乳がん手術後の運動で2年後の浮腫発症リスクはどうなる?

        

最近は、乳がん手術後に早期理学療法やウェイトリフティングを行うと、リンパ浮腫の発症リスクが減少することを紹介しました。

         

乳がん手術後早期の理学療法はリンパ浮腫を予防する

2023年7月11日

乳がん手術後の筋トレはリンパ浮腫を予防する!

2023年7月12日

           

複合的理学療法をしっかり行わなくても、がっつり筋トレするのも効果的なようでしたね。

         

ただ、どちらも1年間の追跡調査であり、研究の限界として長期的にリンパ浮腫の発症を追跡する必要があると記載されていました。

       

残念ですが、手術後何年たってもリンパ浮腫が発症するリスクはあります。

      

私も、手術後20年でリンパ浮腫が発症した方を担当したことがあります。

         

1年間だけでなく、もう少し長期的にリンパ浮腫が発症しにくいことがわかったらいいですよね。

         

そこで今回は、乳がん術後のリハビリテーションが、2年後のリンパ浮腫発症率にあたえる影響について調査した論文を紹介します。

        

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今回紹介する論文の概要

       

今回紹介する論文は、乳がん術後のリハビリテーションが、2年後のリンパ浮腫発症率にあたえる影響について調査した内容になっています。

        

「Sagen A, Kåresen R, Risberg MA. Physical activity for the affected limb and arm lymphedema after breast cancer surgery. A prospective, randomized controlled trial with two years follow-up. Acta Oncol. 2009;48(8):1102-10」

       

2009年に発行された論文です。

    

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対象

      

対象は1999年から2003年の間に,ノルウェーのUllevaalおよびAkershus大学病院において,早期乳癌で,乳房切除術または腋窩リンパ節郭清(レベルIおよびII)を受けた32歳から75歳(平均55±10歳)の女性204名です。

          

除外基準は、年齢が75歳以上、ノルウェー語の理解が困難、転移性乳がん、他の種類のがん、けがや上肢の機能低下があり、外来リハビリテーションプログラムに参加できない患者でした。

                 

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介入方法

Sagen A, Kåresen R, Risberg MA. Physical activity for the affected limb and arm lymphedema after breast cancer surgery. A prospective, randomized controlled trial with two years follow-up. Acta Oncol. 2009;48(8):1102-10

対象者を、中程度の抵抗運動プログラムと組み合わせた日常生活における活動制限なし(NAR)と、通常のケアプログラムと組み合わせた活動制限(AR)プログラムの2群に分けています。

4つのタイムテストポイント(ベースライン、3ヶ月後、6ヶ月後、術後2年後)で評価を行っています。

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NAR群は6ヶ月間、患肢を使用する身体活動に制限を設けませんでした。

さらに、NAR患者は外来クリニックで、週2~3回の中等度漸進的抵抗運動トレーニング に重点を置いた指導付き理学療法プログラムを行っています。

抵抗運動(総運動時間45分)は、最初の2週間は低負荷(0.5kg)を用いて各運動を最低15回繰り返しました。

   

その後、筋力と持久力を向上させる目的で、患者ごとに個別に抵抗を増加させたが(上限なし)、各運動は常に1セット15回で行っています。

AR群には、6ヶ月間患肢の活動を制限するよう指示しました。

患者さんには、上肢の重い運動や作業を含む有酸素運動やその他のタイプの運動教室を含む重い運動や激しい運動を避けること、3kg以上の食料品やその他の物品を持ったり持ち上げたりしないことが伝えられました。

AR群のリハビリテーションプログラムは、柔軟性を重視した6種類のストレッチと、患部の肩、腕、瘢痕の軽いマッサージで構成されていた(介入時間合計45分)。この通常ケアプログラムは週1回、6ヶ月間実施された。

AR群はよく指導されやすい、「あんまり負担をかけないようにしてください。」といった内容ですね。NAR群は、制限なしどころか、むしろがっつり動かしてもらっています。

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結果

Sagen A, Kåresen R, Risberg MA. Physical activity for the affected limb and arm lymphedema after breast cancer surgery. A prospective, randomized controlled trial with two years follow-up. Acta Oncol. 2009;48(8):1102-10

こちらの表は、痛みが出現した割合を示した表です。

VASという100点に近づくほど痛みが強いという評価を行っています。

一番右側の「Pain>21mm」の割合が、一番痛みが強い方々ということです。

手術後3ヶ月~2年間のタイミングで、痛みの強さは2群間で変わりはありませんでした。

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Sagen A, Kåresen R, Risberg MA. Physical activity for the affected limb and arm lymphedema after breast cancer surgery. A prospective, randomized controlled trial with two years follow-up. Acta Oncol. 2009;48(8):1102-10

こちらのグラフは、上肢の体積の経時的変化を表しています。

2群ともに、時間とともに若干増加しているようですが、2群の間で差は認められません。

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結論

2年間の追跡調査でも、活動制限を行わずにリハビリテーションを積極的に行っても、腕の体積、リンパ浮腫の発症率に群間差は認められませんでした。

リハビリテーションがリンパ浮腫を予防するとまでは言えませんが、運動制限しなくても2年間といった長期の期間で、リンパ浮腫が増悪することはないという結果でした。

腋窩リンパ節郭清を伴う乳がん手術を受ける患者には、患肢の身体活動レベルに制限を設けず、リンパ浮腫発症を恐れることなく日常生活活動を維持できるよう促してもよさそうですね。

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リンパ浮腫に対する運動の効果のまとめはコチラ。参考にしてください。

【まとめ】がんのリンパ浮腫,むくみに対する運動の効果  

2023年7月5日

まとめ
・乳がん術後のリハビリテーションが、2年後のリンパ浮腫発症率にあたえる影響について調査した論文を紹介。

・上肢の活動に制限を設けずに、週2-3回のリハビリテーションを行っても、2年後の上肢体積やリンパ浮腫発症率は変わりなかった。

・腋窩リンパ節郭清を伴う乳がん手術を受ける患者には、患肢の身体活動レベルに制限を設けず、リンパ浮腫発症を恐れることなく日常生活活動を維持できるよう促してもよさそう。

注意
このブログは、ガイドラインや論文などの根拠をもとに情報を発信していく予定です。

しかし、がんの病態や治療方法によっては、お読みになっているがん患者さんにはその情報が当てはまらない場合もあります。

記事の内容を参考に新しく何かを始める場合には、担当の医師や医療従事者にご確認いただくようお願いいたします。

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