの位置付け.日本老年医学会ホーム ページ.Available from URL: https://www.jpn-geriatsoc.or.jp/press_seminar/report/seminar_02_04.html
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ロコモティブシンドロームの診断

そんな注意すべきロコモですが、どのように確認したらいいのでしょうか?

評価方法は主に、実際の運動機能のチェックと質問紙での評価に分かれます。

 

立ち上がりテスト

中村耕三:実践!ロコモティブシンドローム 第 ù 版.三輪書店,東京,2014

まずは立ち上がる機能を確認します。

40cmの高さから順番に両脚と片脚で立てるかどうかをチェックします。

判定は、移動機能低下が始まっている「ロコモ度1」、移動機能低下が進行している「ロコモ度2」、移動機能低下が進行し社会参加に支障をきたしている「ロコモ度3」に分類されます。

 

ロコモ度1:どちらか一方の脚で40cmの台から立ち上がれないが、両脚で20cmの台から立ち上がれる

ロコモ度2:両脚で20cmの台から立ち上がれないが、30cmの台から立ち上がれる

ロコモ度3:両脚で30cmの台から立ち上がれない

となります。

 

普通の椅子から手放しで立ち上がれなかったら、「ロコモ度3」に該当するので要注意ですね。

整形外科クリニックでは、片脚で椅子から立ち上がれない方はたくさんいらっしゃいますが、その時点で「ロコモ度1」になっちゃうわけですね。

私の病院も、忙しさと機器の不足により、コミュニティーセッティングを使用しています。

 

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2ステップテスト

中村耕三:実践!ロコモティブシンドローム 第 ù 版.三輪書店,東京,2014

次に、足を大きく踏み出す力を確認します。

歩幅をしらべることで、下肢の筋力・バランス能力・柔軟性などを含めた歩行能力を総合的に評価します。

できるだけ大きく、2歩分歩いてもらって、その距離を身長で割って計算します。

 

ロコモ度1:2ステップ値が1.1以上1.3未満

ロコモ度2:2ステップ値が0.9以上1.1未満

ロコモ度3:2ステップ値が0.9未満

となります。

少なくとも、2ステップで自分の身長くらいは歩けた方がいいと覚えると、覚えやすいですね。

 

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ロコモ25

最後は質問紙の評価になります。

ロコモ25という運動器機能不全をチェックする検診ツールで、設問項目 は,痛み,屋内動作,身辺動作,活動参加,不安など に関する25項目の質問で構成されています。

25項目の質問に対して0点から4点の5段階で評価され,総得点は障害なし0点から最重症は100点で,将来ロコモになる危険度を判定します。

 

ロコモ度1:7点以上16点未満

ロコモ度2:16点以上24点未満

ロコモ度3:24点以上

となります。

 

運動機能をチェックせずに、質問紙だけで評価できるのは簡単ですね。

ただ、25問もあるので、場合によっては運動機能を2項目チェックしたほうが早い気もしますね・・・。

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がんロコモ

河野 博隆. リハビリテーション科医に知ってほしい「がんロコモ」 ―がん診療における運動器マネジメントの意義―. The Japanese Journal of Rehabilitation. 58 巻 (2021) 2 号

そんな高齢者で注意すべきロコモですが、近年ではがん患者でも着目されています。

日本整形外科学会でも2018年度の「運動器と健康」PR 事業のテーマを「がんとロコモティブシンドローム(がんロ コモ)」としています。

がんロコモは,「がん自体あるいはがんの治療によって運動器の障害が起きて移動機能が低下した状態」を示し,骨転移など「がんによる運動器の問題」,長期臥床による筋力低下などの 「がんの治療による運動器の問題」,そしてもともと 存在する「がんと併存する運動器疾患の問題」の 3 つの状態に分けられます。

がんの患者さんは、痛みや体力低下はがんや治療の影響と思ってしまいやすいですが、場合によっては運動器疾患の問題がありますので、一度整形外科を受診したほうがいいかもしれません。

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まとめ
・がんサバイバーも知っておきたいロコモティブシンドロームについて紹介。

・ロコモティブシンドロームとは、「運動機能の障害により移動能力の低下した状態」を意味する。

・立ち上がりや2ステップの運動機能、また、質問紙の評価で判定する。

・日本整形外科学会では、がんロコモの概念も提唱されている。

・がんの患者さんは、痛みや体力低下はがんや治療の影響だけでなく、運動器疾患の問題のばあいもあるので、整形外科を受診したほうがいいかもしれない。

注意
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。

しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。

記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。

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